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3つの要素を楽しむレース「ルール・オブ・3」に3人1組で参戦|竹下佳映のグラベルの世界

アメリカで活動するグラベル界の第一人者、竹下佳映さん。今回はアーカンソー州の北西部、ベントンビルで行われたグラベルレース「ルール・オブ・スリー(Rule of 3、以下RO3)」に参戦した。ターマック(ロード)、グラベル、シングルトラック(MTB)3つの要素が詰まったコースを3人で走るこのRO3、普通のグラベルレースとはひと味違うというのだが、果たしてどんなレースなのだろうか?

“マウンテンバイクの世界の首都”、ベントンビルへ行ってきました

今年はすでにいくつも大会に参加していますが、なかなか執筆が追い付かず……。春の大会の話はまた今度するとして、この今回は先週末に参加した大会についてお話します。

The Mountain Biking Capital of the World. OZ Trails google MAPより

目的地はアーカンソー州の北西部に位置するベントンビル、オザーク高原地帯です。2021年に初めて訪問してから、この街を訪れるのは3回目です。ちなみに車で35分くらいでシクロクロス世界選手権が行われたフェイエットビルがあります。

芸術とバイクの街ベントンビルはマウンテンバイクトレイルが充実

ベントンビルは売上額で世界最大の企業であるウォルマートの本社があることで知られています。また「マウンテンバイクの世界の首都」というニックネームでも知られています。つい先日も、米国でMTB旅行・目的地ランキングで堂々1位でしたし、まるでMTB乗りのディズニーワールド、と言われたり。日本でも人気の自転車アパレルブランド「Rapha(ラファ)」も、数年前にこの街に米国本社を移しました。

山という山があるわけでもないのに、どうしてそんなにMTBが人気なの?という疑問は私自身も持っていたのですが、その理由は、巨大小売企業ウォルマートを創業した現在世界一の資産を有するウォルトン一族が、巨額の資金をマウンテンバイクトレイルにつぎ込んでいるからなんです。同家が資金提供した大きな美術館も素晴らしいし、来るたびに急激な成長ぶりが目に見える芸術とバイクの街です。

さて、それでは私はマウンテンバイク大会に出場しに行ったのかというとそうではないのです。旅のお供はLauf Seiglaグラベルバイク。じゃあ、グラベルレース?と聞かれると、う~ん、そうだけど、そうでもない。

「マウンテンバイクの世界の首都」The Mountain Biking Capital of the World. OZ TrailsのWEBサイト
https://www.oztrails.com/

たった30席で、12人くらいしか搭乗しなかったので、好きなとこ座っていい?と聞いたら、「ご自由に」とのことでした。バスに乗る感覚! Photo:Kae
去年までは長距離運転しての遠征が多かったのですが、今年は結構飛行機移動が多くなりそうです Photo:Kae
旅客ターミナル一番乗り! 空港には誰もいません(笑) Photo:Kae

「ルール・オブ・スリー」に3人1組で参戦する
グラベル87km、MTBシングルトラック43km、ロード30km

今回初挑戦戦したのは、ルール・オブ・スリー(Rule of 3、以下RO3)という大会です。

RO3の3はグラベル、シングルトラック、ターマック(舗装路)の3つを意味します。100マイル(160km)のコースのうち、グラベルが87km、MTBシングルトラックが43km、ロードが30kmの配分です。

エントリーは通常の「個人選手」のほか「3人1組チーム」もあります。私がパナレーサー・グラベルチームに所属した初年から長く付き合いのある、MoveUp OffRoadチームのマスターズクラスの2人ロジャーとグレッグからお誘いを受けて、男女混合チームの一員として参加しました。両者ともMTBエキスパート。

シカゴの友人、JVとキムの機材チョイスはマウンテンバイク。あちこちの州からたくさんの友人・知り合いが来ていました! Photo:Kate Austin
前日は一日中大雨 Photo:Kate Austin

木曜午後に予定していたコース一部の下見の時間が遅くなり、若干薄暗く見え辛い森でのシングルトラック、特に片側が崖のようになっている区間は怖かったですね! 木曜夜から金曜日中はずっと大雨だったので、レース前日はジロ・デ・イタリアを観て、午後にバイクショップで買い物して、登録者チェックインだけしました。

