ロングライドに挑戦しない理由は無くなった|Specialized Roubaix
小俣 雄風太
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競争原理から離れて出会う一台
自転車界を覆う勝った負けたの競争原理に、だいぶ疲れている。誰かがレースで優勝したからといって、そのバイクがあなたに最適な一台とは限らない。しかし勝てば官軍、優勝バイクはもてはやされ、メーカーもそれを販売促進に活用する。スペシャライズドがそのものズバリ「勝利」のアイコンとして掲げるS-WORKS Tarmacに乗ったときも、そこに覚えたのは自身の限界をプッシュできたという個人的な勝利であった。それは人に勝つということより、気分のよい勝利だった。私には誰かに勝った負けたという観念で自転車に乗りたくない気持ちがある。
だからRoubaixが掲げる「挑戦」というアイコンメッセージの方にずうっと惹かれるのだ。すでにS-WORKSグレードでのライドでグラベルを含むタフなルートを走ったが、あくまでロードバイクのスピード感でありながら、走れるフィールドを拡幅するそのポテンシャルに瞠目し、どこか遠いところまで走りたくなったのだった。折しも、ジャック・ウルトラサイクリストの日本縦断ライドがギネス世界記録を達成したという報せがあった。彼の挑戦を支えたバイクはRoubaixだ。すごく腹落ちするチョイスだ。
今回、そのベースグレードにあたるRoubaix SL8 SPORT 105で風張峠をライドした。およそ20kmにおよぶ都内随一のロングクライムは、標高1100mまで登っていくチャレンジングなもの。
Roubaixのエッセンスを余すことなく詰め込む
Mondoの32Cタイヤを履き、機械式の新型105をメインコンポにするRoubaix SL8 SPORT 105の重量はほぼ9kg(56サイズ)。ロードバイクとして見た時に決して軽くはないが、走り出すと重量以上に登りが軽く感じるのはS-WORKSグレード同様、フレーム設計の妙というところだろう。
ある程度余力を残すことを意識して緩斜面を淡々と走ってみた。このバイクが想定しているロングライドやアドベンチャーライドでは、高出力で単発の追い込みよりも、ライド全体をいかにまとめあげるか、そのペース配分が重要になると考えたからだ。標高1000mが近づき、頬を差す風が徐々に冷たくなってくるのを感じながら一定のケイデンスで風張峠を登り切った。
山頂でなおも余力があると、ダウンヒルが安全にこなせる。Roubaixの最大の特徴であるヘッド内に組み込まれたサスペンションシステムのFuture Shock 3.0は、やはり下りでその恩恵が大きい。Roubaix SL8 SPORT 105に採用されるFuture Shockは3.1となり、3種のスプリングの交換で好みの衝撃緩衝設定が行える(S-WORKSグレードに搭載された3.3は走行中にダイヤルで硬さの調整が可能)というもの。やや交換の手間はかかるが、一度自分に合う硬さが決めてしまえばそうそう入れ替えることはないだろう。
Future Shockのメリットは荒れた路面で衝撃をいなしてくれることにある。それも比較的低速域で、というところがポイントだ。時速40 〜50kmという高速域では多少の段差は前方向への速度慣性によって気にならないことが多い。しかし多くのライダーにとって主たる速度域となる時速20〜25kmレンジは、多少の段差であってもガタガタとハンドルやサドルに衝撃をもたらす。そこにFuture Shockが効いてくれる。
このバイクで5時間走りたい
これは時速40kmで1時間を走るよりも、時速25kmで5時間走った時に真価のわかるバイクだ。S-WORKSグレードとなると、時速40kmで1時間も気持ちいいからさすがではあるが……。
まだ走り足りなかったので、風張峠にはない激坂まで足を伸ばす。105の幅広いギアレンジに助けられて、15%を超える勾配もクリアできた。
もうひとつ、Roubaixの特徴としてAfterShockテクノロジーがある。シートのクランプ位置を下げることでライド中のシートポストのしなり量を稼ぎ、衝撃吸収性を向上させるもの。とはいっても、路面の細かい衝撃をいなすというよりは、衝撃による推進力の減少を抑えてくれるという印象で、劇的に快適だとは感じにくい。が、ロスを防いでくれている感覚は確実にある。
