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富士スバルラインで味わった自由の感覚|Specialized S-WORKS AETHOS

連載「峠の肖像」最新回において、富士スバルラインを走った。タイムばかりが語られるこの登坂に一石を投じたいと原稿を書く前に意気込んでいたが、一度走り出すとそれは杞憂だった。Aethosというバイクで登り始めたら、頭の中の雑念は消え、ただ眼の前の坂を楽しむマインドにスイッチした。

スペシャライズドの提唱する「3 Icons」はブランドの中核をなす3車種Tarmac、Aethos、Roubaixを表現したもの。Tarmacには「勝利」、Roubaixには「挑戦」が掲げられているが、今回富士スバルラインを走るために選んだのはAethos。「自由」を体現するバイクは、金銀銅のしがらみから、ものの見事に開放してくれた。

じつは筆者は、個人的にAethosを所有している。過去にレビュー記事を書くために乗ったところ、その乗り味とコンセプトに共感し、自分でも一台購入してしまった。今もメインバイクとしてあちこちの峠を走っている。派手さはないが、飽きることのないバイクだ。端的に気に入っている。

▼過去の記事はこちらをチェック!

最高のライドはすぐそばにある|Specialized AETHOS

最高のライドはすぐそばにある|Specialized AETHOS

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S-WORKS AETHOSの気持ちいい乗り方

今回乗るのはS-Worksグレード。フレーム素材にスペシャライズドが誇る最上級カーボンFACT 12Rを奢り、フレーム重量585g(56サイズ)という尖ったスペックを誇る。私が所有するProグレードでフレーム重量699gだから、その軽さが際立っている。というよりも、Proグレードでも超軽量の部類なのに、これ以上軽いことに恐れ、慄いてしまう。

果たしてその走りはシャープであった。踏み出しのその瞬間から前に進ませてくれるような反応の良さがある。ダンシングではバイクが軽すぎて振りの感覚を掴むのに最初は戸惑うが、慣れればいつもより1枚重いギアでグイグイと走りたくなる。

実際のところ、ハイケイデンスで軽めのギアをくるくると回すのもいいが、ギアをかけてトルクに頼る走り方をすると進む感覚が強まる。乾いた走行感覚はAethosならではだが、S-Worksグレードだとそれが顕著で、どこまでも軽快さが印象に残る。

軽量バイクだから登坂性能に目が行きがちだが、筆者が強調したいのは下りの気持ちよさ。軽量フレームとは思えないほどしっとした安定感があり、ふらつかずに狙ったラインを通せる。ケーブル外装のバイクにも関わらず、その安定感故に下りではかなりスピードが出る。

クライマーズハイを味わうために

このフレームはツール・ド・フランスの山岳ステージも走っている(2021年、カスパー・アスグリーン)ことからトップレースを走れる性能を十分に証明済みだが、やはりレースと言うよりは、登坂を含むサイクリングで使ってみたい。一日に何度も峠を超える、気ままだけれど長い一日を、この軽量バイクならすべての瞬間を喜びに変えてくれる。上りの軽快さと下りの安定感。レースバイクにありがちな過度な剛性感も無いから、ライドが好きな一般サイクリストにこそフィットするバイクだと言える。

正直に言って、富士スバルラインは登っていて楽しい道ではない。勾配は変化に乏しく、風景の変化も少なく、距離を重ねても既視感に苛まれる。それでも、長い登坂距離を考えながら、自分がマネージできるぎりぎりのペースを探りながら追い込んでいく走りをしていると、ぴたりと気持ちよくなる瞬間がやってくる。登坂を愛する人なら経験があるであろうクライマーズハイだ。

しかしこれは、常に味わえるものではない。登坂に真に集中した時に初めてやってくるボーナスのようなもので、バイクにどこか違和感があれば当然味わうことはできない。Aethosは個性的なバイクでありながら、その走りに尖った個性はない。「個性がないことが個性」と言ってもいいくらいで、マーケットでバイクを売るためには頭の痛い問題かもしれないが、ひとりのサイクリストとして乗る時にこれほど魅力的なバイクはない。

自由と向き合う勇気を持つ

低速で走ることに罪悪感を覚えるようなエアロロードでは、この高揚感より先に踏み切れない自分への呪詛がやってくる。だがAethosは非難しない。されど肯定もしない。ただ、ライダーに寄り添ってくれる。このライドを豊かなものにするかは、あなた次第ですよと囁いてくれる。なるほど確かに自由な一台だ。

私達は「自由」を与えられることに慣れていないから、このバイクでどう走っていいか戸惑ってしまう。セルフペイントを前提としたヌードカーボンのカラーラインナップがあるくらいだから、どこまでも自由にやっていいバイクであることは間違いない。

長い長い富士スバルラインの下り坂で、先程まで登っていた対向車線を見ながら、味わった無我の境地を反芻する。私はこのバイクで、日本全国あらゆる峠を訪れてクライマーズハイを味わいたくなっている。自由に、けれど自らに妥協をしないペースで。

S-WORKS AETHOS

フレームセット価格:660,000円
完成車価格:1,705,000円(DURA-ACE DI2)、1,364,000円(SRAM RED ETAP AXS)

「S-WORKS AETHOS」の
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スペシャライズド 3 Icons、次回は「Roubaix」で信州グラベルへ

スペシャライズド 3 Iconsには他に「勝利」を体現するTarmac、「挑戦」を掲げるRoubaixがある。次回記事ではRoubaixで信州のグラベルを含む登坂に挑む。

 

エンデュランスロードとして、ライダーのタフな「挑戦」するスピリットをサポートするRoubaix。フィーチャーショックを採用し、太めのタイヤが履けるなど多くのライダーを受け入れる懐の深さが特徴。

 

男女ワールドツアーで勝利を量産するトップレースバイクのTarmac。もちろん掲げるメッセージは「勝利」。プロの要求に応え切る、オールラウンドなレースバイクとして完成された一台。

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PROFILE

小俣 雄風太

小俣 雄風太

アウトドアスポーツメディアの編集長を経てフリーランスへ。その土地の風土を体感できる方法として釣りと自転車の可能性に魅せられ、現在「バイク&フィッシュ」のジャーナルメディアを製作中。@yufta

小俣 雄風太の記事一覧

アウトドアスポーツメディアの編集長を経てフリーランスへ。その土地の風土を体感できる方法として釣りと自転車の可能性に魅せられ、現在「バイク&フィッシュ」のジャーナルメディアを製作中。@yufta

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