オデッセイ(ODYSSEY)パターの最新・人気モデルからテクノロジーや哲学まで徹底解説
EVEN 編集部
- 2021年05月26日
INDEX
独創的なデザインとテクノロジーでゴルファーから絶大な支持を得るオデッセイ(ODYSSEY)のパター。トゥーロン、ホワイト・ホット、バック・ストライクなど、独創的なデザインはすべてパッティング向上の技術が注ぎ込まれています。そこで、アマチュアゴルファーからツアープロまで愛してやまないオデッセイのパターの最新モデルから名作、デザインストリーまでその魅力を徹底解説します。
オデッセイ(ODYSSEY)ってどんなブランド?
1997年、「ロッシー」で人気を博したパターメーカー、オデッセイ・スポーツをキャロウェイが買収。以降、インサートテクノロジーや様々パターの革新を推進し、ツアープロからアベレージゴルファーまで幅広いゴルファーのパッティングを進化させ続けているブランドです。
オデッセイの1本はこれ! パター識者がズバリ回答
パターに詳しい3名のプロフェッショナル達も認める、真に価値あるオデッセイとは何かを聞いてみた。数あるオデッセイの中から選ばれたベストオデッセイは果たして?
ODYSSEY WORKS #5
すべてにおいてニュートラル。迷ったらコレ!
延べ200名以上に及ぶプロのパターの悩みに応えてきた大本コーチが選んだのは同社伝統のマレット。「形やネック、重さや転がりまで様々なブランドのパターを打ち比べて一番ニュートラルな特性がこの#5でした。生徒に質問されたらまずは#5を勧めてます。ただ、パターの弾道分析では多くのアマチュアは3度のロフトはつきすぎ。2~2.5度ならもっと転がりがよく、気持ち良くストロークできますよ」
プロコーチ「大本研太郎」
PGA ティーチングプロ、東京・恵比寿にパター専門スタジオ「パットラボ」を主宰。アマからプロまで2000名以上のストロークを分析してきた。
BACKSTRYKE D.A.R.T.
3本買って今だに持ってます
「極論をいえばどんなパターを使っても、ゴルファーはパターの特性に合わせて動かそうとするものです。ただ、どうしても抜けないクセもある。自分はインサイドに引きすぎる傾向があり、フェースが開いて右に出やすかったのですが、支点が後方にあるためハンドファストになり、フェースも開きにくい本作で解決できました」
パターマニア「遠藤仁史」
WEBサイト「アンサーフリーク」管理人。東京・神田にスタジオ「アクテックゴルフ」を運営するパターマニア。
TOULON GARAGE LAS VEGAS
アライメントの白いラインは消しました
「ずっと旧いL字を使ってました。パターもショットの延長として自分の感覚でストロークしたいからです。そもそも軽いマレットなど市販品では試せないので。今年『トゥーロンガレージ』のカスタムでヘッドが垂れるフローネックに、ソールのプレートを軽くして、グリップをピストルにしたら理想のマレットができました。さすがクラブの調整機構を生んだトゥーロン氏の発想だと思いました」
ギアライター「高梨祥明」
ゴルフ専門各誌、広告、WEBサイトで活躍するゴルフギアライター、編集者。クラブメーカーの開発中枢を取材。
名パター「ホワイト・ホット」はなぜこれほど愛されるのか?
