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ヤマハ電動アシストバイク試乗レビュー「CROSSCORE RC」と「WABASH RT」おすすめは?

スポーツとして楽しめる電動アシスト自転車(eバイク)として注目を集めているのがヤマハ発動機の「CROSSCORE RC(クロスコア アールシー)」と「WABASH RT(ワバッシュ アールティー)」。この新型eバイクは、軽量化とパワーアップを実現した新型ドライブユニット「PWseries S2」を採用したことで、坂道でも軽快なライドが楽しめる。さらにカラーリングもアースカラーが用意されている点も魅力だ。ここではその機能と試乗レビューをお届けしよう。

「CROSSCORE RC」と「WABASH RT」どちらを選ぶ

まずはヤマハ発動機(以下略、ヤマハ)2台「CROSSCORE RC」と「WABASH RT」の簡単な違いから見ていこう。フラットハンドルを採用した「CROSSCORE RC」はいわゆる「クロスバイク」と呼ばれる街中でのコミューターとして楽しめるタイプのeバイク。いっぽうドロップハンドルを採用した「WABASH RT」はオフロードも楽しめる「グラベルバイク」と呼ばれるタイプのeバイクだ。共通するパーツも多い2台だが、味付けはかなり違う印象だ。ここでは2台の特徴を紹介、さらに共通するおすすめポイントを見ていこう。

サスペンション搭載でより扱いやすいコミューター「CROSSCORE RC」

「CROSSCORE RC」は365日を1台の自転車で楽しめることをコンセプトにしており、通勤や日常の移動から週末のレジャーライドまで幅広く対応する万能型クロスバイクだ。最大の特徴はフロントサスペンションフォークを搭載することで、街中での移動はもちろん、郊外でのロングライドも楽しめるバイクだ。

より快適に走れるサスペンションを搭載

サスペンションフォークはSRサンツアー・NEX‒E25-C。トラベル量は63mm。ディスクブレーキはシマノ・BR-MT200、ローター径はフロントは180mm、リア160mmを採用

サスペンションは路面からの衝撃吸収をし、快適な乗り味を提供してくれる。特にeバイクは普通のスポーツ車に比べて重くなりがち、このサスペンションがあることで難しい体重移動などをしなくても、安全にスポーツ走行を味わうことができる。さらにディスクブレーキを採用しているため、天候に左右されず安心したブレーキ性能を発揮する。

扱いやすいフラットハンドルと操作系

ハンドルは扱いやすいフラットハンドル。さらにグリップはエルゴノミックロックオングリップなので扱いやすい。ドライブトレインはシマノ・キューズ9スピードを採用。

基本操作は左手にあるスイッチをオンにし、あとはボタンを長押しして、オートマチックアシストモードに設定すれば難しいことはない。もちろん、乗りなれてきたらモード切替も楽しんでみよう。いっぽうギアチェンジは右手のシフターを操作することで、9段分変速できる。多少の慣れは必要となるが、アシストなしのペダルバイクに比べ、電動アシストなのでスタート時も楽々。そこまでシビアになる必要はなく、相当な激坂でも上っていける。

新に追加されたオートマチックアシストモード

まずはディスプレイADのスイッチを入れて電源を入れる

電動アシストの電源のオンオフや、モード切替のための「ディスプレイAD」。走行状況に応じてアシストモードを自動で調整する「オートマチックアシストモード」も搭載されているので、 マニュアル操作から解放される。この機能は、「ハイモード」「スタンダードモード」「エコモード」の中から最適なアシストを選ぶもので、より自然なフィーリングでの走行を可能にする。もちろん従来のマニュアル操作も可能だ。

ヤマハの最新ユニットの特徴は軽さとパワーのほか静粛性にも優れ、電動アシストが動いていることを感じさせないほど
リアディディレイラーはシマノ・キューズ9速、フロントチェーンリングは44T、リアスプロケットは11-36Tと標準的な仕様
LEDランプも標準装備している。バッテリーから電源が供給されるため、ライト単体での充電は不要だ

試乗レビュー 扱いやすいハンドリングと上りを検知するセンサーが賢い

はじめてのクロスバイクに乗る人、さらにeバイクに乗る人にも扱いやすい。サスペンションがスポーツバイク特有の乗りにくさ、路面からの衝撃のキツさを解消してくれているからだ。さらに衝撃吸収のほか、サスペンションがあることでハンドリングが安定し、パワフルなユニットを生かしやすくなる。

