包丁の種類と扱い方をプロに聞く

料理を極めるには、食材だけでなく道具も重要だ。なかでも包丁の役割は大きい。確かに万能包丁は使い勝手も悪くなく便利だが、それだけじゃ芸がないってもの。かっぱ橋道具街の包丁のプロに、基礎から選び方まで、包丁のいろはを聞いてみた。

包丁の選び方

包丁を購入するときの疑問

刃の部分の仕様や仕組み、構造や素材などを知ることで用途に合ったいい包丁を買おう。どんな包丁を選べばいいだろうか?

Q 最初の1本ならどれを買うべき?
A 切れ味の違いを実感したければ刺身用の柳刃。魚の解体に挑戦するなら出刃

まずは魚用からチャレンジ。いつも使っている包丁との違いを実感したければ、刺身用の柳刃を選ぼう。スーパーでも売っている刺身なら食べる機会も多いので、いつでも気軽にトライできる。初めから丸魚を解体したいなら、出刃がいいだろう。ただし、刺身にするなら柳刃も欲しい。

丸魚なら出刃

刺身なら柳刃

 

Q 初めての専用包丁なら予算はいくら位?
A 1~2万円代がおすすめ。買い替えNGなら高額なものが良い。

包丁の値段はピンキリ。しかも個人の価値観に違いがあるので一概に言い切れないが、1~2万円代を選んでおくのが妥当。高額の包丁を選んでも、素人が使いこなせないということはないので、買い替えたくないのなら、最初から高額の品を選んでも問題ない。

 

Q 専用包丁はそれ以外使えない?
A 刃を傷めるような扱いはせず、扱いやすいと思えばOK。

結論からいうと使えないことはない。例えば、寿司屋などでは柳刃で野菜などを切ることも多い。柳刃で骨を切るなど、無謀な使い方をしなければ問題はない。ただし、やはり専用包丁は素材に合わせた仕様で構成されている。できれば各食材の専用包丁として扱いたい。

 

Q 牛刀と三徳包丁はどこが違うの?
A 三徳包丁と西洋の牛刀。形は違うが用途は同じ。

三徳包丁は日本で昔から使われている、伝統的な家庭用の包丁。刃先にかけて丸みを帯びており、牛刀に比べるとやや幅が広い。どちらも万能包丁として使われ用途に違いはないので、手に馴染む方を選ぶといいだろう。

三徳包丁(上)は、刃先が丸いのが特徴。日本にしかない形なので、海外でも「Santoku」で通用する。牛刀(下)は三徳よりもやや細長い。

 

Q ツバの有無で違いはある?
A 刃と柄の間にある金具がツバ。柄の耐久性を高める重要部。

ツバありは柄の部分への水の侵入を防ぐので、衛生的で柄も傷みにくい。さらに、ツバがないとちょっとした衝撃で折れてしまうことも。包丁を安価に仕上げるためツバなしも多いが、耐久性を考えたらツバありを選びたい。 ツバなしは、柄と刃の繋ぎ目に若干隙間があるため、柄の部分に水が入ってしまう。

 

Q まな板はどんなものを選ぶべき?
A 木製ならイチョウを選ぶべし。扱いやすさで選ぶならプラスティック。

最も刃に優しいのは木のまな板であることは間違いない。世の中には様々な木材を使ったまな板があるが、なかでも抗菌作用の強いイチョウが家庭では使いやすい。少々やわらかいが、虫がつきづらい桐素材もおすすめだ。一般的なプラスティックは扱いやすいが、表面が硬いので刃が傷みやすい。

 

Q 包丁は両刃?片刃?
A 塊をカットするなら両刃、繊細な作業なら片刃。

和包丁は9:1で片刃が多く、洋包丁は7:3で和包丁よりも片刃が少ない。薄く・細く切るなどの繊細な作業や、切り口を重視するなら片刃。食材の塊をカットする場合は、表裏の力加減を考慮しなくても切れる両刃の方が扱いやすい。一般的家庭では両刃を使うことが多い。

両刃
刃の角度が表裏均等なので、食材の塊を切る場合はまっすぐ切れる。そのため素人でも扱いやすいが、研ぐ際には、両面均等に研がなければならないので技術が必要だ。

片刃
大きなものを切る場合、食材に対してそのまま真下に力を入れて切ると、刃の表裏が均等でないため、片側に曲がってしまうことも。薄く切る桂むきなどに適している。

 

Q 包丁は本焼き?合わせ?
A 鋼のみの「本焼き」と、軟鉄を組み合わせた「合わせ」

切れる鋼のみを使って作る刃が「本焼き」。鋼と軟鉄を合わせて作る刃を「合わせ」という。本焼きは丈夫で刃の持ちがいいが、高価なうえ研ぐのが難しい。合わせは比較的安価で研ぎやすいが、やわらかいので頻繁に研がなければならない。また、反りが出てしまう場合もある。

 