インサートの殿堂「ホワイト・ホット」が、当時と同じ素材、製法で「ホワイト・ホット OG」に搭載。なぜ、ホワイト・ホットはかくもゴルファーに愛されるのか。オデッセイ黎明期から取材を続けるギアライター高梨祥明氏にその理由を紐解いてもらった。
ボール革命成功の裏にホワイト・ホットあり
1997年の10月、キャロウェイゴルフがオデッセイスポーツ社を買収したことから“ホワイト・ホット伝説”は始まった。当初の看板モデルはステンレスボディのフェースに、“ストロノミック”という軽量樹脂を流し込んだ『デュアルフォースロッシー』というモデルだった。’98年当時、オデッセイパターの開発責任者に抜擢されたオースティ・ローリンソン氏は筆者のインタビューに応え、こう語っていた。
「合流当初、オデッセイパターは標準硬度の黒、軟らかい緑、硬めの青という3種のストロノミックインサートを用意し、プレーヤーの感覚に合わせる方法をとっていました。しかし、キャロウェイの創設者であるイリー・R・キャロウェイから、“どうせ樹脂をインサートするのなら、ボールのカバー素材にあわせたらどうか?”という提案があったのです。それがオデッセイ・インサートの転換点となりました」(オースティ氏・談/2010年)
’98年当時のゴルフボールはまだバラタカバーが主流。しかし、ボールメーカー各社は水面下で新しいボール素材の開発を行っていた。それがウレタンカバーである。キャロウェイでは’00年に『ルール35』、’01年には『CTU 30』というゴルフボールを発売しているが、この“CTU”こそが、初代ホワイト・ホットインサートとなる素材、サーモセット・ウレタンだった。
「ボールと同じCTUをフェースインサートにしてみると、まずインパクトエネルギーのロスがたったの2%に抑えられることがわかりました。しかも、同時にフィーリングを極めてソフトにできる。これまで二律背反とされていた初速効率とフィールを両立できることが分かったのです」(オースティ氏・談)
ゴルフボールの面において’00年は、タイガー・ウッズがウレタンカバーにシフトし、タイトリストの『プロV1』が誕生、ツアーの舞台から糸巻き&バラタが消えた転換点だった。『ホワイト・ホット』シリーズは、まさにその同じ年に最先端のボールカバーと同じ素材のインサートを搭載して登場、多くのツアープレーヤーがそのフィーリングと安定した転がりの虜になった。
2000年。なぜほとんどの選手が構造とカバーをガラリと変えてしまった次世代ボールに馴染めたのか? その裏にはかつてないフィーリングを生み出す新インサートの登場があり、20年の歳月を経てなお、彼らのベンチマークとなり続けていることが、再びホワイト・ホットが復刻された理由なのである。
2000 WHITE HOT #1
今なお愛されるベンチマーク
ボールカバーと同じサーモセット・ウレタンをインサートに採用することでエネルギーロスを低減。ソフトなフィーリングと転がりの良さ、しっかりした打球感で、2000年の誕生以来、オデッセイを代表するテクノロジーとして君臨。今なお手放せないプレーヤーが多い傑作インサートを搭載したパター。『#5』、『2-BALL』など、ホワイト・ホット インサートの搭載を契機に、多くのヒット作が生まれることとなった。
2020 WHITE HOT OG #1
定番人気のヘッドをラインナップ
“Old Gangster” =旧き良きもの、という意味が込められた「オデッセイ」の最新作。初代ホワイト・ホットと同一素材、同一製法のインサートを搭載した美しいヘッドは、ステンレスにミルド加工を施したシャープな佇まい。ソールにアジャスタブル・ソールウェイトを採用、専用の赤いカラーリングを施した「STROKE LABシャフト」を装着した限定モデルを設定するなど、オデッセイのレガシーと先進性が盛り込まれた記念碑的モデルだ。価格28,000円+税~
初代・最新「ホワイト・ホット」の数値比較からみる20年の進化
インサートの殿堂として長くベンチマークとされてきた初代のホワイト・ホットと、同じ素材・製法のインサートを搭載した最新のホワイト・ホット OG。20年の時を隔てた同じインサートを持つ2本はどう違うのかを数値化して徹底検証する。
スペック
データはホワイト・ホット OGとホワイト・ホットそれぞれの「#1」で計測。長さの違いによるバランスや重量はさておき、5°異なる重心角やシャフト半分違うオフセットに注目。
試打データ
ストローク計測の「SAM」でそれぞれのパターの軌道や打点位置をチェック。ヘッドが軽く、操作性の良い初代#1に比べ、新#1は再現性が高く終始データが安定する結果に。
インパクトスポット再現性
打点位置の再現性の比較でも、フェース中央上付近に集まった新ホワイト・ホットに比べ、旧ホワイト・ホットはダブルスコア。これもスイングバランスの違いが原因か?
