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レムコがロードレースの雪辱! 個人TTを勝ちアルカンシェル取り戻す|UCI自転車世界選手権

イギリス・グラスゴーで開催中のUCI自転車世界選手権は、現地8月11日にロード競技・男子エリート個人タイムトライアルが行われ、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が47.8kmのコースを平均時速51.847kmで走破。トップタイムをマークし、この種目では初優勝。エリートカテゴリーではキャリア2回目となるマイヨ・アルカンシェルを獲得。同時に、ベルギー自転車界では史上初となる個人タイムトライアルでの優勝者となった。

ロード・TT両種目でのアルカンシェルは史上2人目の快挙

UCI(国際自転車競技連合)が初めて試みた“スーパー世界選手権”。今後、五輪前年の開催を基本としていくことから、五輪本番への予行演習としての意味合いも強くなっていきそう。トラックとロード、マウンテンバイクとロード、といったように競技をまたいでの活動をする選手にとっても、スケジューリングや調整方法を試す場となっているようだ。

ここまで順調にプログラムを紹介しているロード競技は、男子エリート2種目めの個人タイムトライアル。主会場のグラスゴーから北西に位置するスターリングを発着地とし、レース距離47.8km、獲得標高352mのコースが設けられた。

いくつかのアップダウンが特徴で、とりわけ最後の8kmは断続的な上り基調。フィニッシュ前750mは6%の上りかつ石畳の路面で、スターリング城に敷かれるフィニッシュラインに向かっての最後の踏ん張り。ここまで実施してきた男女各年代別のカテゴリーにおいては、この上りで大小の差がついており、男子エリートも当然ながらここでどれだけ追い込めるかがポイントになる。

今回は78選手が出走。まず基準タイムとなったのが、10番出走となったライアン・マレン(アイルランド)の58分21秒。有力視される選手のほとんどが後半出走だったこともあり、しばらくはトップタイムとして残った。

長く破られずにいたマレンのタイムを、46番目にコースへと出たデレク・ジー(カナダ)がついに上回る。前半から中盤にかけてのアップダウンでペースアップすると、34.7km地点に設置された第2中間計測からトップに。フィニッシュでは58分17秒とマレンを4秒上回った。

この後からは次々とタイムトライアル巧者が出走。53番目に出発したローソン・クラドックも前半から中盤にかけてペースを作って、フィニッシュタイムは57分55秒。最初の58分切りとしてトップに。すると、その2人後に出発したネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)も序盤から飛ばして、途中3回ある中間計測ポイントすべてでクラドックのタイムを更新。フィニッシュでは57分11秒を記録し暫定トップに。今季限りでの引退を表明し、これが最後の世界選手権となった過去2度優勝のローハン・デニス(オーストラリア)は、途中までトップタイムで走りながらフィニッシュに向かう上りでメカトラブル。バイクを交換して最後の数百メートルを急いだが、タイムロスは否めずオリヴェイラに1秒届かなかった。

ここまでの流れを一変させたのは、60番出走のジョシュア・ターリング(イギリス)の走りだった。スタートから早々にペースに乗せると、12.6km地点に置かれた第1中間計測で14分3秒とトップタイムを更新。第2中間計測を迎える頃にはここまでの一番時計を1分近く上回り、フィニッシュタイムが焦点に。最終局面の石畳もこなすと、時計は56分7秒でストップ。アベレージスピード51km/h超えとなる快走でトップに立った。

©️ UCI

これで水準が上がった一方で、優勝候補選手たちはなかなかターリングのタイムに届かない。大注目だったワウト・ファンアールト(ベルギー)は前半から遅れ、第2中間計測では1分以上の差。後半にペースを上げたものの、それでもフィニッシュでは49秒遅れ。ブランドン・マクナルティ(アメリカ)が38秒差とまとめて暫定2位とするが、タデイ・ポガチャル(スロベニア)も序盤から大きく遅れ、優勝争いから早々に脱落した。