包丁の長さ

背伸びはせず、使い勝手や身体の大きさを考えて選ぶ
プロは一般家庭用よりも料理を作る数が多いので、より長めの刃を選ぶことも多いが、その分、まな板や厨房も大きいものが必要になる。長めの刃をクールに扱いたいところだが、プロ仕様よりもやや小さめを選ぶ方が無難だろう。また、小柄な人は短めの方が扱いやすい。

 

食材の良さを引き出す専用包丁の魅力

「自分で作った料理を〝おいしい〟と言ってもらえると、どんどん楽しくなるでしょう。それを手助けしてくれるのが包丁なんです」そう語るのは、包丁専門店「つば屋」の三代目ご主人・齊藤力さん。日本は魚や野菜などを生で食べることが多いので、食材に火を入れる料理よりも〝素材を切る〟という仕事が重要視されるという。見た目の良し悪しや作業効率だけでなく、切り方ひとつで味にも大きく影響する。その重要な〝切る〟仕事に不可欠な道具が包丁だ。

食材の魅力をより生かすためには、素材に合った包丁選びが基本。刃の形や大きさがさまざまな包丁があるが、もちろんこの違いにはそれぞれ意味がある。骨を切る、脂身の多い肉を切る、刺身を作る…など、これらは食材に合った仕様になっている。使い勝手がいいと切るときに力を入れずに済む。すると疲れにくく、怪我も少なくなるのだ。また、専門包丁は材料を無駄にしないという利点もある。例えば、魚を解体する場合も、出刃を使えば骨と肉をより無駄なく切り離せる。

では、どのように包丁を選べばいいのか。「うちはネット販売もしてますが、できれば包丁を必ず手に取って選んでほしいです。画面をみて〝コレでいいや〟ではなく、実際に手に取ってみて〝コレがいい〟という一品を選んでいただきたいですね」

服や靴を試着して選ぶように、自分の手に馴染むものを選ぶ。専門家の詳しいアドバイスを聞き、しっかりと手に取りながら包丁を知ることが、料理をレベルアップさせる第一歩なのだ。 つば屋 店主 齊藤 力さん
かっぱ橋道具街にある包丁専門店「つば屋」の三代目。鍛冶職人、研ぎ師、柄付け師との信頼関係を重んじながら、世界に向け包丁の魅力を配信。

【DATA】
住所/東京都台東区西浅草3-7-2
電話/03-3845-2005
営業/ 9:00~17:45、9:00~16:45(日・祝日)
休み/なし(1/1~1/3を除く)

 

包丁の種類

家庭でも扱いやすい、包丁のプロが推奨する専門性に秀でた包丁の数々を紹介する。

和包丁

柳刃
刺身用。柵を1回で引き切るには長さが必要。抵抗を少なくするため刃は細い。
7~8寸(21~24㎝)程度。刺身の柵を一度に切り分けるなら、24㎝くらいあった方が◎

「カドが立った刺身を引くなら絶対に手に入れたい1本」

全国的に有名な堺の職人の逸品
堺の名鍛冶屋が打った青二鋼を、堺で腕の立つ研ぎ師が研ぎ上げた。
青ニ鋼 上 柳刃
サイズ/ 24cm
鋼材/青二鋼
割込材/軟鉄
柄/朴木栗型
口輪/水牛

 

出刃
魚や鶏、とくに骨を切る際に使用。骨の硬さに勝るためは、厚みと重みが必須。
釣りなどで大物を扱うのでなく、家庭で買ってきた魚をさばく程度なら、5寸(15㎝)くらい。

「魚のさばきには必須!骨も断ち切る重厚な仕上がり」

魚のプロたちも大満足の包丁
堺の職人たちの技が結集した出刃。プロにも人気のある商品。
青ニ鋼 上 出刃
サイズ/ 15cm
鋼材/青二鋼
割込材/軟鉄
柄/朴木栗型
口輪/水牛

 

薄刃
野菜を切るための片刃の包丁。関東は四角、関西は鎌型。桂むきに適している。
あえて家庭で使うなら、6 寸5分(19.5 ㎝)くらいのものが使いこなしやすい。

「野菜をトントン切る打ち込みやすさを実感!」

繊細な野菜料理にぜひ使いたい
角はそれぞれ面がとってあり、肌触りも質感も抜群によい。
青ニ鋼 上 薄刃
サイズ/ 19.5cm
鋼材/青二鋼
割込材/軟鉄
柄/朴木栗型
口輪/水牛

 

菜切り
野菜用。薄刃と違い両刃なので、野菜がまっすぐ切れ、一般の人でも扱いやすい。

小出刃
出刃を小さくした包丁で、魚の骨などを切る。刃は9~10㎝程度と短い。

蛸引き
柳刃と同様の刺身用。先が四角いのが特徴で、関東型の刺身包丁と言えばコレ。

鰻裂き
鰻専用。関東は背開き、関西は腹開きのため、形が異なる。写真は関東用。

洋包丁

牛刀
海外ではシェフナイフとも呼ばれ、肉や野菜など、様々な食材に使用する。
家庭用では21㎝で充分。プロは品数を多く作るので長めのものを使うが、家では必要ない。

「洋包丁を買うなら間違いなくこの1本から」

プロ用・家庭用とも扱いやすい最高の品
全国屈指の技術を持つ鍛冶屋による一丁。プロも満足できる品。
モリブデン鋼
本焼 牛刀
サイズ/ 21cm
鋼材/モリブデン
バナジウム鋼
割込材/なし
柄/パッカー材
口輪/合わせ

