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特徴的なフィンラグにピンときた! 地方ショップ倉庫の掘り出し物をレストア

見たところブランド名もなく、どこのものかわからないフレーム。日本製ということはわかる。そして作りがていねいなことも。フレームの素性を探求し、時代に適したパーツでロードを作ってみよう!

今回は地方のとあるショップの倉庫で見つけたこのフレーム。どうやら80年代の代物のようだ。ショップのステッカーが貼られていて、店のオリジナルブランドとして売られたのだろう。果たしてどう生まれ変わるのか?

ひょっとしたらと思わせるフィンラグ

メーカー名のロゴはない。当時ありがちなシマノステッカーが貼られたショップオリジナルフレーム。エアロなディテールだ。大きな損傷もないが、トップチューブの上、汗がしたたるあたりがサビている。前の乗り手が、このフレームに乗り練習でもがいていた姿がうかがわれる。

シマノ製のショートロードエンド。きちんと角が出してある
エアロな雰囲気のシート。シートステーはオーバルパイプ
はげかけたシマノシール。ペイントはくすんでいるが、状態は悪くない
リア3角の剛性アップを狙ったのか、フィンラグが特徴的だ。ピンときた、作った工房はもしや!?

まずはフレームの磨きと修正

ペイントの状態はくすみ、あちこちはげているが、全体的に状態は悪くない。
ショップのシールも痕跡を残す証拠なので、すべてはがしたくない。なのでリペイントは施さず磨きだけでいくことにした。
過剰に貼られたショップのシール、一部が損傷したシマノのシールなどは、はがすことに。ひかえめに、シートチューブのシールのみを残しておくことに。
シート部が変形して正しいサイズのシートポストが入らなかった。こちらはフレーム工房で補修。ついでに定盤を使ってフレームの芯出し、ハンガータップなども行い、作られた当時の精度を出した。

いらないステッカーをはがす

やや多すぎる感あるステッカー類をはがす。古くなったステッカーはなかなか強固にくっついているので、糊がフレーム側に残らないようにステッカーはがしを使って慎重にはがしていく。薬剤は塗装を痛める可能性もあるので、目立たないところで試そう。

塗装に影響がないことがわかったら、まず全体的にステッカーはがしをステッカーの上に塗る
はがした裏側に、ステッカーはがしをつけるようにして、裏側の糊を溶かすようにして取っていく

こころゆくまで磨き上げる

汚く黒ずんでいたフレームの、油汚れなどをバイクウォッシャーでクリーニング。汚れが落ちたらフレームをポリッシュ。はあ〜と息をかけながらフレームを磨いていく。くすんでいた塗装面だが、クリア層を一皮むくことで新車時の鮮やかなオレンジが蘇ってきた。ただしキズも見えてきた。これはタッチアップで目立たないようにする。

塗装面のポリッシュなら、花さかGワックス。塗装面のこまかい傷をピカピカにする優れものだ

シート径の確認&修正

シートポスト径をポストを入れて確認する。27.2㎜が入りそうだが、かなり渋く押し込めない。27㎜だとスカスカだ。シートをよく見るとシートピンでクランプする部分が曲がって閉じ気味になっている。これは広げて修復する必要がありそうだ。レストア工房、絹自転車工房に持ち込んだ。

27.2mmのシートポストは、先をなんとか入れられるがシートチューブの中に差し込むことができない。これでは使うことができない
27mmのシートポストを入れてみると、簡単に入るがちょっとゆるい。クランプできそうだが、使っていると下がってきそうな気配
シート部を見ると、シートピンでクランプする部分のスリットが0.5mmほど出口に向かってすぼまっていることがわかった
ということは、27.2mmが正しいサイズだ。鉄棒を入れて、シート部のスリットを押し広げる。フレームが曲がりそうでちょっとドキドキ
アジャスタブルリーマーを使って内径を整える。曲がりを広げただけでかなり修正できたので、内側を大きく削る必要はなかった
27.2mmのシートポストがすんなり入るようになった。使いたかったシマノ・600のエアロシートポストが入ってうれしい

フレームの歪みを修正する

定盤があるフレーム工房に来たので、ついでに芯出しをする。作業を行うのは、この工房を間借りしてフレームを作っている編集部トモヒロ。このようなビルダーの基本作業なら、編集部でできるところが強みだ。フレームは大きく曲がっていなかったが、ハンガー内部は汚れやサビが堆積して、けっこう削りカスが出た。

ハンガーのネジをタッピング。ハンドメイドショーでデビューしている編集部ビルダー、トモヒロが作業
サビや汚れが堆積しており、回すのに力がいる。だいぶ削れた、これでBB組み付けはスムーズだろう
定盤上でチェックすると、わずかだが左に曲がっている。棒をあてがってテコの力でグイッと修正。これで、フレームの芯が出た。古くても精度を再び出せるところがクロモリフレームのいいところだ

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PROFILE

ニシヤマ

Bicycle Club / 副編集長

ニシヤマ

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

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自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

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