さらに上り坂では角度をセンサーが感知してくれるため、坂道での発進時にパワー不足を感じたり、平地で急発進するような予期せぬ挙動がなく、「アシストを感じさせない」自然な制御が行われる。これはスピード、ケイデンス、ペダリングトルク、角度の4つを感知するクワッドセンサーシステムによるもの。さらに「オートマチックアシストモード」との組み合わせることで、最適なパワーアシストをしてくれる。

このほか標準的なダボ穴も用意されており、別売りフェンダーやキャリアも取り付けられる。自分にあったカスタムをすることで、コミューターからツーリングまで幅広く楽しめるのうれしいところだ。

ドロッパーシートポスト採用の本格的なグラベルバイク「WABASH RT」

いっぽう「WABASH RT」は、オンロードとオフロードの両方で活躍するグラベルバイクとして細部に渡るこだわりを感じさせる一台だ。サスペンション機能を持たせたドロッパーシートポストを採用するなど、オフロードの走破性を追求しつつ、林道や砂利道などの未舗装路でも高い快適さを感じさせるスポーツバイクに仕上がっている。

サスペンション機能付きドロッパーシートポストを採用

リモテック サスペンション ドロッパーシートポスト 30.9mm × 40(S)・ 60(M/L)mmトラベル

このバイクの最大の特徴は「ドロッパーシートポスト」と言っても過言ではない。「ドロッパーシートポスト」とはサドルの高さを走行中に変えられるシステムで、ハンドルでリモートコントロールできる優れものだ。例えばパワーを出したい上り坂ではサドルを高くしておき、いっぽうオフロードの下り坂では下げられるので安定した走りがたのしめる。さらにサスペンション機能も持たせているので、路面からの衝撃も緩和してくれる。

11速変速と本格的にグラベルを走れるフラレアハンドル

ハンドルはアルミ製のフレアハンドルを採用。ハンドル幅は440mmとなる

「フレアハンドル」と呼ばれるドロップハンドルのなかでも下ハンドルが幅広くなっているものを採用しているため、グラベルの下りを快適に楽しめる。コックピットには電動アシストユニットをコントロールするためのディスプレイAD、ブレーキ、シフター、ドロップシートポストのリモートコントローラーなどが集まっており、ライドしながら簡単に操作できる。

変速は11速。フロントチェーンリングは44Tリアは11-42Tというグラベルを意識したギヤの組み合わせ
タイヤはマキシス・ランブラーの700 × 45Cと太めのタイヤを採用
ブレーキはシマノ・GRX RX400を採用。ローター径はフロントが180mm、リアは160mmと大容量なので、安心できるストップパワーを発揮する

試乗レビュー グラベルを楽しめる本格的な1台

本格的にスポーツを楽しめるのが「WABASH RT」。ツインチューブ構造を採用したフレームは剛性感については申し分なく、ハードなライドをしても安定した走りが楽しめる。

今回のテストライドでは、丘陵地帯の激しいコースを走ってみたが、ブレーキもフロントが180mmローターを採用、さらにタイヤも標準で700×45Cという太めのタイヤが標準装備されているので、買ったそのままの仕様でオフロードをガンガン走りを楽しめるスペックだ。

さらに、シートポストにはサスペンション機能付きのドロッパーシート採用しているため、長距離の下りでは路面からの衝撃をストレスなく楽しめる、さらに急な下り坂があるようなシーンではサドルを下げて、足つきをよくすることもできる。ペダルバイクのグラベルバイクでも完成車でもドロッパーシートポストの採用は珍しく、「WABASH RT」がいかに本格的なグラベルライドを想定しているかがわかる。

また、モード切替を積極的に使ってみると環境に変化に合わせて楽しむことができる。例えばべダルバイクの仲間と一緒に走るときなら「エコモード」セットしてペースをあわせるとよいだろう。いっぽうバッテリーの減りを気にすることなく激坂を走るならハイモードにといった具合だ。平坦ではバッテリーの減りはほぼ気にならないが、上り坂では消費が大きくなるので山岳コースを走るときにはご注意を。ただ、バッテリー残量メーターだけでなく、残りアシスト走行可能距離表示も表示してくれるのでわかりやすく、安心して走ることができる。

ディスプレイADはバックライト付き液晶を採用しており、走行中も画面が見やすい

ディスプレイADはバッテリー残量メーターのほか、オドメーター、トリップメーター、そして残りアシスト走行可能距離表示がある

「WABASH RT」と「CROSSCORE RC」共通、おすすめできるポイント

ここでは「WABASH RT」と「CROSSCORE RC」とで共通するスペックについてみていこう。バイクを選ぶ際に大切なポイントを見ていこう。ここでは電動アシストに直接的に影響するバッテリーと電動アシストユニットの性能。さらに乗り手の身長に合わせたサイズ展開を見ていこう。

