70年代のナショナルフレームを発掘、メッキ面を生かしたレストアに挑戦
ニシヤマ
- 2022年12月18日
見たところブランド名もなく、どこのものかわからないフレーム。日本製ということはわかる。そして作りがていねいなことも。フレームの素性を探求し、時代に適したパーツでロードを作ってみよう!
今回は地方のとあるショップの倉庫で見つけた70年代のフレーム。ハンガー裏にナショナルとあるがマスプロ車とは思えない作りだ。果たしてどう生まれ変わるのか?
レイノルズ531のナショナル!?
梨地の仕上げは下地メッキのようだ。前の持ち主が剥離剤で塗装を落としたのだろう。ハンガー裏を見るとナショナル製なのは、すぐわかる。剥離されたことでパイプ名まで分かる。REYNOLS 531 BDの刻印、70年代では最高級素材。当時の最高レベルのロード。ワークスレーサーだった可能性も。
ナショナル531フレームをリフレッシュ
1972年製とおぼしきナショナルフレーム。パイプのよさからして、ワークス級の本格レーサーだった可能性が高い。
フレームのよさと、もうひとつ特徴的なのがメッキだ。フォークのコラム部などに塗料が残っていて、もとはイエローだったことが分かる。フレームの剥離にプロはあまり剥離剤を使わない。手間だからだ、スクレイパーでこすり落とすのに半日かかる。プロならサンドブラストで数十分だ。
ただこの苦労ゆえ531の刻印が発見された。作業をムダにしないために、塗装しないでこのメッキ面は生かすことに。
シートチューブの凹みをステンレスハンダで修復
気になるのは、シートチューブにある凹み。フロントメカバンドの締めすぎだろう。さて修復となると、通常はロウで埋める。今回、ステンレスハンダでへこみを埋めてみた。メッキの上にハンダはのるので、剥離の必要がない。ハンダは融点も低く、手持ちバーナーでも大丈夫だ。フレーム工房でない素人でもできる画期的なへこみ直しだ。
残った塗装などを剥離する
フォークに残っていた下玉押しを外してみるとその下にもイエローの塗料が。前の持ち主は、ヘッドパーツを外す工具を持っていなかったに違いない。残った塗料を、剥離剤を使って除去する。またサビの進行をとめるためにクリアを塗るので、ヘッドバッジなども外しておく。
サビ落とし&クリアでサビ止め
塗装を落としてから月日が経過しており、メッキの薄いハンガーの部分などかなりサビが進行している。いちどサビを溶かし落とす。それからクリア塗装を施してサビが進行するのを止める。ついでに内部の防錆処理もしておきたい。
味のある素材感のメッキクリア仕上げ!
こちらが完成したフレーム。仕上げにレイノルズ531のレプリカシールを貼る。デカールチューンではなく、フレームパイプのほうは本物だ。
※この記事はBiCYCLECLUB別冊[クロモリバイク徹底レストアBOOK]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- TEXT:西山貴之 PHOTO:大星直輝
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