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スタイリッシュに決めろ! 盛り付けの秘技教えます

皆さんは料理をした時、盛り付けにこだわっているだろうか? 吟味して器を選んだのに盛り付けがイマイチで、と悩む人も多いのではないだろうか。今回は味とともにビジュアルの美しさでも注目を集める京都の新進イタリアンシェフに、その盛り付け哲学を教わったので紹介しよう。

ストックに頼らず新しいものを生み出す京都の新星

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京都の2つの名イタリアンでそれぞれシェフとソムリエとして名を馳せた2人がオープンさせた『ヴェーナ』。季節の食材を用いた料理と厳選されたワイン、落ち着いた立地や洗練されたインテリアが、舌の肥えた京都の大人たちの間で人気を集めているという。同店のシェフ・早川大樹氏は「盛り付けに明確なロジックがあるわけではなく、あくまで感覚でやっているので……」と謙遜する。しかし実際に盛り付け工程を見せていただくと、そこにはやはり独自のセンスに基づくフィロソフィがあった。ここではいくつかの要素を抽出して、早川流スタイルを紐解いてみたい。

Venaの3大流儀とは?

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【style 1】器類はほぼすべてが作家にオーダーしたもの
「独立したら器は作ってもらおうと思ってた」と早川シェフ。器肌に表情のある無地の陶器が中心だ。

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【style 2】あくまでも『味>見た目』イメージは味先行で
あくまで味の上で必然性のあるものしか使わない。「赤がほしいからトマトを使おうとはならない。大根と鰤のリエット、サラミを合わせたいときに、すべて丸い形にしようという考え方はアリ」と語る。

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【style 3】落ち着くし食べやすいから「真ん中」が好き!
「基本的には真ん中にドン、が好きだし、食べやすいと思うんです。あしらう葉野菜などをふぞろいにするなどして表情をつけます」アシンメトリーな盛り付けはあまり好きではないという。

では、これら3大流儀を踏まえた上で盛り付けのポイントを紹介しよう。

味にも視覚にも深みを!【色彩】

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雲子と原木椎茸のグラタントリュフ風味
雲子の白と、トリュフと椎茸の黒のモノトーンで統一された一皿だ。雲子と椎茸の濃厚さとトリュフの香りに陶然となる。仕上げにトリュフオイルも重ねて使用している。「これは何だろう?」と客を驚かせる黒い粉は、自家製の椎茸パウダー。「生の椎茸をまるごとフードプロセッサーにかけて細かくし、フライパンで5時間ほど炒めてから再度フードプロセッサーにかけてパウダー状にしています」。黒い粉がほしいからではなく、椎茸をさまざまな味わいで合わせたいと発想されたものだ。椎茸の旨味が凝縮したこのパウダーが、視覚的にも味の上でも、この皿に深みを与えている。

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1、椎茸を5時間炒め黒いパウダーを作る。
丸ごと椎茸を粉砕し、5時間じっくりと炒めて作る黒い粉。

2、椎茸パウダーはコンパクトに盛る。
椎茸パウダーを皿の中央に。「後からかけるトリュフと被らないよう、パウダーは椎茸で隠れる大きさに」と早川氏は語る。

3、雲子の白を見せつつトリュフをかける。
椎茸に雲子と海老芋ペーストを載せて焼いたグラタンを盛る。白子の白さを見せたいので、半分にトリュフをかける。

味覚の上での主役に視覚的にも存在感を!【カッティング】

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石垣鯛のカルパッチョ 淀大根と自家製からすみ 紅玉リンゴのソース
淀大根は、聖護院大根と同じく丸大根で、冬に旬を迎える京野菜だ。やわらかくて甘みの豊かなこの大根を、スリムな流線型にカットし、自家製のからすみパウダーをまとわせて、石垣島産の鯛と前菜に仕立てている。

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1、紅玉のソースで中央にラインを。
紅玉リンゴを煮詰めたソースを、ラインを引くように置いてスプーンで伸ばす。真ん中に盛り付けられるよう中心線上に。

2、薄く切った鯛を均等に並べる。
「同じ形のものは均等に並べるのが好きなんです」と早川シェフ。4~5日間熟成させた鯛の薄切りを4枚整列させている。

3、大根をのせてラディッシュを配置。
主役の淀大根をからすみパウダーでコーティングしてのせる。薄切りのラディッシュを、1枚ずつバランスを見ながら散らす。

黒いリゾットを主役にするための発想!【整列】

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黒米のリゾットトランペット 茸と百合根のソース プロシュート添え
真っ黒な黒なリゾットがインパクト大! イタリアンで定番のイカスミリゾットのように見えるがさにあらず。このリゾットの黒は、黒米とトランペット茸という黒いキノコのペーストを使って生み出したものだ。キノコのまろやかで優しい滋味深さと黒米のプチプチ感、百合根のほっくり感がプロシュートの旨味と塩気によく合う。

スライスしたプロシュートのように、同じ形のものはきちんと並べるのが好きだという早川シェフ。3枚のプロシュートを規則正しく整列させた上に、黒いリゾットをざっくりと大胆にあしらった。同じ形のリズミカルな連続とハンドペイント的なラフさのコントラストに、抽象画のような趣が漂う。

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1、プロシュートはきちんと並べて。
スライスしたてのプロシュートを広げて3枚整列させると、スタンプを押したようにリズミカルな雰囲気に。

2、主役のリゾットは大胆にスプーンで。
上にのせるリゾットはセルクルできっちり抜くのではなくスプーンでラフにのせてコントラストをつける。

3、オリーブオイルで風味を添える。
仕上げのオリーブオイルはフルーティーなタイプ。辛味や風味の強いタイプはこの料理には用いない。

盛り付けの秘技、おわかりいただけただろうか? 味だけでなく目で楽しむ、これこそ料理の真髄ともいえる。京都の新星が作り上げた洗練された料理、ぜひ店に足を運んで堪能してほしい。

【DATA】
●ヴェーナ
住所:京都市中京区室町通夷川上ル鏡屋町46-3
電話番号:075-255-8757
営業時間:12:00~13:00(L.O.)、17:30~21:00(L.O.)※木・金はディナーのみ
定休日:水、月1回不定休 ※要予約

●早川 大樹
京都生まれ、京都育ち。『イル・ギオットーネ』に14年間務め、本店料理長も務める。盟友である元『ボッカ・デル・ヴィーノ』ソムリエの池本洋司氏と組んで、2016年12月に『ヴェーナ』をオープン。

(出典:『buono 2018年2月号』

(ヤマダタケシ)

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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