 

筋引き
肉の筋や脂を取り除く成形用。刃が細いので、肉や脂がこびりつきづらい。
家庭ではそれほど大きなブロック肉を切ることはないので、21㎝くらいが使いやすい。

「抵抗の少ない細身の刃で肉の成形もスムーズに」

細く繊細な研ぎ澄まされた刃
鍛造包丁の本場、堺の包丁職人による洋包丁。刃持ちの良さは抜群。
モリブデン鋼
本焼 細身筋引
サイズ/ 21cm
鋼材/モリブデン
バナジウム鋼
割込材/なし
柄/パッカー材
口輪/合わせ

 

ペティ
万能包丁の小型版。フルーツや野菜など、ちょこっと使いに力を発揮。
果物などには12㎝で、長くても15㎝程度。短ければ短いほど、牛刀とも使い分けができる。

「小ぶりでかわいくても使い勝手はバツグン!」

気軽に使える小さな万能包丁
果物だけでなくさまざまな用途で活躍する。錆びにくいのも◎。
モリブデン鋼
本焼 ペティ
サイズ/ 12cm
鋼材/モリブデン
バナジウム鋼
割込材/なし
柄/パッカー材
口輪/合わせ

 

骨透き
主に鶏の骨切りや骨から肉をはがすために使用。出刃と同様、厚みと重みがある。

パン切り
波型の刃先がパンの表面にひっかかり滑らず切れる。細い刃はパンを潰さない。

カーヴィング
鉄板専用。先が丸いのは、手首を返すだけで切れるため。刃は約20㎝が主流。

サーモンスライサー
筋引きとほぼ同形だが先が丸い。くぼみが脂をキャッチし、べたつかずに切れる。

 

 

包丁の素材

鋼は研ぎやすく、ステンレスは錆びにくい
鋼とステンレスでは値段はそれほど差がないが、それぞれメリット・デメリットが分かれる。鋼は柔らかいので研ぎやすいうえ切れ味も長持ちするが、錆びやすいので手入れに気を遣う。一方ステンレスは錆びないので手入れの心配は無用だが、やや研ぎにくいのが難点だ。

鋼(はがね)

青鋼
切れ味…★★★
錆びにくさ…★★
硬さ…★★

白鋼
切れ味…★★★
錆びにくさ…★★
硬さ…★★★

日本鋼
切れ味…★★
錆びにくさ…★★
硬さ…★

ステンレス

ハイス鋼
切れ味…★★★
錆びにくさ…★★★
硬さ…★★

スウェーデン鋼
切れ味…★★★
錆びにくさ…★★★
硬さ…★★

モリブデン鋼
切れ味…★★★
錆びにくさ…★★★
硬さ…★★

 

 

 

人気の高級ブランドの包丁

抜群の切れ味と使いやすさが重要な包丁を、料理人がおすすめする高級ブランド毎にみていこう。

全工程を職人が手掛ける「堺包丁」

洋包丁は機械技術と職人による手技の融合作品。世界的に評価が高い堺刃物のなかでも、業者から注文が絶えないといわれる芦刃物製作所。抜群の切れ味と使いやすさを形にする、職人たちの秘技を追った。

堺包丁を作る職人

芦博志氏が会社を継いだ昭和55年は創業32年目にあたり、600年以上の歴史を誇る堺刃物のなかでは後発組と言えた。切れる包丁を作ることは当然で、人と違う道を模索しなければならなかった。そこで芦氏が目を付けたのが洋包丁。和包丁がメインの堺にあって、洋包丁はまだまだ食い込む余地のある分野だった。

同社の製品には見た目もパーツも洋包丁でありながら、和包丁の切れ味に近い研ぎを施している。市場で見かける安価な包丁が機械で刃先を造り出しているのに対し、同社の包丁は表と裏の両面から刃先が最適な角度になるように、熟練した職人の手作業により緩やかなカーブを描いている。

しかし、研ぎが完璧であれば良い包丁、というわけにはいかないらしい。1枚の鋼材が1本の包丁になるまでには何十という工程があるが、工程を一つ経るごとにその姿や形のみならず、鋼の組織まで変化が生じるのが包丁の難しさ。そこを逆手に取った芦氏は、叩き、研ぎ、柄付けのすべてを自社で一貫生産することに。前工程で生じたズレを後工程で少しずつ調整しながら、トータルで良い物を作り上げていくのが包丁の面白さだと語る。