天気に恵まれ、レーススタート

当日は前日の大雨が嘘のような素晴らしい天気でした。暑過ぎない気持ちいい夏の日。あれだけの降水量がいったいどこに行ってしまったのだろうと思うほど、トレイルもグラベルもコンディションが良く、泥の部分はほとんどありませんでした。洪水状態になっているかも、と心配した小川渡りもちょっとシューズに水がかかった程度。その土地の地質にもよるのでしょうが、シングルトラックはプロのトレイルビルダーがデザインし作っているだけあって、通常よりも水はけが良いのかもしれないです。

大会2日前にコース進行方向が逆になったため、スタート直後にまさかの川渡り Photo:Kate Austin
チーム参加者専用のチェックポイントがコース上に数カ所あり、必ず止まって課題をクリアしないとならない。速く走ればいいだけではないのがチーム戦 Photo:Kate Austin

シングルトラック区間、特にコース最後の30km部分にたくさんあったテクニカルな所は、とにかく長く感じました。森の中をくねくねと曲がり続けアップダウンの随分激しい場所だったので、視界に入る景色はクルクル変わるし、特にスタート直後のシングルトラックは脳への刺激が十分過ぎる程でした! 下見のときと違って外は明るく視界がはっきりしていたので、安全に落ち着いて走れたのは良かったです。まぁ、大きな石で滑りそうになったときや、何かに予期せずタイヤのサイドがぶつかったとき、先が見えないほど急なところで「うわー、びっくりした!!」「危っな!!」と思わず日本語が出たので、チームメートの2人は「いったい何が起こっているんだ!?」と思っていたようです(笑)。

グラベルと舗装区間は、この春のトレーニングのおかげでかなり調子良かったです。ここで時間稼がないと他にどこでするんだと張り切ってペース上げて走ってたら、たまにロジャーとグレッグに「スピード落として!」と言われました。チーム戦ですから、常に3人で走り、フィニッシュも3人で、がルールです。

この辺は石ばかりのグラベルなので、グラベル区間が終わった直後ではパンク続出 Photo:Kate Austin
フィニッシュラインはシクロスタイル #CrossIsComing Photo: Kate Austin

RO3でのチームエントリーのいいところ

やってのけました! 左からロジャー、Kae、グレッグ PHOTO: Dan Hughes

チームごとに出発の時間が決められているのでスタートが楽。タイムトライアルのように、決められた順に1分おきに出発します。早起きして会場に早く行って、行列ができる前にトイレを済ませて、スタートライン前方に場所取りするのに寒い中長く待つ、というストレスが皆無なのです。そしてスタート直後の競り合いがなく、3人で徐々にペースを上げて……というスタイルで進めたので、初っ端からレッドゾーンに入ることもなく、これまた楽。

More the merrier=多ければ多いほど楽しい、多ければ多いほど良い。個人バトルも達成感抜群ですが、一緒に仲間とやり遂げるのは、また違った面白みにあふれますね。個人個人の不得意な部分を得意な人が補って、という、いつものグラベルレースではなかなか味わえない経験です。

私のチームメートは2人ともMTBエキスパートなので、シングルトラック区間では、1人が私の前、もう1人が私の後ろ、という形を取りました。これで私は良いラインを選んで進むことができるし、万一後れを取っても、後ろに誰かがいるのでトラブルにならない。独り練習ではなかなか得られない、私にとっては最高のスキルトレーニングの時間になりました。

また、「競う」の他に楽しみ要素があります。チームはただ速いだけでは勝てない設定。補給地点とは別にチーム参加者のみ立ち寄らないといけないチェックポイントがいくつか設置されていて、各チェックポイントの課題をクリアしないとその先に進めません。例を挙げると、手を使わずにひもでぶら下がったドーナツを食べきる、コーンホールゲームをする(日本の輪投げみたいな、アメリカでは正式なスポーツでもあるらしい遊び)、など。去年は川の中に入って、金色に塗られた小石を探す、というのもあったようです。

タイヤは思い切って50cをチョイス、これが正解だった!

50cを使うのは久しぶりです。パナレーサー、グラベルキングSK。それでも余裕のタイヤクリアランス Photo:Kae
  • バイク:Lauf Seigla (チーム3人ともLaufバイクで挑みました!)
  • タイヤ:Panaracer グラベルキングSK 50c
  • ドライブトレイン:SRAM XPLR

メンテ皆無、ロックアウト不要、軽量、舗装でも全く気にならないグラベルに最適なサスペンションフォークで有名なLaufバイクは、今回のようなコースではいつも以上に機材パフォーマンスの本領発揮。あれだけガタガタのグラベルと、まだ終わらんのか!と思うくらいのシングルトラックだったのに、レース最中だけでなく、完走直後も翌日も、腕も肩の疲れ方が全然違う。疲れてない!

