ヴィンテージバイクに合わせてチューブラーホイールを再生|西山自転車商会EX
ニシヤマ
- 2025年01月21日
4月11日、12日に伊豆で開催されるエロイカジャパンを走るバイクを作る本連載。今回はチューブラーホイールを再生し、ブレーキやボトルケージを装着していく。
INDEX
チューブラーが安くて狙い目
まずはヤレたチューブラーホイールを再生する。ロードバイクがディスクブレーキ化したことで、リムブレーキ用のホイール価格は近年、下落している。
またチューブラータイヤを使う人は、ますます減っている。自転車フリマなどでもチューブラー用のリムは安い。ホイールやハンドルなど、かさばるものは売り手が再び持ち帰りたくないので、より安い傾向にある。
このスポークがサビ気味の、ヤレたチューブラーホイールは、もらったものだ。おそらく半世紀前という経年の割には、歪みは少なかった。
ただし、ハブはグリスが固まってシャフトが固着している状態だった。分解してクリーニング&グリスアップし、再びシャフトが回転するようにメンテナンス。
両面テープタイプのリムテープの登場で、チューブラータイヤの運用は著しく便利になった。
ミヤタのテープは残念ながら廃番になってしまったが、別メーカーからリムテープが再登場。チューブラータイヤ自体も、わずかながら需要はあるようで、まだ手に入るのがありがたい。
チューブラーホイールを復活
ゼウスのハブが使われているホイール。半世紀は経ている。ステンレスではなく、鉄スポークなのでサビている。表面のサビを落として、状態をチェック。見た目は悪いがそこまでサビが侵食しているわけではなさそうなので、ひとまずこのまま運用。
ハブをバラしてグリスアップ
古いグリスが固まったハブは、回らない状態だった。ハブコーンレンチでハブから玉押しなどを抜き、固まったグリスを除去して回転部とベアリングをクリーニング。新しいグリスを入れて組み直すとスムーズな回転を取り戻した。
古いリムセメントを除去する
チューブラータイヤは、リムセメントでリムに接着するが、古いセメントが残っているとテープの粘着力が削がれて危険。プロショップのコルサコルサの場合、振れ取り台にホイールを設置して、グラインダーで削り落とす。ステンレスのワイヤーブラシで、根こそぎ削る感じだ。
チューブラータイヤを装着する
超定番のビットリア・ラリー。近年、タイヤワイド化の傾向に合わせて、従来の21Cや23Cに加えて25Cも容易に入手できるようになった。ちょっと太めのタイヤで、ツーリングも楽しめる英国風クラブモデルとして楽しむつもり。
かつてミヤタから販売されていたリムテープはリムセメントの煩雑さを解消した画期的な商品だった。しかし、残念ながら販売終了。困っていたところに登場したのがエフェットマリポサ・カローニャチューブラー グルーイングテープS(2409円、フタバ)だ。ミヤタと同じように強力な両面テープだが、色が黒から白っぽい色に変わっている。使い勝手は従来と同じ。リムに貼って、タイヤを乗せて、上テープを引き抜くだけ。
完成したホイールがこちら
チューブラータイヤはリムに直接貼るというシンプルな構造ゆえ、タイヤが真円に近く乗り心地が良い。アルミのパイプリムは、ローテクながら、外周部の軽さとしなやかさでは、最新ホイールに勝る部分もあり、乗るのが楽しみなホイールに仕上がった。
ブレーキ力アップと仕上げ!
定番マファック・レーサーをチューン
センタープルブレーキの超定番で球数も多い。名前の通り、昔はレース用だった。ブレーキシューは、最新のクールストップ製のマファック用シューに交換。そのほか、ブッシュを真鍮に変えたりと性能アップを図る。
デフォルトのスプリングは強すぎて引きが重いので、ステンレススポークでスプリングを作る。これでかなりテンションは弱くなり、かなり軽い引きのブレーキとなる。
ボトルケージはダイソー
60年前には、にはまだ普及してなかったのか、ボトルケージ台座がない。イベントの水分補給にボトルは必須なので、ハンドルに装着することに。ひとまずダイソーでペットボトル用のホルダーを入手。これはこれで、実用的。
▼ラグジュアリーな「革の編上げバーテープ」編はこちらの記事をチェック!
今、自転車を始めるならヴィンテージかも
最近は、物価が高騰していて、自転車趣味も影響を受けている。パーツや自転車そのものも、価格が高くなってしまって、かなりハードルが高い遊びになってしまった感は否めない。
そんな中で、あまり物価高の影響を受けてないのがヴィンテージ自転車だ。パーツなどは一時期より安くなったと感じられる。
近頃、流行っているオールドMTBなどは値が高くなっているが(ブーム前はアホみたいに安かった)、60〜80年代のいわゆるロードやランドナーのパーツは、10年前より今のほうが豊富に手に入る。
ネットオークションやフリマもあるし、リアルな自転車フリマもシーズンともなれば毎週のように開催されている。
ヴィンテージなものは、クルマやバイク、ギター、時計など恐ろしいほどに高騰した。でも自転車は、それほどでもない。中にはお宝もあるにはあるが。
そこに価値があると思っている人が相対的に少ないからなのか。でも今、手軽に自転車を始めるなら、逆にヴィンテージかも。今が狙い目と声を大にして言いたい。
エロイカジャパン4月12 13日開催!エントリー受付中
伊豆の定番イベントとなり、今年で11回目となるエロイカジャパンは4月に開催。今回のエロイカビレッジは、静岡県伊豆の国市、伊豆長岡温泉「伊豆中ビレッジ」。新幹線や東名高速道路など、各地からのアクセスも便利だ。初日の土曜は、どんな自転車でも参加できるフレンドライド、日曜はヴィンテージライド。多彩なコースで伊豆エリアを満喫できる。自転車祭りで盛り上がるビレッジも注目!
初級者からベテランライダー、ヴィンテージでなくても参加できるコースも
MAPEI FRIEND RIDE 80
【距離】75.6km 【獲得標高】1703m
MAPEI FRIEND RIDE 30
【距離】26.4km 【獲得標高】333m
LONG ROUTE SAMURAI
【距離】178.8km 【獲得標高】3836m
MIDDLE ROUTE ODORIKO
【距離】140.6km 【獲得標高】3225m
SHORT ROUTE FUJI 80
【距離】75.6km 【獲得標高】1703m
SHORT ROUTE SAKURA 30
【距離】26.4km 【獲得標高】333m
バイシクルクラブ最新号もチェック!
40周年を迎えるバイシクルクラブVol.460(2025年3月号)では、「街と自転車」をテーマに、街に溶け込む、老舗の自転車店の肖像から、今どきのカスタムショップによる街乗り自転車の作り方。80年代のシティバイクの系譜や、街を楽しむをキーワードにした、人気の「TOKYO BIKE」などを紹介。街あるところに自転車あり、そんな自転車都市文化、過去と現在と未来をつなぐ大特集です!
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:Bicycleclub 文:西山 貴之
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