「使い方、食材、頻度など、使い手によっても最適な硬さ、粘り、持ちは違ってきます。私たちは全工程を一貫して手掛けているからこそ、様々なお客様の要望に柔軟に対応することができるんでしょう」
包丁を作り始めて半世紀。モノづくりへの情熱の炎を燃やし続けている。
芦刃物製作所 代表取締役 芦 博志さん
1948年堺生まれ。幼い頃から職人たちの姿に憧れ、18歳で修業に入る。現在は、熱処理、研ぎ、オーダーメイドなどを主に手掛ける。
住所/大阪府堺市堺区並松町14
電話/072-229-4920
営業時間/ 9:00~17:00
休み/日曜・祝日不定休
http://www.ashihamono.com/

堺包丁を作るテクニック

鍛冶の技
「熱して叩いて冷やす」を繰返し、鋼材の変化を促す
鋼材の変化は1000℃まで、赤く熱することから始まる。これを何度も繰り返し叩き、鍛えながら包丁の大まかな形を作る。これをゆっくりと冷やすことでストレスを除きながら、鋼の組織を均一にすることができる。この後、包丁の形に成形し、炭素鋼(780~800℃)、ステンレス鋼(1050℃)に加熱し、水や油で冷却しをして硬くする。さらに、150~200℃に再加熱することにより、強靭な刃物が生まれる。
長方形の鋼材を熱して叩くを繰り返しながら、包丁の形に成形していく。
(左)叩きながら歪みが出たら何度も修正する。(右)最初は1000℃あたりから作業を始め、徐々に加熱温度を下げながら成形する。

刃研ぎの技
刃物を研ぎ澄ますには荒い目、細かい目の順で
研ぎ師たちがまず最初に行う工程が荒研ぎ。片面自動研削機で刃物の余計な部分を削り取り、適切な厚みに整えながら、本研ぎへ進む。木製の細長い研ぎ棒にフックが取り付けてあり、そこに包丁の刃を引っ掛けるようにして研ぎ上げていく。その後、布を重ねて縫い合わせて作られたバフというクッションのようなものの表面に研磨剤を接着した専用道具を使って、刃の表面を磨き上げていくのである。
研ぎのステップも繰り返しの作業。鋼とステンレス、それぞれに合った砥石が必要になる。
(左)研ぎの仕上げは数個のバフを使用。フラップホイールというペーパーバフで磨き上げる。(右)研ぎの最中にも包丁を各方向から見て歪みをチェック。

柄付けの技
印象を左右する柄は和洋で製法も大きく異なる
柄付けの方法は、和柄か洋柄かで変わってくる。洋柄の場合ハンドル材で両側から挟む。穴の位置を合わせたらリベットでかしめ、ペーパーで成形した後、ワックスでツヤ出しをする。和柄の場合は中子をバーナーで熱し、柄尻を木槌で叩いて焼き込む。木製の柄は中子の熱で焼かれることによって穴が開く。柄の抜けや腐食を防ぐため、一度柄を抜いて接着剤で充填。刃の欠けなどがないか最終チェックして出荷へ。
(左)洋柄はハンドル部分にプレス機で穴を開けておく。穴の位置をハンドル材と合わせ柄を削って微調整。(右)リベットでかしめた後もハンドル材からはみ出た部分をさらに整える。

有名ブランドのOEMも手掛ける同社の、技と包丁への思いが結集したオリジナルブランド「銀香(ぎんが)」。洋包丁の刀と和包丁の柄を組み合わせた和牛刀。和包丁のような見た目と洋包丁の使い勝手を併せ持ち海外からの人気も高い。刃渡り270㎜、全長415㎜、重さ170g。

 

料理人のプロが厳選した包丁「ツヴィリング」

良いナイフの条件とはまさに切れ味にある。ただし、鋭い切れ味というのは腕や手首の力によってもたらせられるものではない。刃が持つ精度の高さにこそ価値があるのであり、握りやすさや扱いやすさという特徴は二次的な要素に過ぎない。この道具特有の様式美は、まさに日本刀のそれに近い。戦国武人たちの要望と刀鍛冶の技巧により生み出された数々の名刀は『人を斬る』ことに特化した武具であったが、時は流れその技術は和包丁という料理道具へと継承された。今や和包丁は世界へ誇る日本の技術として絶大な人気を得ている。ただし鋼で作る和包丁は錆びやすいという側面もあり、極めてデリケートな扱いも要求されるのだ。そんな和包丁の技術を残しつつ、錆びやすいという欠点を補う逸品が、このボブ・クレーマー ユーロ ステンレス シリーズである。

料理人が選んだ包丁ブランド

世界最高のナイフビルダーとして著名なボブ・クレイマーが自作するKramerKnivesは誰もが簡単に入手できるものではない。購入するには事前登録制のオークションを利用するなど、その道は極めて困難である。では、なぜそこまでの人気を誇るのか。その所以は、前述した日本刀を彷彿とさせる鋭い切れ味に他ならない。

