精鋭クライマー30人が「10,000UPチャレンジDay」in 利根沼田に挑戦【Day2】
坂本 大希
- 2024年08月20日
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「10,000UPチャレンジDay」が7月13、14日の2日間に渡って開催された。このイベントは一昨年から開催されている群馬県北部の利根沼田地域(沼田市・片品村・川場村・昭和村・みなかみ町)を舞台にしたヒルクライムイベント。2日間で約10000mもの獲得標高になるコースが特徴だ。ここではその2日目の様子をお届けする。
【1日目の様子はこちら】
2日目のスタートはみなかみ水紀行館から
雨の予報は常に出ていたものの、スタート時点では天気はまだ持ちこたえていた。この日はみなかみ町にある「道の駅みなかみ水紀行館」がスタート地点だ。
【2日目のコース】
この日は最初からアップダウンをこなしていくコースレイアウト。序盤を軽快にこなしトップで走るこの選手は「最強ヒルクライマー」さんだ。彼の製作した「最強」のステッカーはある世界でカルト的な人気を誇るという。この後彼はコースを誤り一気に後方に下がった。運営側が車で追いついてコースアウトの事実を告げた際、「丁度いいハンデだ」と言ったらしい。最強ヒルクライマー。印象の残り方も最強だ。
計画的に補給をしつつ走るのはYOUTUBEの「にんにんサイクル」チャンネルを運営するにんにんさん。仕事のためにこの2日目のみの参加になったが、きつい峠でも動画のためにコメントをしながら走る姿はなんともすごい。彼のYOUTUBEチャンネルは最近登録者数1万人を突破したとのこと。今回のイベントの動画もあるので気になった人は見てみよう。
この日もメイン集団はそれなりの人数で常に走り続けている。
先頭の方では金子選手が前を追いかける姿も。後に金子選手に聞くと、「本当に千切られて、頑張って追いました」と話していた。金子選手をもってしてもすごいと言わしめる参加者達のクライムの早さに驚嘆だ。実際に車で撮影のために追っていたが、参加者が早く走りすぎて苦労した……。
上りが多いということは同様に下りも多い。上って疲弊した直後のため慎重に下っていく。
この日の最初のエイドは、たんばらラベンダーパークまでの上りを終えた直後にある、群馬県立森林公園「21世紀の森」だ。この公園に至るまでの最後の上り4.5kmほどと距離こそはないが、平均勾配約8.5%、最高で15%超の坂があり、参加者の多くは「ここが一番きつかったかも」と答えていた。
21世紀の森の駐車場に設置されたエイド地点。今回も東京電力パワーグリッド高崎支社が協力している。
トライクルに所属してJBCFのE2でも走っている「まさとぅー」さん。本イベント全4回全てに参加しており、ミスター10000UPの異名を手に入れる日もそう遠くないだろう。「おにぎりが似合う男」とも言われているようで、せっかくなので構えてもらった。似合っているかの判断は読者に委ねられている。
尾瀬沼への入口、大清水では湧き水も
21世紀の森の次に向かったのは片品村にある大清水。尾瀬沼の入口として登山客に人気の場所だ。メイン集団は小山選手の引きでやってきた。
この集団はあまりにも軽快に走っており、本イベントの過酷さが伝わりづらいためキツイ表情の演技をしてもらった。やらせをしてまで撮影したはずなのに、みんなヒルクライムが好きすぎるため過酷さよりも楽しさの方が滲み出てしまっている。
この場所は水もきれいで有名だ。湧き水が流しっぱなしになっている水道も整備されており、自由に汲むことができた。
大清水から来た道を戻り下ったところに本日の第2エイドを設置。ここからこの日の最高標高でもある、片品村とみなかみ町の境目の坤六峠(こんろくとうげ)を目指す。
雨の中、坤六峠(こんろくとうげ)へ向かう
この辺りから雨の勢いも強くなってきた。この環境下で2日目の最も過酷なポイントである坤六峠へ参加者は走っていく。
雨で路面も濡れており、斜度がきついとグリップも少し心配になる。
坤六峠に到着した金子選手。雨も相まってさすがに表情はきつそう、かと思いきや笑顔だ。
坤六峠を上り切った後は30kmを超える下りだ。雨もあり、体温の低下を防ぐケアが必須。参加者たちはレインウェアやウィンドブレイカーで調整した後に下っていった。
谷川岳をのぼりフィニッシュへ
本イベントの最後は谷川岳一ノ倉沢を上る。この段階でも集団が残っている。
最も早く帰ってきたのは今回で2回目の参加となるタクトさん。前回の第3回開催時も一番早く戻ってきており、その速さは折り紙付きだ。
今回は無事に完走し、前回DNFの雪辱を果たした金子選手。
「自分は10年くらい自転車をやっているんですが、その中で一番きつい2日間だったのは間違いないですね。全日本より(笑)。上る距離もとても長いし、2日連続というのもきつかったですね。周りの参加者もとてもすごくて、エンデュランスでずっと淡々と踏めるような参加者もいたり、本当にすごいと思いました。次もまた参加したいです!」と笑顔で話してくれた。
全4回全てに参加しているまさトゥーさんも無事に完走した。
「お疲れ様でした。こんなに普段上ることはないし、この地域は信号が無くてずっと走り続けられるのがいいんです。平坦だってとても景色がきれいな道で。全体を通してとても気持ちよく走れます。一番近い山までも片道80kmとか必要な場所に住んでるので、実は普段からヒルクライムをやっているわけではないんです。山は好きなんだけど、普段あまり走れなくて。だから最高のイベントですね!」とコメントをする姿はミスター10000UPの称号を既に持っていてもおかしくはないほどだ。
今回の運営を担ったルーツ・スポーツ・ジャパンの皆さま。ゼッケンプレートを採用したほか、参加者の位置把握のためのGPSを導入したり、先導車・サポートカーなど複数台の車両で期間中はとても忙しく動いていた。イベントの取材をする度にこういった運営や主催などの裏方と呼ばれる人々の働きに感謝しなければと思わされる。
スペシャルサンクス 東京電力パワーグリッド高崎支社
このイベントは東京電力パワーグリッド高崎支社が協力しているのも特徴だ。東日本大震災や台風災害を経て、改めて地域に根差した活動の大切さを感じたという同社。こういった地域への貢献も積極的に取り組んでいるとのこと。
電気自動車の電力を使用し、冷蔵庫などをエイドステーションに完備して参加者をサポートした。
複数回のサポートの結果、「まさかのコーラがサイクリストには必要らしい」と理解し、今回はたくさんのコーラを用意していたとのこと。撮影した時点ではかなりのコーラが既に飲まれた後だ。彼らのサポートは参加者にしっかりと浸透していた。
今回のコースの他、群馬県利根沼田エリアには多くの魅力的なコースがある
今回の「10000UPモンスターコース」の他にも、利根沼田エリアはもちろん、群馬県内にはまだまだ多くの魅力あふれるコースがある。運営に携わっていたルーツ・スポーツ・ジャパンはそういった各エリアの魅力的なコースをまとめて発信している。走るコースに悩む方、新たなコースの参考にしたい方など、ぜひ下記リンクからチェックしてみよう。
▼その他のコースの確認はこちらから
ツール・ド・10,000UP in Gunnma 公式サイト
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PROFILE
坂本 大希
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。