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いまゴルファーが選ぶべきは「ゴルフのためじゃないゴルフカー!?」

2020年のベストゴルフカーとして最新SUV「ディフェンダー」を挙げた塩見氏。だが、コロナ禍を経た新たな価値基準は従来の大容量、快適性重視と違うとも。ゴルフカー選びの最先端に、塩見氏がさらに突っ込みます。

モータージャーナリスト塩見 智(写真・右)

自動車雑誌「NAVI」編集長を担当後、フリーのモータージャーナリストに。インスタグラム(@satoshi_bagnole)で、車両にキャディバックを積載した「#キャディバッグテスト」を投稿するなど、ゴルファー目線のクルマ選びも指南。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ナビゲーター 相澤隆之(写真・左)

自動車webサイト「LE VOLANT CARSMEET WEB」編集長。ゴルフは随分ご無沙汰しているが、時間が許せば今後復活しよう。

悩みながら選ぶのが楽しい!? ゴルフカー

今、巷ではSUV人気が全盛。SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)という名が示すように、スポーティな走行性能と高い利便性を兼ね備えたSUVは、ゴルフをはじめとするレジャーにはもってこいの存在で、近頃はコンパクト系からラグジュアリー系あるいはクーペSUVと呼ばれるモデルまで、様々なスタイルが用意されている。キャディバッグに加え、着替えなどを入れたボストンバッグなど、ゴルフでは荷物もそれなりに多いゆえ、荷室に気兼ねなく詰め込めるSUVは確かに便利だが、ゴルファーにとってSUVは唯一絶対な選択肢なのだろうか?

「ゴルファーにとってのクルマ選びとは、極端に言えば、ゴルフに行くのに適している車種を選ぶか、あるいは自分が好きなクルマでゴルフに行くのかの二通りに分かれると思う。もちろん前者が大多数を占めるわけですが、あまりにゴルフ寄りのクルマ選びをしてしまうと、サイズが大きくて取り回しに苦労したり、予算以上でローンの支払いが大変だったりすることもある。そう考えると、自分としては後者も大いにアリだと思います。2020年のベストゴルフカーにSUVを選出しておいてナニですが(笑)。

例えば今回撮影で訪れたカレドニアン・ゴルフクラブの駐車場を見渡しても、SUVは多いですが、「ポルシェ」の『911』や『ケイマン』など、およそゴルフ向きではないクルマも見かける。もちろんキャディバッグを積むのに多少は苦労するでしょうが、スポーツカーであれば、ゴルフの行き帰りは単なる移動とは異なる、刺激的なドライブとなっているはず。“こうあるべき”ではなく、自分の好きなクルマでゴルフに行くのが現代のゴルフカー選びではないでしょうか」

確かにゴルフ場には、いわゆるゴルフ向けの車種も多いが、コンパクトカーや、スポーツカーもちらほら見受けられる。彼らは思い思いに自分の好きなクルマでゴルフを満喫している。それはそれで、確かに豊かなカーライフである。

「また、装備に関してですが、是非活用して欲しいのがACC(アダプティブクルーズコントロール)です。これはご存知の方も多いと思いますが、任意の速度を設定すると、前走車との車間距離を一定に保ちながら走行するもので、ドライバーは基本的にアクセルとブレーキを操作する必要がなくなります。車種によっては車線に沿うように自動的にハンドルを操作する機能も備わっているので非常に便利。ただし、自動車メーカーによって、その技術にはクセがあります。細かくハンドル操作を行なうものもあれば、修正動作が大きいものもある。概して欧州、特にドイツ勢の評価は高く、国産では「スバル」や「日産」に一日の長がある。ラウンド後の運転では、注意力も散漫になりがちですが、ACCがついていればある程度は安心を担保できますし、運転による疲労度は確実に低減できます」