そんな世界的なナイフビルダーと名刀の里と名高い岐阜県関市に居を構えるドイツの総合キッチンメーカー、ツヴィリングの職人によるコラボで実現したのが、ボブ・クレーマー ユーロステンレス シリーズだ。刃には101層のステンレスを採用した点が何ともニクい。ボブ・クレーマー氏独自の杉綾模様『シェブロン ダマスカス パターン』を再現。2種類の異なるステンレス素材を積層させたダマスカスデザインを採用。和包丁を凌ぐ強度を保ちながら、防錆性にも優れた包丁へと昇華させている。美しい波状の模様を纏い、まさに食材を切るために命を吹き込まれた料理人の名刀として、数々の名勝負を繰り広げてくれるに違いない。
元料理人だったボブ・クレーマー氏は、これまでの経験から「研ぎ」を重要視したナイフ作りを始める。刃厚が極めて薄く、切れ味の鋭いナイフの噂は瞬く間に広まり、今や簡単に入手できないほどの人気を誇る。ダマスカス鋼による独特な波状模様が特徴で、手にしっくりと吸い付くハンドルはプロから絶賛されるほどの質感。

ディテール

シンプルだが握りやすさが考えられたハンドルは、手のカーブに合わせた独自設計を採用。ハンドル材としてはポピュラーなマイカルタ素材を使用し、堅牢性や耐久性を高める。

独特な波状の模様は、101層のステンレスを積層することで現れる。このシェブロン ダマスカス パターンは、ボブ・クレーマー氏の作るナイフの特徴と言ってもいい模様だ。
ツヴィリング日本工場のある岐阜県関市は、日本を代表する刃物の町。鎌倉時代に刀祖「元重」がこの地に移り住み、刀鍛冶となったのが始まりだ。刀づくりに理想的な風土条件を備えた土地は数々の刀匠を呼び、室町時代には300人を超えていたという。「折れず、曲がらず、よく切れる」といわれた関の刀の技術は、現在刃物産業へと受け継がれている。

 

伝統ある包丁工房「タダフサ」

鍛冶の町〝三条〟で三代に渡り受け継がれる伝統のある包丁工房。

地場の産業とともに歩んできた鍛冶の歴史

日本海側に位置し、日本有数の豪雪地帯を持つことで知られる新潟県。南北に長く伸びた地形は、いまでも豊かな自然が残り、旧くからその自然の恵みを糧とし、農業や畜産を主要産業としてきた。なんといっても銘品種で知られるコシヒカリなど、日本人の主食として愛され、日本食には欠かすことのできない米の生産量は全国第一位。新潟県の数倍の広さを持つ北海道よりも生産量が多いことは興味深い。さらに日本一長い川で知られる信濃川も流れ、その支流である川はいくつも存在する。

そんな海、川、山に囲まれた新潟県だが、良い事尽くめではなく、自然に恵まれた土地だからこそ起こってしまう執拗な降雪、河川の氾濫など、毎年のように繰り返される天災は深刻なもの。そこで生まれたのが鍛冶業だった。

東京駅から上越新幹線に乗り2時間ほど。新潟県燕市と三条市のちょうど市境にある燕三条駅。どちらも鍛冶の町として知られ、工具、農機具、調理具など、旧くからあらゆるジャンルの金物作りが盛んに行なわれている。いまや伝統工芸として地場産業の中核を成しているのは言うまでもない。

昭和23年に創業した包丁メーカー「タダフサ」は三条市を拠点とし、初代、曽根寅三郎氏によって作られた金物工房「曽根製作所」から歴史が始まる。大工道具である曲尺作りで修行を積んだ鍛造技術を活かし、鎌、小刀、包丁など、生活に必要不可欠なあらゆる刃物を手掛けていた。その噂は町でも評判で、次第に漁師用刃物を手掛けることに。当時から東北や北海道を中心にマグロの遠洋漁業が盛んだった。三カ月、半年、またはそれ以上となる長期の漁において、漁師たちが仕留めた獲物を捌くために使用する刃物を一度に何十丁、何百丁と作っていたという。現在でもメーカーのオリジンとして受け継がれている解剖丁、間切などがそれだ。以降、家庭用刃物、本職用刃物、蕎麦切り包丁、パン切り包丁から特殊な包丁まで、ありとあらゆる刃物を作り続けてきた。

長い歴史を誇る三条市の伝統工芸として広く知られ、昔ながらに作られる伝統の金物作りを受け継ぎながらも、常に時代に合わせたニーズ、ユーザーの声に耳を傾ける社風から、地域に根付き、人々から愛されてきた「タダフサ」。叩くほどに硬くなり、磨くほどに美しく、研ぐほどに鋭くなる刃物と同じく、伝統を堅固に守り、これまで培ってきた経験と技術を活かし、新たな境地へ鋭く切り込む、包丁メーカー「タダフサ」としての在り方を開拓し続けている。

(左)1000度近い温度の金属を掴むために必要不可欠なヤットコ。ブランドロゴにも使用されている。(右)包丁の柄は仕上げに付けるもの。研磨の段階では柄が付いていないため、職人たちが刃物を扱いやすいよう専用の木道具を付けて研がれる。

(左)ブランドのアイデンティティを象徴する刻印。(右)包丁を研ぐために使われる研磨ベルト。金属の素材、研ぎ方によって使用する粒度も多種多様だ。

鍛造、研磨され次第に鋭い表情を見せる包丁。熟練した技術が必要だ。

なぜ包丁は三条なのか?

