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ポガチャルがピレネー2日目も完勝 ヴィンゲゴーとの総合タイム差は3分以上に|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは第2週までが終了。現地7月14日に行われた第15ステージは、ピレネー山脈に位置する5つの上級山岳を上る197.7kmで争われ、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)とのマッチアップに再び勝利。今度は1分以上の大差をつけてステージ優勝を果たし、マイヨ・ジョーヌ争いにおいても両者の差は3分9秒と拡大。ポガチャルにとっては最高の形で大会第2週を終えている。

ピレネー2連戦2日目

ピレネーの山々を駆けるプロトン。大会第2週の後半に入って、いよいよ本格山岳での勝負を迎えている。

ピレネー2連戦の初日だった前日の第14ステージでは、最終登坂のプラ・ダデでポガチャルがステージ優勝。残り5kmでアタックすると、その1km先からは独走に持ち込んだ。最大のライバルであるヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)に39秒差、ヤングライダー賞のマイヨ・ブランを着るレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)には1分10秒差をつける完勝。両選手との総合タイム差はそれぞれ1分57秒、2分22秒に広げた。

© Keita YAMAUCHI

続く第15ステージは、フランス革命記念日にあたるこの日のために用意されたハードなコース。スタートと同時に1級山岳ペイルスルド(登坂距離6.9km、平均勾配7.8%)を上ると、その後は平坦区間をはさみながら断続的に3つの1級山岳をこなしていく。そして最後には超級山岳プラトー・ド・ベイユへ。フィニッシュまでの15.8kmは、平均勾配7.9%。部分的に10%を超える急勾配も控えていて、マイヨ・ジョーヌの有資格者を測るにふさわしい上り。大会主催者も第2週最終日にして覇権争いの形勢が見える可能性があると述べているように、大きな1日を迎えることとなった。

© A.S.O./Charly Lopez

緊張感の漂う中でのスタートは、フランク・ファンデンブルーク(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、オランダ)のファーストアタックで幕開け。どのアタックも集団から抜け出すには至らないが、上りでのハイペースにスプリント系の選手たちが徐々に後方へ。なおもアクションが続く中、レムコやアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)といった個人総合上位の選手たちも前方に姿を見せていた。

そうした流れのまま1級山岳ペイルスルドの頂上に達して、ここはダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)が1位通過。その後の下りで先行した数人は集団へと戻され、さらには後方からも多くの選手が復帰を果たしている。

新たな動きは20km地点を過ぎたところで生まれて、ボブ・ユンゲルス(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ルクセンブルク)のアタックをきっかけに約20人が前線へ。幾分のシャッフルを経ながら、21人の先頭グループが形成された。この中にはマイヨ・ヴェールのビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)の姿も。37km地点に設置される中間スプリントポイントへ向かって、一緒に前に乗ったルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティ、南アフリカ)のアシストを受けながら進んでいく。

© A.S.O./Charly Lopez

迎えたスプリントは、ギルマイとマイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)の競り合いに。ギルマイが先着したものの、緩いコーナーを抜ける際にアウトからインへとラインを変えたとして降着扱いに。マシューズが1位通過となり、ギルマイはメインチェスに続く3位となった。

2つ目の1級山岳コル・ド・マンテに入って、メイン集団からリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)がアタック。サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イタリア)ら数人も同調して、先頭グループへのブリッジを図る。逆にギルマイらは集団へと下がり、数キロのうちに逃げメンバーが入れ替わり。頂上手前3kmで先頭には17人がパックを形成。頂上はシャヴィエル・ロモ(モビスター チーム、スペイン)がトップで通過している。

展開に大きな変動はなく、3つめの1級山岳ポルテ・ダスペへ。ここはトビアス・ヨハンネセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)が1位通過。しばしの平坦区間に入ると、それまで1分台だったメイン集団とのタイム差は約2分30秒まで拡大。さらに、中間地点を過ぎて4つ目の1級山岳となるコル・ダニェスの入口を前に、逃げのパックは2つに割れて7人が先頭に。さらに上りが進むと2人が遅れ、5選手がレースをリードした。

この上りはローレンス・デプルス(イネオス・グレナディアーズ、ベルギー)が1位通過。カラパス、ジャイ・ヒンドレー(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)、エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)も続き、ほどなくしてトビアス・ヨハンネセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)も再合流。5人逃げで最終登坂、プラトー・ド・ベイユを目指した。

© A.S.O./Charly Lopez

終始ヴィスマがコントロールもポガチャルがアタック一撃で決める

メイン集団は終始ヴィスマ・リースアバイクがコントロール。レースが終盤に入る頃には先頭5人を射程圏に捉え、いつでも吸収できる態勢に。ワウト・ファンアールトやマッテオ・ヨルゲンソンらの牽引で、最後の上りで勝負できる状勢が整いつつあった。

