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10回目の開催を迎えたツール・ド・東北を走った!  復興への思いは次のステージへ

東日本大震災の復興支援と、その記憶を未来につなぐために開催されてきたツール・ド・東北。第10回目の開催となった今回は、参加者たちも特別な思いをもって臨んだ大会となった。

参加者数は約2000人。昨年よりも増加!

大会は9月16日(土)に奥松島グループライド&ハイキングが行われ、翌17日(日)に65kmの女川・雄勝フォンドから210kmの気仙沼フォンドまで4つの距離のロングライドが開催された。

出走者数は1906人(主催者発表による)。2019年に記録した約4000人には及ばないが、昨年の1500人から増えた形だ。

スタート地は石巻市の石巻専修大学。前日のセレモニーでは大会サポーターのツール・ド・東北フレンズの・道端カレンさん、パンサー尾形貴弘さんをはじめ、主催者、開催地の首長らが集まり、大会の成功を祈念した。大会スローガン「応援してたら応援されてた」の横断幕に、すべての関係者の思いがこもる
会場にはこれまでの10回ぶんの記念ジャージが飾られ、感慨深く見入る人が多かった
各フォンドごとに段階スタートするが、その前に東日本大震災の犠牲者鎮魂のための黙祷が行われた

石巻から神割崎で折り返す100kmコースに参加!

バイシクルクラブが参加したのは約100kmの北上フォンド。石巻をスタートして海岸沿いのリアスブルーラインを走り、白浜を経由して神割崎でUターン、北上川沿いに再び石巻専修大学にゴールする。朝はスッキリしない天気だったが、スタートする頃には日差しが出てきて、暑くなりそうな予感。

スタートは15人程度のグループに分かれ、混雑を防ぐ方式。朝5時半の気仙沼フォンド(210km)から9時半の女川・雄勝フォンド(65km)まで、4時間もスタートが続く
東北は稲刈りの直前。黄金色の田んぼが美しい
走っていると真新しい橋や道路、堤防が目立つ。どれも震災後に新しく造られたもの。こうした建造物は走るたびに増えていて、このイベントに参加することで、復興が着実に進んでいることが肌で感じられる
沿道の応援がすごいのもツール・ド・東北の特徴。ツール・ド・フランスみたいな応援が楽しい!

エイドステーションのボランティアもみんな楽しそう!

ツール・ド・東北といえば充実したエイドステーションでも有名。今年も地元の食がふんだんに振る舞われた。感動するのはボランティアでフードを提供している人たちが、みんな楽しそうなこと。参加者だけでなく、もてなす側もこのイベントを楽しんでいる。だからツール・ド・東北はあったかいんだな。

最初の女川ASで出されたのは名物女川汁。女川でとれた新鮮なサンマのすり身汁が心にしみる
雄勝ASではホタテ焼き。新鮮で大振りなホタテは毎年このASの名物
ほら、こんなに大きなホタテなんです!
折返しの神割崎ASではサーモンカツカレーが振る舞われた。南三陸特産のサーモンをカツにした名物
北上ASでは冷やしわかめうどん。味付けめかぶがトッピングされていて、これまたおいしい!

ほかにはないエイドステーションのサービスが楽しい!

エイドステーションではフードだけではなく、サントリーの協賛でドリンクも大量提供。さらにほかのイベントにはないサービスで参加者を楽しませた。

DA・KA・RAやペプシコーラ、C.C.レモン、やさしい麦茶などが飲み放題!
火照った体に冷たい水をかけてくれるサービスは大好評
花王が提供した手洗いサービス。モニターを見ながら30秒手を洗うことでコロナを予防する

コースは平坦基調だが海沿いはそれなりにキツい!

コースは海沿いのアップダウンあり、川沿いの快走路ありとバリエーションに富んだもの。折返し手前の坂がけっこうキツく、心が折れて歩いてしまう参加者も。でも帰路の北上川沿いは追い風もあってスピードが出る出る!

距離100kmで獲得標高約800m。細かいアップダウンがほとんどだが、折返し付近には長い坂もあった

震災遺構となった大川小学校に立ち寄る

今回走りながら感じたのは、震災で犠牲になった方々の慰霊塔や鎮魂モニュメントなどが多く建ったこと。復興の道のりが、生活を取り戻すところから、過去を悼むところまで来たのかもしれない。そして帰路で寄ってみた震災遺構の大川小学校。津波で多くの犠牲者が出た場所だ。2018年に取材で訪れたときより整備が進み、敷地内には2021年7月に開館した大川震災伝承館も建っていた。コースから少しだけ外れるので、そんなに寄る人はいないかなと思っていたが、大勢の参加者が自主的に訪れていた。いつ来ても心が引き締まる。まだ行ったことのない人にもぜひ訪れてほしい場所。

北上地区(もとの北上町)にあった慰霊碑と「希望の鐘」
この慰霊碑にはこの地区の犠牲者全員の名前と年齢が刻まれていた
震災遺構となった大川小学校。多くの児童と職員が犠牲になった場所だ
大川震災伝承館で展示に見入るサイクリストたち
教室にあった時計も展示されていた。津波の起こった時間を指して止まっている
震災の前と後の写真を比べてみると、その悲惨さに胸を締め付けられる

これまでありがとうヤフー。来年からは新体制でスタート!

サイコンの距離がしだいに100kmに近づき、ゴールが近いことを教えてくれる。見覚えのある道路に出た。そうだ、スタートで逆に走った道だ。そして石巻専修大学の建物が見えてきた。それまでいいペースで走ってきた5〜6人の集団のスピードが落ちる。ゆっくり最後の時間をかみしめるようにペダルをこいでいく。みんなもっとこのツール・ド・東北を走っていたいんだろう。ロングライドイベントでいちばん好きな時間だ。そして名残惜しい気持ちとともにゴール。

ああ、もう終わっちゃうんだ、と思えるイベントはいいイベントだと思う

このツール・ド・東北、これまで大会を支えてきたヤフーが今回を限りに主催から降りることが発表された。これまでありがとう、ヤフー。第1回目の開催に際し、このツール・ド・東北を10年間は必ず続けるという約束を守ってくれた。そのパワーがなければこのイベントは有り得なかった。いち参加者としてとして感謝しかない。そして来年からは実行委員会方式をとり、河北新報を中心とした新しい体制で開催されることも決まっている。

震災の記憶を未来へつなぐ。ツール・ド・東北は終わらない。

 

DATA

大会名:ツール・ド・東北2023
主催者:河北新報社/ヤフー
開催日:2023年9月16日(土)〜17日(日)
開催地:宮城県石巻市、気仙沼市、女川町など

 

 

 

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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