そもそも新潟県・三条市が鍛冶の町として広く知られるようになったのは、同市の気候に大きな要因がある。新潟県の中央に位置する県央地域に属している三条市。自然の豊かな町として知られ、その肥沃な土地を利用し、日本人の主食となる米を中心に野菜、果物などさまざまな作物を育てるいわゆる農業が昔ながらの産業だ。一方、日本でも有数の降雪地域としても知られ、冬になると雪で農作業が不可能となる。そこで生まれたのが、冬でも手掛けることができる鍛冶。包丁はもとより、和釘などの調理具、鎌や鍬といった農機具、釘などといったあらゆる金属製品を手掛けている。 漁業用の解剖丁、間切をブランドのオリジンとし、親子3代に渡り受け継がれるタダフサの包丁作り。2代目である曽根忠一郎氏は、鍛冶職人として今でも現役だ。

鍛造から研磨まで一貫して作ることで品質の安定に

「物心ついたときには、すでに祖父、父、叔父などが鍛冶職人として工房で刃物作りをしていました。幼少期から、刃物作りは身近なことだったんです」。

三代目となる曽根忠幸氏は現在、三条市を拠点とし、包丁メーカーとして知られる「タダフサ」を担う存在。これまで築き上げてきた歴史と伝統を守り続けることは、そう簡単なことではない。しかし、彼は祖父や父が歩んできた道を自身で振り返り、伝統を守りつつも常に時代やユーザーのニーズに応えるべく刃物作りを行なうことこそが「タダフサ」の在るべき姿であると考える。

「祖父が初めに漁師用の包丁を作ったのは、その時代にニーズがあったからだったんだと思います。もちろん、それがなければ、今の「タダフサ」は存在し得なかったことでしょうし、もちろん技術の面では、伝統や歴史を重んじますが、そこに固執することなく、包丁や刃物を使うユーザーにとってより良いものを作り続けていく事がメーカーとして重要だと思います。現に私たちの工房では、鍛冶屋として「できないものはない」というクラフトマンスピリッツに基づいて、長年に渡りもの作りを続けているので、自由な発想のもと、先代である祖父や父たちがやってきたように限界が許す限りカタチを問わず作り続けるつもりです」
ここ最近、メディアで紹介され一時、品切れ続出となったパン切り包丁からみても、彼の言葉には説得力がある。

「タダフサ」の強みは、材料となる金属の切断から鍛造、成型、研磨など、すべての工程を自社の工房で行ない一貫した作りができること。それによって安定した品質の包丁が仕上がり、いつの時代でも同じものを手にすることができるのはユーザーにとって安心材料でもある。もちろん、すべて熟練した職人たちにより、1本ずつ丁寧に作られているのは、いわずもがな。ハンドメイドにも関わらず安定している品質にタダフサの技術の高さを垣間見ることができる。

「伝統工芸としての技術力、造形美から、いまやアメリカをはじめ、海外での反応も良く、徐々に認知され始めてきています。それによってニーズも世界を見なくてはいけません。いずれは世界に通用する包丁メーカーとして、より大きく成長していきたいものです」
三代目、曽根忠幸氏。幼いころから職人である祖父、父を見て育ち、現在は包丁メーカーを担う代表取締役社長。

 

(左)鋼材が赤く熱せられたら鋼材を延ばして、おおまかな包丁の形状を作る。(右)約1000℃のガス炉で包丁の材料となる鋼材を熱する。

(左)包丁の原型である鋼材を叩き材質を強靭にする。(右)均一に鍛造された包丁。

(左)成型されてきた包丁を平らになるように歪みを取る。(右)包丁をより理想のカタチとするためグラインダーで面とりとバリとりを行なう。

(左)柄を付け、ブランド名の刻印を施して完成。(右)荒、中、仕上げ砥石で研磨。

【DATA】
株式会社タダフサ
住所/新潟県三条市東本成寺27-16
電話/0256-32-2184
http://www.tadafusa.com/

 

包丁を研ぐ

料理の味を左右する包丁。その〝切れ味〟を左右するのが研ぎ。どんなにいい包丁を持っていても、砥いでいなければ、宝の持ち腐れだ。天然砥石を多く取り扱う森平で、奥深き研ぎの世界を教えてもらう。

包丁の研ぎ方

天然砥石は研ぐ直前に一度水をかけるだけ

人工砥石は研ぐ30分ほど前から水に浸しておくという準備が必要だが、天然砥石は不要。研ぐ直前、砥石の表面に水をかけて濡らせばOK。乾いてきたら水を数滴ずつ追加する。

身体は砥石の正面まっすぐに立つべし

研ぐ際の基本姿勢は砥石に対して真正面、まっすぐに立つ。正面に立つことで力のかかり方にブレが生じず、仕上がりにムラが出ない。刃と砥石の接着面の角度だけに集中できる。

