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ケヴィン・ヴォークランが大逃げでフランス勢2連勝 マイヨ・ジョーヌはポガチャルへ|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2024年大会の第2ステージが現地時間6月30日に行われ、序盤に形成された先頭グループに加わってレースを進めたケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)が最後の14kmを独走。ツール初出場の23歳が殊勲のステージ優勝を挙げた。この日はマイヨ・ジョーヌ候補も終盤に動きを見せ、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が上りでアタック。すかさずヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)も続き、フィニッシュ直前にはレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)らも合流。大会2日目にして早くもポガチャルがマイヨ・ジョーヌに袖を通している。

パンターニの故郷をスタート

前日29日に華やかに幕を開けたツール。プロトンは開幕地のイタリアを引き続き走ることとなり、第2ステージはチェゼナーティコからボローニャまでの198.7kmに設定された。スタート地チェゼナーティコはマルコ・パンターニの故郷。前日は彼が亡くなったリミニにフィニッシュしたが、今度は生まれ育った街から選手たちは出発する。

© Keita YAMAUCHI

コースは序盤に海に近い平坦路を行き、中盤以降は丘陵地帯へ。大きなポイントとなるのが、フィニッシュ地ボローニャを含む終盤の周回コース。18.4kmを2周回するルートは、急坂の3級山岳サン・ルーカ(登坂距離1.9km、平均勾配10.6%)越えが待つ。最大勾配が20%を超えようかという難所をこなしながらフィニッシュを目指す。なお、2回目のサン・ルーカからフィニッシュ地点までは12.6km残されている。

© Keita YAMAUCHI

アントニー・テュルジス(トタルエネルジー、フランス)とクリスツ・ニーランツ(イスラエル・プレミアテック、ラトビア)のファーストアタックで始まったレースは、山岳賞のトップでマイヨ・アポワを着るヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)やマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)も応戦し、激しい序盤戦に。8km地点で11人が集団から飛び出すと、逃げの態勢を整えた。

先頭グループ11人
カンタン・パシェ(グルパマ・エフデジ、フランス)
アクセル・ローランス(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)
ユーゴ・ウル(イスラエル・プレミアテック、カナダ)
ネルソン・オリヴェイラ(モビスター チーム、ポルトガル)
ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)
クリスティアン・ロドリゲス(アルケア・B&Bホテルズ、スペイン)
マイク・トゥーニッセン(アンテルマルシェ・ワンティ、オランダ)
ブラム・ウェルテン(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、オランダ)
アロルド・テハダ(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)
ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)
ジョルダン・ジュガット(トタルエネルジー、フランス)

© A.S.O./Billy Ceusters

マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)とブレント・ファンムール(ロット・ディステニー、ベルギー)が追走を試みたが、先頭の11人までは届かず。後に集団へと戻る判断をしている。前日苦しんだマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)はバイク交換で隊列後方へ下がると、テレビカメラに向かって笑顔。元気な様子をうかがわせる。

© Keita YAMAUCHI

メイン集団はリーダーチームのdsmフィルメニッヒ・ポストNLがコントロール。前日のステージで鮮やかに勝ち、マイヨ・ジョーヌを着るロマン・バルデ(フランス)を守りつつ進む。先頭グループとのタイム差は50km地点を通過する段階で8分近くまで拡大した。

中間地点を前に丘陵地帯へと入ると、逃げグループではマイヨ・アポワのアブラハムセンがポイント収集。連続する3級山岳をどちらも1位通過すると、108.1km地点に設定された中間スプリントポイントもトップ。ここはメイン集団が5分55秒差で到達し、アルノー・デマール(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)が先着。全体11位での通過となった。

© Keita YAMAUCHI

この間、レースはモータースポーツで有名なイモラサーキット内を通過。残り90kmを切ったところではワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)、マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)、ローレンス・デプルス(イネオス・グレナディアーズ、ベルギー)が落車。時速56kmと、スピードが上がった状態でのクラッシュだったが、いずれも大きなダメージはなし。ドクターカーまで下がってチェックする様子は見られたが、問題なくレースを続行している。

© Keita YAMAUCHI

フィニッシュまで70kmを残した段階でタイム差は9分超。快調に飛ばす先頭メンバーは、引き続きアブラハムセンが山岳ポイント収集。さすがにメイン集団もタイム差調整に入り、この日4つ目の登坂となった3級山岳コート・ド・モンテカルヴォではマチューが集団から遅れた。

気鋭のオールラウンダー、ヴォークランが独走に持ち込む

10人で形成された先頭グループは、いよいよボローニャの周回コースへ。1回目のサン・ルーカの上りを迎えると、逃げメンバーが次々とアタック。脚の差がはっきりと表れ、頂上を通過した段階で6人に絞り込まれる。しばらくしてやってきたメイン集団は、ワウトが牽引。先頭とのタイム差を調整しつつ、総合系ライダーのアクションを許さない構え。ワウトはこの役目を終えるとヨルゲンソンにバトンタッチし、集団から後退した。

