日本チームへの移籍が決定、ブエルタで活躍したレイン・タラマエに聞く
Bicycle Club編集部
- 2024年09月08日
9月1日、2021年のブエルタ・ア・エスパーニャでリーダージャージを着た経験をもつレイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ、エストニア)が、 2025年にキナン・レーシングに移籍することが明らかになった。タラマエはいま開催中のブエルタにも出場していたが、残念ながら第18ステージでリタイヤすることになった。ここではスペイン在住の対馬由佳理が日本のチームに移籍を決断した経緯と来年の予定についてお伝えする。
ブエルタ・ア・エスパーニャを去る直前にインタビュー
タラマエは2008年のプロデビューして以来、ツール・ド・フランスには過去8回出場し、2011年の個人総合11位を獲得。さらにジロ・デ・イタリアでは2016年にステージ1勝、ブエルタでも2011年と2021年にそれぞれ1勝ずつ挙げている。さらに2021年にはこのブエルタでは総合首位の選手が着用するマイヨ・ロホ(赤いジャージ)を着用しするなどワールドツアーではトップ選手として活躍してきた。現在37歳のタラマエは今年のブエルタ・ア・エスパーニャにも出走していたが残念ながら18ステージでリタイヤする結果となった。ここではそのリタイヤ直前のインタビューをお伝えする。
日本社会の秩序正しさに感銘を受ける
Q 来季、日本のキナンレーシングに移籍を決めた要因は何だったのでしょうか。
じつはこの数年、自分が現役の自転車選手としてどう生きていくべきか、ずっと考えていました。その答えが、アジアのチームに入ってアジアでレースをすることでした。ただ、アジアのチームに連絡を取ろうとすると、情報が少なく不安に思うこともありました。一部のチームでは、自転車が届かない、連絡がつきにくいなどのトラブルがあると聞いていました。
そのため、もしアジアのチームに行くなら、日本のチームで走りたいと考えていました。昨年、宇都宮でのジャパンカップとさいたまクリテリウムに出走したとき、多くの観客と私のことを知っているファンがいたことに驚き、同時に嬉しかったです。特にジャパンカップでは、ヨーロッパのレースよりも多くの観客がいました。
その後、短期間ですが東京近郊を散策し、日本が非常に安全で秩序が保たれている国だと感じました。例えば、ヨーロッパの大都市の地下鉄に比べ、日本の地下鉄は非常に清潔で、乗客も駅員も礼儀正しく、安心できる場所でした。地下鉄で感じたことは、日本のレースでも同じで、レースが素晴らしくオーガナイズされており、係員が秩序を守り熱心に働いていました。
これらの経験から、可能なら日本のチームで走ってみたいと思っていました。幸い、キナンから話を頂き、丁寧かつスムーズに交渉を進めることができました。日本人の序正しさが、このような場面にも現れると実感しました。また、キナンの選手からも、チームが信頼できるとの声を聞き、希望通り日本のトップチームであるキナンで来年走ることができて非常に嬉しいです。」
Q 日本でレース以外に何かやってみたいことはありますか。例えば、富士山に登るなど
富士山は自転車では途中までしか登れないそうですが、自分が選手である間は難しいかもしれません(笑)。来年、キナンはアジアの他のレースにも積極的に出走する予定ですので、日本に滞在できる時間は少なくなるかもしれません。しかし、知っているのは東京近辺だけなので、他の地域を訪れる機会を楽しみにしています。
Q キナンへの移籍について、ご家族の反応はどうでしたか
現役生活を続けられること、そして日本のチームに所属してアジアでレースを走れることに、非常に喜んでいます。いつか家族も一緒に日本に行けたら嬉しいですね。
今年のブエルタの第18ステージを途中リタイアする形で終えたタラマエ選手ですが、レース前には筆者に日本語で挨拶するなど、来季のキナン・レーシングでの活躍を見据えた様子が伺えた。
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- CREDIT :
- TEXT&PHOTO:Yukari Tsushima PHOTO:Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport
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