押すときに力を入れ引くときは入れない

砥石面で刃を動かす時、押す時にだけ力を入れるのがコツ。引くときにも力を入れると、砥石と刀の角度にブレが生じてしまう。力は一方通行の方が研ぎやすく角度を保てる。

刃を数等分して段階的に研いでいく

小さい刃物ならともかく、包丁なら一度に刃を砥石にあてるのは無理。刃の長さをブロックに分けて考え、刃の根元から順に研ごう。その際、砥石中央に左手がくるように添えて。

刃の先端の砥ぎは砥石に対して鋭角に

刃の根元や中央部分と違い、丸みをもった先端は、砥石に先端の刃面が直角にあたるよう、角度をつけて研ぐのがポイント。先端の刃と砥石がなるべく水平に密着するように注意しよう。

両刃のポイント

裏と表のバランスは6:4を意識して

両刃と言っても、表裏均等ではなく、全面に鋼の入っている両刃の場合、表と裏のバランスは6:4 で研ぐ。ただし、真ん中に鋼の入っている菜切り包丁は5:5のバランスを意識しよう。

バリを取る際には左手でしっかり保定

両刃の切れ味は仕上げ砥でのバリ取りが左右するが、その際は右手で角度を決め、左手でブレを抑えるのが大切。力を入れずに砥石面を滑らせることで、きれいな“刃がつく”。

片刃のポイント

まずはしのぎの角度に合わせて研ぐ

片刃の場合、しのぎの角度に合わせて先端、しのぎを荒砥、中砥で研いでいく。このしのぎがきちんとあることで、刺身などで切った魚がすぐ離れるため、刺身の味を上がる大事な工程。

裏面のバリを仕上げ砥で排除する

しのぎを研いだ際、裏面にバリ(反り)が生じてしまう。そのため、仕上げ砥に裏面を寝かせて砥石にあて、バリをなくす作業が肝心。ただし、仕上げ砥の際は力をかけず、滑らせる程度。

 

砥石選びの基本とは

東京・浅草橋に店を構える「森平」は、各種刃物と天然砥石を販売する老舗。店に入るとすぐ右手に特製の研ぎ台がしつらえてあり、4代目当主の小黒章光氏が出迎えてくれた。

「お客様にまず聞くのは、誰が使うか。次に何を研ぐか」

砥石の使用者が料理人なのか、大工なのか、指物師なのか。また、たとえ料理人との答えでも、和・洋包丁、片刃・両刃、出刃・刺身包丁など、何を研ぐかによっても、最適な砥石は異なり、もちろん、使う人の好みもある。まるでカウンセリングをするように、小黒氏は客一人一人に対して、どんな砥石が求められているのか、絞り込んでいく。

「天然の砥石は、同じものがありません。同じ産地、銘柄でも、採れた層や切り出し方、形によって向き不向きがあります」

かつては日本全国で採れていた砥石だが、鉱山は次々と閉山。そんな中、森平では創業以来仕入れてきた天然砥石が豊富で、他では手に入らない希少なものを見つけることもできる。

「天然と人工の砥石の違いは、仕上がり。天然物は深い傷がつかないし、刃が締まる。それに石の減りが少ないので、実は人工より長持ちするんです」

また、天然砥石が貴重だと言っても、荒砥は数千円、中砥・仕上げ砥は1~2万円から手にできる。天然砥石のほうが包丁を傷めずに切れ味を良くでき、長持ちするとあれば、どちらを選ぶかは自明の理。小黒さんは講演会などで店を不在にする日もあるので、ぜひ電話で確認してから「砥石カウンセリング」を受けに行こう。
森平 代表取締役 小黒章光さん
昭和8年創業の森平4 代目。砥石への深い造詣と研ぎの技術を見込まれ、商業施設での実演販売、料理人など専門家向けの講習会などでも活躍。
【DATA】
住所/東京都台東区浅草橋1-28-6
電話/03-3862-0506
営業/ 9:00~17:45
休み/土・日・祝日
http://www.morihei.co.jp/

 

天然か人工か?

今は多くの砥石鉱山が閉山になってしまっているため、現在、販売されている砥石の約9割が人工的に作られたもの。人工と天然とでは、使用前に水をかけるか否かといった使い方の違いがあるほか、仕上がりにも当然ながら大きな差が出る。

天然砥石は、石の粒子に丸みがあり、刃物に傷がつきにくい。研いだ際の刀面がまろやかに仕上がる。
人工砥石は、炭素ケイ素、アルミナ質といった研磨剤に結合剤を混ぜて固めてあり、粒子に角がある。

 

砥石の種類

まず基本として押さえておきたいのが、3種類の砥石を使い分けること。これは天然砥石でも人工砥石でも同じだが、きれいな仕上がりと刃の保護のためには、砥石の面の粗さによって荒砥、中砥、仕上げ砥からなる3段階の砥石を用意することが必須だ。

