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江戸前穴子寿司のレジェンド『すし乃池』の魅力を徹底解剖

江戸前寿司において穴子は代表格とも言える。鰻のような脂っこさがなく、やわらかな身、甘辛いツメの味も相まって、幼い子どもから年配層まで、広く愛されている。東京下町に穴子で名をはせる銘店があるのを皆さんはご存知だろうか? 今回は銘店の店主の穴子へかける想いと職人の技を紹介する。

古き良き東京の風情が残る下町にその銘店はある

穴子といえば乃池、乃池といえば穴子寿司。今では代名詞のように言われているが、「どこの寿司屋でもやってるようなことをやってるだけ。本当は普通の寿司屋なんだけどね」と店主の野池幸三さんは語る。その言葉通り、ネタケースには鮪や小肌をはじめ、江戸前寿司ならではのネタが並んでいる。

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『すし乃池』が店を構えるのは、谷中・根津・千駄木、通称「谷根千」として親しまれる東京の下町エリア。近年は今時のカフェなども増え、散策を楽しむ若い人の姿も多く見られるが、70軒以上の神社・仏閣がある昔からの寺町だ。

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店ができた昭和40年代は、参拝や墓参りの際に立ち寄っては寿司をつまみ、留守番をしている家族のために寿司折りを持ち帰る客が多かったという。

「自分だけ美味いもん食ってちゃ悪いからってね。でも鮪やなんかは生だから、折詰には向かない。傷んじゃうからね。だから穴子だとか干瓢巻き、玉子なんかを折に詰めたんだ」

おそらく土産を受け取った人の口コミであろう。いつしか乃池の穴子寿司が美味しいと評判になり、「そのうち穴子ばっかりが有名になっちゃった」という。

乃池の穴子ラインナップをご覧あれ

名代穴子ずし(2,500円)

これが名物!なんと穴子だけ8貫盛り
穴子が評判になると、店主は「喜んでもらえるなら」と穴子だけの8貫盛り「名代穴子ずし」や、「穴子丼」を出すようになる。手土産には自家製の穴子の佃煮を芯にし、きゅうりや薄焼き玉子などと巻いた「太巻き穴子入り」も人気だ。

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穴子丼(2,500円)

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太巻き穴子入り(1,600円)

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穴子の肝煮(800円)

独特の旨味が後を引く「穴子の肝煮」は隠れた人気の持ち帰りメニュー。白いご飯にのせたり、お茶漬けにも最適。店内でいただくこともできる。

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穴子の佃煮(1,500円)

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握りにはできない小さなサイズの穴子を炊いた「穴子の佃煮」。上品な甘さの煮穴子と違い、こちらは濃い味付け。太巻きにも使用されている。

熟練職人の技術の賜物である捌き

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穴子は専門の仲卸から仕入れ、毎朝、20kg前後の穴子を片っ端からどんどん捌いていく。鰻同様に、関東では背開きに、関西では腹開きにするのが一般的だ。

「京都や奈良はお公家さんの街でしょ。対して江戸は武士の街だったからね。腹から切ることは切腹に繋がるって嫌ったというわけ」と野池氏は語る。

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1、穴子は毎朝、河岸から活き〆の状態で運ばれてくる。取材当日の仕入れは約25kg。
2、穴子の頭を右にし、腹側を上に置く。目打ちを打ち付けてしっかりとまな板に固定。

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3、背側から包丁を入れ(関西では腹側から)、中骨に沿うように尾びれまで包丁を滑らせる。
4、包丁の刃が常に中骨にあたるように、やや包丁を傾けながら、少しずつ進めていく。

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5、身を開いて丁寧に内臓を取り除く。『乃池』では肝を煮付けにするので別にしておく。
6、中骨の下に包丁を入れて沿わせるように尾びれまで切れ目を入れ、一気に中骨を取り除く。
7、頭を落として腹の骨、尾びれ、背びれを取り除いたら水洗いをして下準備終了。

俗に鰻屋の職人の技術の難しさについて「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」といわれる。『乃池』の穴子は蒲焼きではないため、串打ちや炭火で焼く技術は求められないが「裂き」の技術が重要であることは言うまでもない。

穴子の仕事は1日にして成らず、その二『煮る』

熟練の職人達の手によって捌かれた穴子は大鍋で煮上げ、煮汁の中で冷ましておく。握る際には表面を強火で軽く炙る。ぬめりがある穴子は捌くにも高度な技術を要する。一方、煮上がった穴子は驚くほどやわらかく、すぐに崩れてしまうため扱いが難しい。

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1、さばいて骨や内臓などを取り除いた穴子は、流水できれいに洗っておく。
2、大鍋にすべての穴子と水、酒、味醂、砂糖を入れ、強火で約40分間煮る。

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3、煮るときは落とし蓋を忘れないこと。火を止めたら鍋のまま冷ます。
4、煮上がった穴子の様子。煮汁は穴子の身がわずかに色づく程度に留める。

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頭を落とし、骨や内臓を取り除いた穴子は、強火でふっくらと煮る。調味料は酒、味醂、砂糖、醤油といたってシンプルだ。

余計なものは入れない、上品な甘さのツメ

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この穴子の煮汁がツメになる。「うちのツメは基本的にはこの煮汁を漉して煮詰めただけ。味が足りないかなと思ったらちょっと調節はするけどね。100%純粋な穴子のエッセンスだよ」開店より継ぎ足しのツメは、思いのほかあっさりとしていて上品な甘さ。赤酢と塩のみで作るという、乃池の昔ながらのシャリにもよく合う。なるほど、これならひとりで8貫ぺろりと食べられるわけだ。

1、穴子の煮汁を漉して、細かい身のくずなど余分なものをしっかりと取り除く。
2、創業より継ぎ足しで作られているツメと合わせ鍋に入れ、とろみがつくまでじっくり煮詰めていく。
3、味見して足りないようであれば、味醂や醤油で味を調える。

穴子の握りというと、粘度が高く、こってりとした甘辛い味のツメが塗られていることも少なくないが、こちらのツメはさらりとして飽きがこないと評判だ。

【おまけ】知っておきたい穴子のこと

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生態について

体長は平均1mほど。沿岸から内湾の水深100mに満たないエリアに生息し、昼間は砂や泥の中に潜って身を潜めているが、夜には餌を求めて海底付近を這うように泳ぎ回る。

主な産地

日本最南端、沖ノ鳥島の南方が穴子の産卵場。その後黒潮に乗り日本海・太平洋へ。東京湾で獲れた「江戸前穴子」が有名だが、瀬戸内や長崎の対馬、また韓国のものも高値で取引される。

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穴子の旬はいつ?

旬の時期は4〜8月、梅雨の頃に最盛期を迎える。都会に近い内湾で多く獲れるため、鰻同様、古くから馴染み深い魚だが、その生態については依然謎に包まれている部分も多い。

 

下町の名店の穴子寿司は、在りし日の日本の家族の光景を思い出させる。肩肘張らずに、身近な人と何度でも訪れたい、そう思わせてくれる店である。

 

【DATA】

野池幸三
すし乃池店主。鮮やかな包丁捌き、テンポの良い喋り口調は年齢を感じさせない。街の名士とあって多忙で、毎日のように原付に乗って会合などに出かけていく。

すし乃池
住所/東京都台東区谷中3-2-3
電話番号/03-3821-3922
営業時間/11:30〜14:00、16:30〜22:00、日・祝日11:30〜20:00
定休日/水曜
http://www.sushi-noike.com/

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PROFILE

buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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