インパクト時のフェース角
セットアップでの誤差は両者ほぼ同一。だが、インパクトで旧ホワイト・ホットは-1.9°と新ホワイト・ホットの2倍近くフェース面が開いて当たった。軽いバランスが禍したか?
打感・転がり
同じボール(キャロウェイ E・R・C ソフト)を5球ずつ、テイクバックとフォローの幅を決めてストロークし、打感と転がりを検証。打球感はほぼ同じだが距離は3mで30cmほどの差が。
初代・最新「ホット・ロッド」比較の結論は?
伝統のホワイト・ホット打感と高い安定性
「特性は全く別物。初代は当時のグリーンやプレーに合わせたアーク強めでパチンと打って距離感を出せるパター。軽い分、手で操作しがちでヘッド軌道もインパクトも安定感に欠ける。新作はヘッドがよく効き、終始挙動が安定。左右の打点ブレにも強い。硬めで音が大きめの打球感は共通ですが、20年のパターの進化は偉大です」
解説「佐野好太さん」
シニアフィッター、マスタークラフトマン。量販店でクラフト技術を学んだ後、「イーブン ゴルフ ラボ」を経て現職。
テストを行ったのは「ゴルファーズメディアラボ」
テストは東京・二子玉川の「ゴルファーズ メディア ラボ」に依頼。ウッドからパターまで精度の高いクラブ計測やフィッティングが可能。
【DATA】
住所:東京都世田谷区玉川1-17-7 B1F
TEL:03-6432-7272
オデッセイのパターデザインから見える哲学とは?
多様なヘッド形状はオデッセイの特徴。そこには一貫した哲学があるとギアライターの高梨祥明氏は解説する。
オデッセイの独自性は、フェースインサートだけではなく、そのヘッドデザインにもあります。ネオ・マレットというと、現在はすなわち"高慣性モーメント系"と括られることが多いですが、実はオデッセイのネオ・マレットは一般的な"高慣性モーメント"パターとは一線を画しているのです。
現在、オデッセイブランドの責任者であるルーク・ウィリアムズ氏も次のように語ってる。「慣性モーメントを高めることは重要ですが、パターにおいて何よりも大切なのはターゲットに対してスクエアにインパクトすることです。慣性モーメントを最大化しようと深重心化を進めすぎると、インパクトでフェースをスクエアに戻しにくくなってしまう。かつて我々は『TRI-BALL』というモデルでそのことを学びました。寛容性とスクエアインパクトのバランスを図るには、重心深度の設定が極めて重要なのです」(ルーク氏)
TRI-BALLとは『2・B ALL』の次に登場した、いわゆる3ボールデザインの深重心マレットのこと。この巨大慣性モーメントパターは確かにスクエアヒットしにくく、プッシュアウトの危険が高いモデルだった。オデッセイはこの経験から、慣性と操作性を併せ持つヘッドデザインをさらに追求。その結果、角や牙を思わせる『#7』や"サーベルタイガー"の犬歯がモチーフとされる『セイバートゥース』など、バックサイドが大きく開口した独自のマレットモデルを生み出していく。ポイントは深重心になりすぎていないこと。だからこそ誰もが感覚的にスクエアヒットしやすいのである。
オデッセイは、常に先端テクノロジーを追っているようでいて、ゴルファーマインドを最も大切にしているブランドなのだと感じる時がある。例えば、2000年の2-BALL開発時点で現在の高慣性パターのような四角いフレームデザインが発想されていたのにもかかわらず、これを発売することはしなかった。性能はいいが当時のゴルファーには視覚的に受け入れられないと判断したからだ。
2-BALLパターも新発想ディスク・アライメントの下に、わざわざ当時の人気の『ロッシー I』型フランジを組み合わせた。この細やかさが大ヒットに結びついたわけである。フィール(インサート)、振りやすさ(スクエアインパクト)、安心できる見た目(アライメント)。優れたパターデザインとは、感覚を満足させるものであることをオデッセイのデザインは教えてくれる。