荒砥
砥石の面が粗く、崩れた刃のラインを大まかに整えるために必須。荒砥でまず、研ぎ面のゆがみを正す。刃が欠けた時に修正したり、刃のない包丁に刃付けしたりにも使える。

中砥
荒砥を使った際にできた傷を、滑らかに直し、研削と研磨によって刃を立てて、形を整えてくれる。荒砥で大まかに修正した刃形、そりや曲がりを中砥できちんと修正しよう。

仕上げ砥
砥石の粒子が最も細かく、中砥で作った刃の切れ味をさらにアップさせるためのもの。中砥の後に仕上げ砥をかけることで、さらに鋭利な刃物となり、切れ味に大きな差が出る。

 

砥石コレクション

この世に同じものが二つとない天然砥石。森平のおすすめはこちらの品々だ。

「正本山」の名は砥石のプロのお墨付き
正本山合砥 うろこ 変型
変型を狙えば上質の砥石を安く買える 古くから正本山(しょうほんざん)の砥石と言えば、「質に間違いなし」と言われた上物の代名詞だった。こちらはきちんと切り出されていない変型のため、質が良いわりに安価で手に入る掘り出し物だ。
硬度レベル/普通硬度
向いている刃物/変型とはいえ、大きさは十分あるので、小型の刃物から包丁までの大きさの刃物ならOK。「和包丁でも洋包丁でも、きれいに仕上がります」。

 

安定したクオリティの対馬産ならハズレなし
対馬砥石
周囲の養生の有無が対馬砥石の見極め点
質に差が出やすい天然砥石の中でも、安定したクオリティのものが多く、産出量も一定している対馬産。割れ防止のために周囲を和紙で包み、カシューといううるしを模した液で塗り固めたものがおすすめ。
硬度レベル/やや軟口
向いている刃物/ある程度目が細かいので和包丁の中砥~中仕上げに。切れ味を追求するなら、対馬砥に必ず仕上げ砥を追加して、バリをきれいに落とそう。

 

いまや希少品の青砥質の見極めに注意
京都本山青砥
古くから重用された青砥は対馬より繊細な研ぎ味
京都産には上質な仕上げ砥が多い中、青砥の中砥には質の良しあしに差があることで知られているため、信頼のおける店で買うのが望ましい。同じ中仕上げ砥でも、対馬より粒子が細かく繊細。
硬度レベル/やや軟口
向いている刃物/目が細かいため割れやすさが難点だが、片刃でも両刃でも和包丁の中仕上げに。青砥での仕上げでやめる料理人もいるほど、きめ細かな仕上がりが可能だ。

 

頻繁に使えて扱いやすい押さえておきたい一品
天然天草砥15型
4つの面で研げる15型ならお買い得
昔から中砥の産地として知られた九州の天草地方。使用頻度が高い中砥は、使い勝手の良さが選ぶ際のポイント。写真の15型なら、4つの面で研げるため摩耗スピードが遅く、長持ちさせられる。
硬度レベル/普通硬度
向いている刃物/天草産は天然砥石の中でも比較的手軽に手に入るため、初心者の入門編としておすすめ。和包丁、洋包丁の中研ぎに向いている。

 

鋼への研削力が強い巣板の中でも白は貴重
日照山合砥 白巣板
砥泥が良く見える白巣板で研ぎを極める
仕上げ砥が多く取れた日照山の中でも、巣板とは研削力が強い層で採れたものを指す。通常の巣板は黄色だが、白い巣板は珍しく、なおかつ砥いだ時に生じる砥泥がよく見えることで重宝される。
硬度レベル/普通硬度
向いている刃物/硬度としては仕上げ砥の中で普通レベル。したがって汎用性は高いが、特に和包丁の仕上げに最適だ。片刃、両刃でもOK。

 

硬度が高く、きめ細かい年代物の天然砥石
大突山合砥
切り口の違いで砥石の年代を見分ける
古くから高級かつ上質で知られた大突山の砥石。写真のものは年代が古く、さらに希少価値が高い。「丸のこがない時代、のこぎりで切り出したことが切り口でわかるんです」。老舗で目利きの森平ならではの品。
硬度レベル/硬口
向いている刃物/和包丁・洋包丁など包丁全般はもちろん、ノミやカンナといった大工道具の仕上げにも。「最後の最後の仕上げを、きっちりするのに向いています」

 

黒いカラスの模様は高い研削力の証
大突山合砥 カラス
大突山砥石の中でもさらに希少な存在
カラスとは、黒い筋のような模様が入っている砥石のこと。同じ大突山の砥石でも、カラスの砥石はより粒子が細かく、研削力があるため、仕上げ砥として最適だ。希少価値があり、ほとんど市場にない状態。
硬度レベル/やや硬口
向いている刃物/硬度が高く、きめが細かいため、かなり細かく仕上げられる。包丁のほか、髭剃りに使うかみそりなど、繊細な刃が要求されるものに向いている。

 

(出典『buono2017年4月号』『buono2017年8月号』)

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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