Q/Nリーグ開幕戦、アメジストジャージは小田恵利花が獲得|しもふさクリテリウム
Bicycle Club編集部
- 2023年05月16日
5月7日(日)、千葉県成田市・下総運動公園で「しもふさクリテリウム MATRIX ヒヤリハンター杯 5月」が開催され、Q/Nリーグの今シーズン開幕戦がおこなわれた。以下、プレスリリースよりレースレポートをお届けする。
4期目を迎えるQ/Nリーグが開幕!
今大会はサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催で下総運動公園内にある1周約1.5kmの常設サイクリングコースでおこなわれ、トップクラスはもちろん、ジュニア、キッズ、女子にも人気が高く“しもふさクリテ”の通称で親しまれている。リーグ対象レースはQリーグとNリーグ中学生女子NWはレディースクラス、Nリーグ中学生男子Nは中学生クラスを走り、順位に基づくポイントを獲得しランキングを競う。
前日までの晴天から一転して朝から雨。昼過ぎには気温が下がり風雨が強くなる厳しいコンディション。そんな天候でも、大会ホストチームでJプロツアーを中心に活躍するチーム MATRIX POWERTAGの所属選手たちが、朝のサイクルクリニックや第1レースとなる120分エンデューロで参戦ライダーをエスコートしながら大会をあたためる。
120分エンデューロが終了し、10時40分にスタートとなったのがNリーグ中学生男子Nの対象レースとなる「中学生」クラス。今回は36名のライダーがエントリーし31名出走という、悪天候に反して出席率の高いレースとなった。6周回=9kmで競われる短いレース展開とはいえスタートから雨と風の強いなか、集団の速度が下がると思いきや、1周目からNリーグ登録の井上湧心(TEAM BFY Racing)を先頭に集団のスピードが一気に上がる。
2周回目では越川和音(川口自転車競技連盟)が単独で集団から抜け出して逃げ続ける。この逃げに追いつくためにメイン集団のスピードは上がり、徐々に15名までに絞られる。そして残り2周のタイミングで逃げていた越川を集団が吸収、最終周回では集団から1名が遅れて14名に。
雨の不安定な路面と土砂降りで視界も見づらいなか、少しでも早めに仕掛けたい!という思惑のなかで、拮抗する集団から一足先に動いたのは落合 隼。現在、中学3年生という落合は、昨年から自転車レースを始めたニューカマー。昨シーズン2022-23のNリーグシリーズ第12戦「大磯クリテリウム第5戦」中学生男子クラスで2位入賞の実力を、初出場となったしもふさクリテでも存分に発揮した。
ポイントリーダー授与式では「この後のNリーグシリーズ戦でも全て勝って、このバトルマリンジャージを守りたい」と熱い意気込みをコメントしてくれた。
一方で、昨シーズンのNリーグ年間総合ポイントリーダー稲葉恵人(TEAM BFY Racing)は落合に続く2位と健闘はしたものの、非常に苦い表情を浮かべていた。「(昨年)1年かけて、ようやく手に入れたリーダージャージを今シーズンも着続けたかった。今日は絶対に勝たなければいけないレースだった。本当に悔しい!」とコメントしながらも、次戦に向けて気合を入れていた。
この後、キッズの年齢別レースを挟んで12時6分にスタートしたのはQリーグ、そしてNリーグ中学生女子NWの対象レース「レディース」クラス。エントリー22名と多かったものの、こちらは悪天候ということもあり13名の出走に。
しかし5周回=7.5kmで争われたレースは、最初の1周回目から福島 舞(WCU)が牽引する先頭集団が、先ほどの中学生レースのようなハイスピードとなり一気に10名に絞られる。その集団のなかには、昨シーズンのNリーグ中学生女子NWで年間総合ポイントリーダーとなった⻄山千智(High Ambition 女子サイクリングアカデミー)の姿も。
しかし3周目に入るとさらにスピードが増し、⻄山を含めた4名が先頭集団から脱落。残る6名の集団は一層激しく降る雨のなかを、声援を受けて走り続ける。そこには今年4月に中学生となったばかり、念願のNリーグ登録をした小田島寛奈(#1-PRIMERA-)もいる。