残すは前回の上位選手たちとなり、74番目にスタートしたフィリッポ・ガンナ(イタリア)が下馬評どおりの好走。今大会はトラック競技・インディビジュアルパシュートで優勝するなど好調で、その勢いのまま個人タイムトライアルへ。第1中間計測を13分57秒で走ると、第2中間計測では39分34秒でターリングを完全に上回る。この間に前走者のジェイ・ヴァイン(オーストラリア)やポガチャルをパス。43.5km地点に置かれた第3中間計測も49分33秒として、フィニッシュタイムに注目が集まる。最後の上りも力強くこなすと、55分31秒としてターリングの記録を36秒更新。この段階で一番時計とした。

© Getty Images

ただ、この日最も強く、速かったのはレムコだった。最後から3番目、76番目にコースへと出ると、第1中間計測こそガンナから4秒遅れたが、直後のアップダウンから完全にスピードに乗せ、第2中間計測では39分22秒でトップに。第3中間計測も49分22秒で通過すると、フィニッシュへ向かう石畳の上りでもペダリングは衰えず。フィニッシュでは55分19秒を記録し、文句なしのトップタイム。その前にスタートしていたゲラント・トーマス(イギリス)や、前回2位のシュテファン・キュング(スイス)、そして2連覇を狙ったトビアス・フォス(ノルウェー)がいずれもタイムを伸ばせず、レムコの個人タイムトライアル初制覇が決まった。

© Dario Belingheri / Getty Images

23歳7カ月でのアルカンシェル獲得は、この種目においては史上最年少。自転車王国ベルギーにあって、意外にもこれまで個人タイムトライアルで世界王座に就いた選手はゼロ。同国選手初のTT世界王者となった。昨年はロードレースで勝っており、エリートカテゴリーでは自身2度目のマイヨ・アルカンシェル。これも、1995年にロード、1998年に個人タイムトライアルを勝ったアブラハム・オラーノに続く2人目の快挙となった。

好調でグラスゴー入りしていたが、8月6日に行われたロードレースでは勝負に絡めず。個人タイムトライアルも、ロードレースで上位に入った選手たちが軒並み苦戦していた中、レムコだけは別次元の走りを披露。雪辱を果たすとともに、8月26日からのブエルタ・ア・エスパーニャへ最高の足掛かりとした。

© Dario Belingheri / Getty Images

最終的に、2位にはガンナが、3位にはターリングが入った。ガンナは2年ぶりの王座奪還ならずも、今大会ではトラックと合わせて3つ目のメダル獲得。昨年はジュニアでこの種目を制していたターリングは、アンダー23カテゴリーを飛び級してエリート1年目での殊勲の走り。今後の若手注目株となることは間違いない。

©️ UCI

なお、勝ったレムコのアベレージスピードは51.847km/hで、36.2kmで争われた男子アンダー23(50.512km/h)、22.7kmの男子ジュニア(47.817km/h)を上回った。

優勝 レムコ・エヴェネプール コメント

© Dario Belingheri / Getty Images

「今シーズン最大目標の1つだった。私にとっては決してピッタリのコースとは言えなかったが、それでもやり遂げられたことに大きな価値がある。第2中間計測でトップに立っていたことは把握できていて、その後のアップダウンでもペースに乗せられるだろうと思っていたので、勝てる手ごたえは十分にあった。パーフェクトなレースで、想定よりはるかに速く走ることができた。最後の上りは厳しかったが、そこもしっかり踏ん張れた。いまはこの結果と、ここから12カ月間美しいジャージを着られることを誇りに思っている」

UCI自転車世界選手権 男子エリート個人タイムトライアル 結果

1 レムコ・エヴェネプール(ベルギー) 55’19″23(Avg.51.847km)
2 フィリッポ・ガンナ(イタリア)+12″28
3 ジョシュア・ターリング(イギリス)+48″20
4 ブランドン・マクナルティ(アメリカ)+1’26″91
5 ワウト・ファンアールト(ベルギー)+1’37″23
6 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)+1’52″46
7 ローハン・デニス(オーストラリア)+1’53″66
8 マッティア・カッタネオ(イタリア)+1’56″78
9 ミッケル・ビョーグ(デンマーク)+1’58″96
10 ゲラント・トーマス(イギリス)+2’04″47

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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