激坂をシッティングで踏み込んでいくと、シートポストがしなる感覚がわかりやすい。うまくこのしなりと同調してペダリングできると、激坂でもバイクが進んでくれる。使いこなせれば、登坂でも武器になってくれるかもしれない。
タイヤ幅の広さは、そのバイクでできるライドの幅の広さでもある。最大38cまたは
春が来たら各地でロングライドに出かけたい。走ったことのない土地を、長く走りたい。それはちょっとしたチャレンジになるけれど、このバイクなら大丈夫だという気がしている。
ライドコミュニティ主催者が愛するRoubaix
萩原武さんはサイクリングコミュニティCYCLE COMMUNE TOKYOを運営し、サイクリングの楽しさ、そして安全な乗り方の啓蒙に務めている。そんな彼の愛車はRoubaix SL8 EXPERT – SRAM RIVAL ETAP AXSだ。多くのロードサイクリストと時間をともにする彼に、このバイクの魅力を語ってもらおう。
「このバイクに乗って1年以上になります。それまではAethosとCruxに乗っていたのですが、まず驚いたのは平坦路でものすごく進むこと。Aethosは綺麗にペダリングできれば進みますが、Roubaixは多少雑なペダリングでもちゃんと進む感覚があったんです。
FTP4倍・5倍という脚力ではない僕としては、このバイクに登りでネガに感じる部分はありません。去年の富士ヒルクライムもRoubaixで楽しく走れました。
タイヤは28Cを履いたこともあったんですが、一度32Cで低圧の乗り心地の良さを知ってからはもう戻れなくなりました。太さは気になりません。それどころか下りの安定感が増すので今は太いタイヤの方が好みです。
去年裏磐梯でおこなわれたラファプレステージでこのバイクが大活躍しました。150km、3400mUPのルートで、当初はRoubaixだと重いかもと思ったのですが、いざ走り出してみるとそんなことは全くなくて。むしろ会津の荒れた路面ではFuture Shockがいい仕事をしてくれました。
今年はこのバイクでプレステージ以上の、200kmで獲得標高が4000mというようなライドに挑戦してみたいですね。」
Roubaix SL8 SPORT 105
完成車価格:¥385,000
「Roubaix SL8 SPORT 105」の
詳細はこちら
Guest rider: 萩原武
サイクリングコミュニティCYCLE COMMUNE TOKYO主宰。「サイクルライフを豊かにするサードプレイス」を掲げ積極的にライドイベントを行っている。プロライダーを招いてのセーフティライド講習の開催など、安全なライド普及にも尽力する。@cctokyo.jp
それぞれに個性豊かなスペシャライズド 3 Icons
スペシャライズド が提唱する3 Iconsのバイク「Tarmac」(勝利)「Roubaix」(挑戦)「Aethos」(自由)全てのS-Worksグレードにこれまで乗った。
勝利を命題付けられた、スペシャライズドのピュア・ロードレーシングマシン、Tarmac。そのS-Worksグレードに乗った最初の感覚は意外にも「楽しい!」というものだった。
▼金精峠を走った「Tarmac」の記事はこちらから
フューチャーショックを搭載し、走れる道を拡張するロードバイクRoubaix。その走行性能の高さは登坂とグラベルが入り交じるコマクサ峠のライドで真価を発揮した。
▼コマクサ峠を走った「Roubaix」の記事はこちらから
「ライドをそのものとして楽しむ」ためのバイクがAethos。軽量バイクとして注目されることも多いが、その本質は優れたライド体験にある。富士スバルラインの20kmに及ぶ登坂では、このバイクをじっくりと味わった。
▼富士スバルラインを走った「Aethos」の記事はこちらから
「Aethos」を多くのライダーに味わってもらうためのCompとSportsグレードもテストライド。アンダー40万円でこの性能を所有できることの価値。
▼ヤビツ峠を走った「Aethos」の記事はこちらから
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:Bicycleclub TEXT:小俣 雄風太 PHOTO:水上 俊介
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