石ベースのグラベル。スムーズな表面もあるが、荒いところもある Photo:Kae

タイヤの選択も大正解でした。40cくらいの大きさのタイヤを使う人も結構いたようですが、私のフレームには2.25インチタイヤまで余裕で入るので、思い切って50cにして良かったです。50cを大会で使ったのは去年のアイスランドでのThe Rideに続き2回目で、「軽いのが速い」ではなく「Smooth is Fast」(スムーズなのが速い)が重要なコースだからこその選択でした。空気圧も20psi まで落としてグリップもしっかり、乗り心地も良い、シングルトラックも安心と3拍子そろっています。

3人ともLauf Photo:Kae

ウェアで特記したいのはElielのカーゴビブ。10年前に買ったショーツにもポケットはついていたので、最近いろんなブランドで流行っているポケット付きのものにはそこまで執着がなかったのですが、今回考えを改めました。食べ終わったジェルやバーの包装ゴミを入れておくくらいにしかポケットを使ってなかったのですが、 食べ物そのものを入れておくとアクセスしやすいですね。何を今さら、と思う方もいるかもしれませんが、普段レースでは、ワンピース・スーツ着用が多いので、これは新発見でした。路面が荒い場合、トップチューブバッグに比べて、中身(=補給食)が弾んで飛び出し落ちてしまうということが少ない。これ、大事ですね。

男女混合カテゴリーで優勝! 賞品はバイクと共にヘリコプターライド!?

レース後は、パーティーモード全開の会場。これは、日焼けラインのコンテスト。ほかにもコンテストたくさん。賞品が豪華! Photo:Kae

私たちの前に出発した男女混合チームは、1チームを除き全て追い越しました。私は体力と脚の調子は最後になっても衰えませんでしたが、もうシングルトラックはお腹いっぱいだな~と思ったぐらいに、やっと完走! プロMTB女性選手がいる男女混合チームが、私たちより45分も前にフィニッシュしていたようですが、チームチェックポイントで確認されていない、コースから外れたのに、折り返して正しいコースに戻ることなく近道をしていた(?)模様。レースリザルトから外されたので、私たちのチームが男女混合カテゴリーで優勝となりました。

PHOTO: Dan Hughes

なんと賞品は、バイクと共にヘリコプターライド! ヘリで移動して、バイクと一緒に片道ライドのスタート地点に降ろしてもらって、追い風を背に走って一日過ごす……らしいです!? すごい! 紅葉の季節に3人でまた集合して行こう、そのときにもっとベントンビルを楽しもう、と今から計画を練るのが楽しみです。

6月はまた予定がたくさん詰まっています。
一番楽しみにしているのは、フィンランドでの大会です。こちらのレポートもお楽しみに。

じつは、春には2人1組のレースにも参加していました。こちらも連載記事にする予定です。日本にいるグラベルファンの方で、いつかアメリカの大会に出たいと思っている方は結構いると思いますが、日本で知られているイベント以外にも最高に楽しいのがたくさんあります! 私も新しいこと大好きなので、これからも新しいグラベル大会を見つけて、レポートを記事にしたいと思っています。

RO3大会公式WEBサイト
https://www.ruleofthree.bike/

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PROFILE

竹下佳映

竹下佳映

札幌出身、現在は米国シカゴ都市部に在住。2014年に偶然出会ったグラベルレースの魅力に引かれ、プロ選手に混ざって上位入賞するなどレースに出続けている第一人者。5年間グラベルチーム選手として活躍し、2022年からはプライベーターとしてソロ活動。ここしばらく飛んでいないが飛行機乗り。

竹下佳映の記事一覧

札幌出身、現在は米国シカゴ都市部に在住。2014年に偶然出会ったグラベルレースの魅力に引かれ、プロ選手に混ざって上位入賞するなどレースに出続けている第一人者。5年間グラベルチーム選手として活躍し、2022年からはプライベーターとしてソロ活動。ここしばらく飛んでいないが飛行機乗り。

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