ナイロンソールが特長のハイコスパシューズF-70|FLR
坂本 大希
- 2024年08月31日
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アンバウンドグラベル2024で200マイルを走った自転車歴2年弱の編集部サカモト。昨年末のエントリーの後、シューズをどうしようか考えた。長距離を走るのであれば足回りの快適性を大事にしたい。若干今のシューズは履いていると側面が痛くなるしな…。ただ、昨今のシューズはすべからく高額であり躊躇していた。そんな折、筆者がアンバウンドに履いていったシューズがFLRのF-70というシューズだ。
イスラエル発のシューズなんてあったのか
自転車歴もようやく2年。多くのブランドに仕事で触れているが、恥ずかしながらイスラエルの名前を自転車業界で聞くことは「イスラエルプレミアテック」以外では無かった。元自衛官の筆者としては、イスラエルはUSBメモリーなど多くの技術的な発明実績もあり、技術大国のイメージが強い。そんな国がサイクリングシューズを作っているので興味はある。使ってみよう。
FLRとは
まず、そもそもFLRとはどんな会社なのか。上記の通り、技術大国イスラエルのシューズメーカーであり、2009年からFLRというブランドははじまった。しかし、実際にはシューズ開発や生産は1990年から行われており歴史は長い。また、自転車だけでなくランニングやサッカーなどのシューズ開発も行っており、スポーツシューズの専門知識を豊富に持つ会社だ。
また、開発から生産までを自社で一気通貫して行っているため不要な中間マージンを抑え結果として販売価格を抑えることに成功している。
コスパ良しの高機能
安くて質がいいという言葉は無数に各方面で言われているので書きたくはない。そこで客観的に見ると、確かにコストは言いようだ。上ににFLRの製品表の画像を貼っている(2024年8月現在)。例えば重量で見てみると、ロード用のフラッグシップモデルである、フルカーボンソール採用のF-XX Ⅱは片足重量228g(42サイズ)。これで3万800円。同じレベルの他社のシューズは5万円を超えてくるものもあり、コスト的にメリットがあることは間違いない。また、ソールもフルカーボンであり、同ニットモデルですら3万4100円というのだから驚く。オフロード用のラインナップも豊富だ。より廉価なモデルになるとナイロン素材を使い、高機能ながら価格を抑える努力がされている。私が使用したF-70もこのナイロンソールだ。
「踏めるナイロンソール」
「踏めるナイロンソール」とメーカーが言うほど同社はナイロンソールに自信がある。FLRのナイロンソールはナイロン樹脂にグラスファイバー繊維を織り混ぜ製造し、剛性を確保している。このため、同社のナイロンソールは高合成でしなりすぎず、適度な固さでパワーロスを防いでいる。
200マイルを共にした気付かぬ相棒
事前に2か月弱毎週末のように日本のグラベルをF-70で走った。そしてアンバウンドグラベルもF-70。その結果、違和感なし。正直、「ここがめちゃめちゃすごい!」というような感想があればいいのだが、正直に言うとそのような感想を走行中にもつことはなかった。
ただ、逆に言うとマイナスの印象も特になかった。もちろんシューズの履き替え直後は違和感はすごかったのだが、馴染んできてしまえば普通に快適。脚も痛くならないし。思えば今までのシューズの多くはここが痛いかも、とか、なんか重く感じる、とか。何かにつけてその存在を気付かされることも多かった。そう考えると、「特に違和感なし」といえるシューズに1万7050円(F-70の価格)で出会えるのは相当にありがたいことといえる。
クロージャーの締まり具合についてはダイヤルがひとつということもあり、つま先側の調整が若干難しいが、そこは1本あるベルクロで対処が可能だ。アーチも高く履き心地も快適。ただ、幅が少し私にとってもやや狭く、長時間ライドを終えた後は足の小指が内側に向かって押されている痛みがでてくることもあった。過去にサッカーのスパイクや他のシューズでも同様の経験をしているので、私の脚の形の問題でもあるのだが。
ニットモデルのグラベルシューズも試したい
これはまだ試したことがないため感想を書くとこはできないが、ニット素材のグラベル向けシューズも試してみたいと思う。上記の用の私は足幅が広めで、シューズ幅には悩む人生を過ごしてきた。しかし、最近見るニット素材であればその悩みも解消するのではないか。そう思ってもいままではニット素材のシューズの価格が高く使用はできなかったが、FLRならそれも1万円代前半からラインナップされている。これくらいなら試したいところだ。
また、本来は自転車のパーツは色々試してその違いを感じたり、自分に合うものを見つけたりするのが楽しい面もある。昨今のアイテムの高騰により比較して使用するのが難しくなったため、一度買ったものをいいものと言い聞かせ使用しなければいけない環境があるが、FLRのようにコスパを意識し続けてくれるメーカーがあると、比べて違いを楽しむことができる。そういった選択肢を与えてくれるのもこのFLRというブランドの強みだろう。
何だかんだで使用してから1000km弱は使用したが、コスパはやっぱりきっと良い。趣味を楽しむことの壁のひとつは経済的な問題が大きいが、そんなライダー達の一つの解決策になるようなFLRというブランド。もっと日本でも知られていい。そんなポテンシャルを秘めていた。
SPEC
F-70
参考価格:1万7050円
- サイズ:38~45
- カラー:ブラック、ネイビー、イエロー
- 重量:332g(片足、42サイズ)
詳細はこちら
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PROFILE
坂本 大希
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。