以上を踏まえた上で、改めてゴルフカーとして候補に挙げたい車種について聞いてみた。

ラウンド中に充電できるゴルフはEVとの相性が良い

「敢えてちょっとハズしたモデルであれば、『トヨタ』の『GRスープラ』『マクラーレンGT』『スズキ・ジムニー』などは面白い選択かもしれません。スープラはウッド類をバッグから抜いて収納すればキャディバッグを斜めに入れられますし、マクラーレンGTは、"キャディバッグが入るスーパースポーツ"という謳い文句で知られる。驚きだったのはジムニーで、車幅が小さいにも拘わらず、実は、キャディバッグが荷室に横に積める程の積載性があります」

このあたりは、様々な車種にキャディバッグを積むテストを自身のSNSで公開している塩見氏独自の視点。さすが目の付け所が面白い。

「いまゴルフ場にはEVの充電スポットを設置してあるところも多いので、『アウディ』の最新ピュアEV、『e-tronスポーツバック』でゴルフに出かけ、プレー中に充電する、というのも環境意識が高そうで良い選択かもしれません。現状EVのネックはどうしても電源の確保ですが、ゴルフはコース到着後、クルマから4~5時間は離れるため、急速充電設備がなくても時間的なロスがない。少なくとも200キロ程度の航続距離があるものが条件ですが、実はゴルフはEVにとって相性の良いレジャーと言えるのです。また『BMWアルピナB3』は、ラグジュアリーな雰囲気とハイパワーエンジンの超高性能車というイメージがありますが、実はベースモデルのBMW3シリーズに輪をかけて、優れた乗り心地を備えています。長距離の移動をともなうことが多いゴルフにおいて、乗り心地という要素は想像以上に大きい。アルピナB3を優れたゴルフエキスプレスという視点で考えてみると、新たな発見があるかもしれません」

大のゴルフ好きであり、クルマ好きでもある塩見氏とのゴルフカー談義は尽きない。自分が欲しいと思ったクルマか、それともゴルフに適したクルマか……、ゴルフカー選びとは、なんて悩ましい問題なのだろうか。

使い勝手? 趣向? ゴルファーにオススメしたいクルマ

CITROËN BERLINGO

トールワゴンのフォルムで、多彩な用途に使用できるマルチパーパスビークル。スクエアな形状の荷室は、キャディバッグを縦に4つ置けるほどの高い積載性を誇る。

TOYOTA HARRIER

スタイリッシュなデザインがウケ、目下大人気のハリアー。クーペ風ボディながら、キャディバッグを余裕で積める409Lの荷室もキープした王道のゴルフビークル。

BMW ALPINAB3 LIMOUSINE

BMW公認のハイパフォーマンスブランドであるアルピナが、3シリーズをベースにチューニングを施したのがB3。高性能ながら、絶品ともいえる快適な乗り心地も特徴だ。

Audi e-tron Sportsback

SUVクーペスタイルが与えられたアウディのピュアEV。最大航続距離は400㎞程度を実現していることから、近県のゴルフ場なら無充電で往復できる利便性を持つ。

TOYOTA GR Supra

トヨタがBMWと共同開発したことで、17年振りに復活させた2ドア・スポーツカー。トランクは、ウッドを抜いて別に入れれば、キャディバッグ1つは斜めに積載可能だ。

McLaren GT

往年のF1ファンには懐かしい!? マクラーレンのロードカー。スーパースポーツ然としたスタイルながら、リアゲート内にキャディバッグを収納できる意外性を持つ。

SUBARU LEVORG

かつて大ヒットを飛ばしたレガシィの血筋を受け継ぐ、正統派ステーションワゴン。ワゴンの積載性もさることながら、進化したアイサイトで長距離移動も快適にこなす。

SUZUKI jimny

軽自動車でゴルフ(!)とは意外に思うかもしれないが、実はキャディバッグ横にしてスッポリ収まる荷室を持つジムニー。これでゴルフは逆に洒落た選択かも。

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EVEN 編集部

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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。

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