なおも先頭はアクティブな状態が続き、オリヴェイラのアタックにヴォークランとアブラハムセンが続く。この3人に逃げは絞られて、最終周回の鐘を聞いた。

© Keita YAMAUCHI

決定打が生まれたのは、やはり2回目のサン・ルーカだった。頂上まで1km残したところでヴォークランが渾身のアタック。沿道の大歓声を受けて突き進むと、長く一緒に逃げてきたアブラハムセン、オリヴェイラとの差を広げることに成功し独走態勢に持ち込んだ。

4分ほどの差でやってきたメイン集団は、一時的に追走姿勢を見せていたベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)ら4選手をキャッチし、最終登坂へ。UAEチームエミレーツがアダム・イェーツ(イギリス)を出してペーシングを図ると、マイヨ・ジョーヌのバルデやゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)がポジションを下げる。そして頂上を前に、ポガチャルが猛然とアタック。ヴィンゲゴーが一瞬反応に遅れながらもリカバーし、ポガチャルをチェック。他の総合系ライダーを引き離し、ボローニャの街への下りへと突入した。

© A.S.O./Charly Lopez

後ろでの目まぐるしい変化をよそに、十分なリードを得たヴォークランは、単独で最後の直線へ。大歓声が鳴り響く中を、観衆を煽りながらフィニッシュラインへ。ツール初出場にして初めての勝利を大逃げで決めてみせた。

© Keita YAMAUCHI

勝ったヴォークランは2001年4月26日生まれの23歳。ジュニア時代はトラック選手として年代のトップを走り、2022年に現チームでプロデビュー。以来、ロードをメインに活動し、プロ1年目から名だたるレースで上位進出を経験。とりわけ今季は早い時期から勝利を挙げるなど好調を維持し、4月にはフレーシュ・ワロンヌで2位と大躍進。ツールのメンバー入りを果たすと、第1ステージこそ遅れたものの、2日目にして大きな勝利をつかんだ。ワンデーレースからステージレースまで幅広く対応するオールラウンダーで、将来を嘱望される選手。前日のバルデに続き、フランス勢が連勝となった。

ポガチャルが大会2日目にしてマイヨ・ジョーヌに袖を通す

マイヨ・ジョーヌ候補たちの争いも大会2日目にして熾烈となった。最終盤はポガチャルとヴィンゲゴーが協調してライバルたちからタイム差を奪う意思を見せたが、それを許すまいとレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)とリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)が猛追。フィニッシュ前350mでポガチャルとヴィンゲゴーに合流。同グループでフィニッシュ。さらに21秒差で総合系ライダーが多く含まれたグループがやってきて、ここにバルデやプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)が入った。

© Keita YAMAUCHI

これらの結果から、第2ステージを終えた時点でのマイヨ・ジョーヌはポガチャルへ。レムコ、ヴィンゲゴー、カラパスが同じ総合タイムで並んだが、2日間の順位合計で最小のポガチャルが上位となった。

イタリアでの激動の2日間を終えたツールは、今大会初となる平坦ステージへ。第3ステージはピアチェンツァからトリノまでの230.5kmに設定される、今大会で最も長い1日。3つの4級山岳以外はおおむねフラットで、スプリンターが主役争いを展開するはずだ。

ステージ優勝 ケヴィン・ヴォークラン コメント

© Keita YAMAUCHI

「信じられない。(ツール前に走った)ツール・ド・スイスとフランス選手権ではがっかりな結果で、自信を失っていた。今日は一緒に逃げた(チームメートの)クリスティアン・ロドリゲスに感謝しないといけない。彼は逃げグループに動きをもたらそうと何度も仕掛けて、レースをコントロールしてくれた。

最後の上りでは、3人のうち自分が最も登坂を得意としているのは分かっていたので、アタックすべきポイントを探るだけだった。ひとりになってからはどこまでタイム差を広げられているのか分からなかったので、勝利を確信するまで時間がかかった。今日は勝てるだけの脚があったし、うまく実行できて満足している」

個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「今日は逃げメンバーがそのままフィニッシュまで行くと思っていた。個人的には調子が良かったので、2回目のサン・ルーカでトライしてみることにした。ヴィンゲゴーが続いてきたことにはまったく驚いていない。彼と協調してフィニッシュを目指したけど、追いかけてきたレムコとカラパスも強かったと思う。マイヨ・ジョーヌを長くキープできるかは分からない。まずは1日1日を大切に走っていきたい」

ツール・ド・フランス2024 第2ステージ結果

ステージ結果

1 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス) 4:43’42”
2 ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)+0’36”
3 カンタン・パシェ(グルパマ・エフデジ、フランス)+0’49”
4 クリスティアン・ロドリゲス(アルケア・B&Bホテルズ、スペイン)ST
5 アロルド・テハダ(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)
6 ネルソン・オリヴェイラ(モビスター チーム、ポルトガル)+0’50”
7 アクセル・ローランス(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)+1’12”
8 マイク・トゥーニッセン(アンテルマルシェ・ワンティ、オランダ)+1’33”
9 ユーゴ・ウル(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+1’36”
10 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)+2’21”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 9:53’30”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)ST
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)
4 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)
5 ロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、フランス)+0’06”
6 マキシム・ファンヒルス(ロット・ディステニー、ベルギー)+0’21”
7 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)ST
8 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)
9 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)
10 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

モビスター チーム 29:40’42

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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