電動アシスト自転車でもっとも気になるがバッテリーの持続時間だ。もちろんライダーの体重や獲得標高などのコース状況、走行モードによって電力消費量は変わってくるが、1充電あたりの走行距離は下記の表のようになる。 1回の充電でハイモードでも85㎞と余裕があるので、1日のツーリングなら峠を何本も超えるようなことをしなければ十分といえる、500Wh マルチロケーションバッテリー / 36V‒13.1Ah という余裕のある容量だ。

各モードと距離

モード 距離
ハイモード 85km
スタンダードモード 99km
エコモード 128km
プラスエコモード 188km
オートマチックアシストモード 94km

※表記されている走行距離は自転車協会の電動アシスト自転車安全基準に規定された「標準パターン」

取り外しができるバッテリー

便利なのが取り外しできるバッテリーだ。もちろんバイクにバッテリーを本体に取り付けたままでも充電できるが、取り外して室内で充電できるので、駐輪スペースに電源がなくても困らない。なお1回の充電時間の目安は約3.5時間だ。

フレームにあるポートから直接充電することもできる

共通して採用する軽量、パワフルな新型ドライブユニット「PWseries S2」を搭載

個々で紹介する2モデルが採用するヤマハが独自に開発した新型ドライブユニット「PWseries S2」は、従来モデルより550g軽量化され、約20%の小型化を実現している。最大トルクも75Nmに向上し、急な坂道やオフロードでも力強いアシストが可能。これにより、さらにスムーズな加速感が得られるようになった。

ライフスタイルに合わせたカラーリング

2024年モデルでは、カラーデザインにもこだわりが見られる。「WABASH RT」は、オフロード環境を想起させる「マットショールグレー」とオンロードの都会的で洗練された印象を与える「マットストーングレー」の2色展開で、異なるシーンを意識したカラーが選べる。

「CROSSCORE RC」では、「シティ」「アクティブ」「ネイチャー」という3つのテーマに基づいたカラーが用意されており、「スペースグラファイト」「マットブロンズ」「カーキジェイド」の3色から選択できる。これにより、ユーザーのライフスタイルやファッションにも合わせやすくなっている。

サイズは3種類 身長155~190cmまでカバー

スポーツバイクはライダーの体にあわせえたフレームサイズ選びが大切だ。CROSSCORE RC、WABASH RTともにサイズはS、M、Lの3サイズが用意されているので、安心して選べる。ライダーに適切なサイズを選ぶことで、快適な乗り心地と効率的なペダリングを楽しめる。各サイズと適応身長をまとめたので参考にしてほしい。

サイズと適応身長
  • Sサイズ:身長155cm〜170cm程度
  • Mサイズ:身長165cm〜180cm程度
  • Lサイズ:身長175cm〜190cm程度

自分の身長に合ったサイズを選ぶことで、長時間の乗車でも疲れにくく、安全性も向上する。また、ハンドルの高さや角度、サドルの前後位置なども調整可能、より細かなフィッティングをおすすめする。また、ロングライドやグラベルライドを楽しむWABASH RTとではよりフィッティングが大切になるので、購入時に販売店で確認しよう。

バイクジオメトリー

SIZE A (mm) B (mm) C (mm) D (°) E (°) F (mm) G (mm) H (mm) I (mm) J (mm) K (mm)
L size 595 551 140 72.5 71.8 72 1090 464 851 617 401
M size 565 490 130 73.2 71.7 72 1068 464 818 607 382
S size 536 429 120 74.3 71.1 72 1057 463 781 595 369

バイクラインナップ

CROSSCORE にはRTと、Connectedの2モデル。さらにWABASH RTがラインナップする。

CROSSCORE RC

価格:341,000円(税込)

スペースグラファイト
マットブロンズ
カーキジェイド
  • カラー:スペースグラファイト、マットブロンズ、カーキジェイド
  • サイズ:S、M、L

CROSSCORE Connected

価格:366,300円(税込)

スペースグラファイト
  • カラー:スペースグラファイト
  • サイズ:S、M、L

WABASH RT

価格:463,100円(税込)

マットショールグレー
マットストーングレー
  • カラー:マットショールグレー、マットストーングレー
  • サイズ:S、M、L

詳細はヤマハ発動機WEBサイトまで
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/
問い合わせ先はヤマハ発動機株式会社カスタマーコミュニケーションセンターまでhttps://www.yamaha-motor.co.jp/support/pas/

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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