プラトー・ド・ベイユに入ると、先頭でヒンドレーがアタック。さらにカウンターでカラパスも仕掛けて、これをマスが追う。続いてマスがペースを上げると、ヨハンネセンがチェック。上り口から5kmほど進んだところでカラパスがアタックし、逃げ切りの可能性に賭けて独走態勢に入った。

ただ、その頃にはメイン集団も活性化。ヨルゲンソンの牽きで一気に絞り込まれた精鋭グループから、残り10kmを前にヴィンゲゴーがアタック。すかさずポガチャルが追随。レムコはテンポで前を目指す形になって、ポガチャルとヴィンゲゴーの頂上決戦の趣きとなった。

© A.S.O./Charly Lopez

両者は労せず逃げ残りの選手たちをパスしていき、1kmほど進んだところでカラパスにも追いついた。懸命に食らいついたカラパスも続けず、いよいよ2人によるマイヨ・ジョーヌ攻防戦へ。山岳賞でもトップのポガチャルに代わってマイヨ・アポワを着るヴィンゲゴーが前に立ち続け、ポガチャルは付き位置を崩さない。

2人による最高レベルの競り合いは、フィニッシュ前5kmで決した。ペースを上げようとダンシングするヴィンゲゴーに、カウンターでポガチャルがアタック。ヴィンゲゴーがついていけず、あっという間にポガチャルがリードを広げた。

© A.S.O./Charly Lopez

30秒ほどだった2人のタイム差は、フィニッシュを目前に急激に拡大。最後の最後までしっかり踏み続けたポガチャルは、フィニッシュラインを通過してようやくウイニングセレブレーション。何とか2番手を守ったヴィンゲゴーは、1分8秒差で終えるのがやっとだった。

© Keita YAMAUCHI

ジロとツールの2冠「ダブル・ツール」を目指すポガチャルと、大会3連覇をかけて臨んでいるヴィンゲゴー。ピレネー2連戦を終えて、両者の総合タイム差は3分9秒に。第3週を前に、ポガチャルが優位な状況を築き上げている。

© Keita YAMAUCHI

ちなみに、ポガチャルのプラトー・ド・ベイユ登坂タイムは39分50秒。1998年にダブル・ツールを達成したときのマルコ・パンターニが出した43分28秒を大幅に上回った。ヴィンゲゴーも40分58秒で走破している。

この2人の後ろでは、レムコが3番手をキープしてフィニッシュへ。個人総合3位も守っている。

なお、このステージではリタイアとタイムアウトが1人ずつ出たほかは全選手が完走。152選手で第3週に向かう。

大会は終盤戦。第3週の初日、第16ステージは188.6kmの平坦ルート。事実上、今大会最後の平坦ステージとなる。

ステージ優勝、個人総合時間賞、山岳賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「自分でも本当に信じられない。第2週が始まった時、こんな結果になるとは想像すらしていなかった。コンディションは最高に良く、暑さにも対処できている。今日は全体的にヴィスマ・リースアバイクがコントロールしていたけど、われわれとしてもフェアなレースができて満足している。昨日のレースでかなり自信を得ていて、今日のステージには何の心配もなかった。体を冷やしながら、補給をしっかりとることを心掛けていた。

ヴィスマ・リースアバイクは意識的にペースを上げて、最後の上りで私を引き離そうとしたのだと思う。ヨナスの最初のアタックは少し苦しんだけど、その後彼は消耗していると感じていた。彼はもう一度ペースアップを狙っていたようだけど、上げきれずにいたので思い切ってトライしてみることにした。僕が崩れるかもしれないリスクはあったけど、やるしかなかった。幸いうまくいったし、総合タイムを広げることにもつながった。

十分なリードを得られたので、残り6ステージにも集中していきたい。僕はピレネーの上りが得意だ。プラトー・ド・ベイユの上りはアダム・イェーツがとても厳しいと話していたので、そこで勝てたことをとにかく喜びたい」

ツール・ド・フランス2024 第15ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 5:13’55”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’08”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+2’51”
4 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+3’54”
5 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+4’43″ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+1’23”
6 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+4’56”
7 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)+5’08”
8 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)ST
9 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)+5’41”
10 フェリックス・ガル(デカトロンAG2Rラモンディアール チーム、オーストリア)+5’57”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 61:56’24”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+3’09”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+5’19”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+10’54”
5 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+11’21”
6 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+11’27”
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+13’38”
8 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+15’48”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+16’12”
10 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)+16’32”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 186:12’00

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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