特徴的なフィンラグにピンときた! 地方ショップ倉庫の掘り出し物をレストア
ニシヤマ
- 2022年12月16日
フレームを鑑定する
独特なハンガー部のフィンラグを見て、このフレームの制作はシクロウネなのでは!?と思った。シクロウネといえば、ブランド名はかの有名な三連勝だ。
当時のシクロウネは、千葉県松戸にあった。地域的にみても、ショップがこの工房にオリジナルフレームを依頼することは大いに考えられる。
これはビルダーに見てもらってはっきりさせたい。鑑定の結果は、やはりシクロウネ製だった。シクロウネは、創業者の今野 義が経営を退き、事業はMマキノサイクルファクトリーに受け継がれている。三連勝はもう作られておらず、海外でも幻の日本フレームとして人気が高い。
親戚の今野さんに鑑定を依頼
今野 仁はケルビムで、今野 義が三連勝、2人は兄弟だ。2代めの今野真一にとって三連勝は叔父さんのブランドだ。なのでフレームの特徴はすぐわかる。ビルダー今野 義の好んだフレーム工作は、長く細くのばしたラグのひげと、エアロな集合ステーだ。どちらの特徴も備えている。後にロストワックスで生産することになる仕様が、まだ手作りされている時代のものだった。
タッチアップでキズを隠す
三連勝とわかってフレーム補修作業にも、より熱が入る。タッチアップは、完璧な補修ではないが、目をごまかすにはじゅうぶん。やるとやらないでは、キズの目立ちかたに大きな違いがある。いつもならカー補修用で似た色を探してくるが、オレンジ系は少ないのでプラモ用カラーで調色することにした。
キズの部分に筆で塗料をのせてやれば、遠目にはキズはほとんど目立たなくなる。タッチアップパワーはなかなか。よく見ると前オーナーのタッチアップ跡も数々あった。同じ作業を通して、時を越え持主と再会したかのような感慨をおぼえる。
三連勝が鮮やかによみがえった!
※この記事はBiCYCLECLUB別冊[クロモリバイク徹底レストアBOOK]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- TEXT:西山貴之 PHOTO:大星直輝
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