そして最終周回まで6名の固まりのまま、ゴールスプリントに突入。少し先に出たのが今年3月のレースで、昨シーズンQリーグ年間総合ポイントリーダーとなった岡本彩那(ブラウ・ブリッツエン)に競り負け、悔しい思いをした篠塚萠依(AVENTURA)と、今シーズン初リーグ登録となった小田恵利花(フィッツ)の2名。この一騎打ちは、わずかなタイヤ差で篠塚に軍配が上り、優勝を決めた。
惜しくも2位となった小田は、昨日開催のCoupe du Japon MTB2023シリーズ戦・びわ湖高島Stage XCOで2位という快挙を果たし、そのまま滋賀県高島市から車を1人で運転して千葉県成田市のレース会場まで移動して参戦。普段からフィッツのチームジャージでBioracerジャージを着こなしていることもあり、アメジストジャージの着心地は「最高です!」とうれしそう。
「展開的には逃げるか?(スプリントで)刺すか?で、勝つために最後まで悩みましたが結局、僅差で負けてしまいすごく悔しいです。悔しさでいっぱいです!」と苦い表情を見せた。今後の意気込みとして「最終戦まで、このジャージを守りたいので、ご声援をお願いします!」と冷たい雨のなか、弾ける笑顔でコメントした。
そんな小田と篠塚の一騎打ちのすぐ後ろ、1秒遅れで3位争いを展開し4位とはなったものの年代別カテゴリーで優勝を果たした小田島は、ガッツ溢れる走りが素晴らしく「とても寒かったけど、(先頭集団と)最後まで一緒に走れてよかった」と安堵の表情。中学1年生ながらレース経験は⻑く「今までトライアスロンに参加していましたが、自転車に乗るのが楽しいのでロードレースに出るようになりました。秋からはシクロクロスにも出たいと思います」と意欲満々でバトルマリンジャージの袖に腕を通した。
今後の活躍にぜひ注目していただきたい1人だ。
レディースレースの後には今回も将来、競技者を目指す中学生・高校生向けの「ジュニア強化レース」を大会協賛社の提供で開催。今大会にエントリーしていれば参加料は無料、年齢の近い同士で手合わせをするような積極的レース展開で、こちらも会場を盛り上げていた。さらに「レディース割引サービス」として、レディースクラスだけでなく120分エンデューロに出場する場合でも女性なら一律2000円で参加できるサービスも継続しておこなっている。このようなジュニアや女子にうれしい制度もサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催大会の大きな魅力の1つだろう。
スタートした4期目のリーグ戦、対象レースでのリーグ登録選手たちの熱い闘いと走りは、隅に追いやられがちな「女子」「中学生・ジュニア」の存在を改めて示した。自転車レースの未来を担う大事で重要な存在として認知を広げていきたい。
さらにリーグのランキング制度を始めた理由の1つに、未だ見ぬ優秀な選手たちを取りこぼしのないように注目してもらう機会作りという考えがある。そこからランキング上位の選手のうち数名が当初チーム所属なしだったのが、レースで注目され仲間や知り合いが増えることで、しばらくしてクラブチーム等への加入が決定しているケースを見かける。なによりもさまざまなレース会場で仲間や友人が増えているのは非常に微笑ましい。良き仲間、そして良きライバルが集まれる場所をレースやチームとともに広げていくためにも、皆さんにリーグを便利に利用いただければ幸いである。
今後もリーグ対象レースを拡大することで登録する女子・ジュニアの活躍の場も広げていきながら、さらに多くの方々に日本自転車レースの面白さと楽しさを「エリート男子」以外の機会で知っていただけるよう活動を続けていきたい。そして、Qリーグ・Nリーグのポイントリーダーの証・アメジストジャージとバトルマリンジャージを巡る熱い戦いにご注目いただきたい。
しもふさクリテリウム MATIRX ヒヤリハンター杯5月
公式ホームページ
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写真撮影:Yosuke SUGA、QN リーグ事務局 テキスト:須藤むつみ(QN リーグ事務局)
協力:サイクルロードレース協会東日本(MATRIX)
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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