1997 ROSSIE II
オデッセイパターのベンチマーク
カマボコ型のオーソドックスなマレットとして、初期オデッセイの「デュアルフォース」シリーズなどに設定。同じマレットの『#5』よりも、造形はシンプル。同社パターデザインのベンチマークとして度々登場。
2002 2-BALL
ロッシーIのシルエットがいかされた
目標に対しスクエアにセットアップすることを目的に、ボールとほぼ同じ大きさの白い丸二つとボールを一列に並べるアライメントが特徴。デザインの外形にはロッシー Ⅰの形が組み込まれている。
2006 #7
後ろが空いた角デザインのはしり
大ヒットした大型マレットも、開発当初はフランジ両端を2本のバーで繋いでいたが、取り払われ、全高を低くし、『ロッシー Ⅰ』のデザインを採り入れることで、最終的に角型とも呼ばれる現在の形になった。
2019 TEN
高慣性モーメント追求の帰結
高慣性モーメントを追求しながら、シンプルなシングルライン、トリプル・トラックなどのアライメント性も追求した形状。深すぎない重心設計計とすることで、ストローク時にフェースが開きにくくしている。
ブランド責任者に聞く「オデッセイのデザインは機能に従う」
オデッセイの個性豊かなデザインは性能を求めた理由。その意図をブランド責任者のルーク・ウィリアムズ氏に聞いた。
DOUBLE WIDE
ブレードとマレットの良いとこ取り
「多くのプレイヤーにとっていまだ好みの中心であるブレード型のような見た目を持ちながら、マレット型の持ついくつかの利点も備えたワイドボディのブレードです。ヘッドの座りもブレードとマレットの中間的な印象です」(ルーク氏)
BIG SEVEN TOE UP
ハンドファースト前提のハイロフト設計
「過去10年で最も人気のあった形状をベースに、以前あったバック・ストライクと同様に、シャフトの支点をヘッドの後方に設けた非常に安定感のあるパター。台に水平に置いた際、トウが上に向く設計。常に安定してインパクトできます」(ルーク氏)
TEN
外側に重量を配置しMOIを追求
フレーム状の外周部分にステンレスを配置することで外側を重くし、内側は空洞や比重の軽い樹脂を使用。周辺重量配分と共に、一般に同一サイズなら円形より慣性モーメントが高くなる四角形の四隅ぎりぎりまでヘッドを拡張した形。
MARXMAN
後方に向けて丸みのあるFANG形状
ターゲットに対して出しやすいアライメント性と、オオカミの牙や犬歯のようにブレード両端から後方へ突き出す“FANG” で余剰重量を外周に配分しMOIを向上。ソール後端にウェイトも搭載する。
SEVEN [NEW]
アライメント性能のさらなる向上
シャープな “牙” や“角” をイメージさせる形状でMOIを高めた7番は、最も人気のある形状の一つ。トリプルトラックの活用のため、ブレード中央を後方へストレッチさせた形。ショートスラントを除き打点エリアは低めをキープ。
R-LINE ARROW
一本の線がターゲットを射貫く
ターゲットに弓を引くようなデザインと打ち出し方向に伸びる溝がストロークの軌道をサポート。大きなのMOIを備える。「単一のアライメントラインを持つシンプルなマレット形状。クリーンな外観を好む人のために考案しました」(ルーク氏)
BIRD OF PREY
“猛禽”の意味を持つ高MOIパター
重量を両端に配分、複合素材も使用しながら内部を大幅に削って周辺部の重量を増加させMOIを追求。「打球音が課題だった」(ルーク氏)ため外側フレーム途中にパイプ状の構造を持つ。某映画に登場する架空の宇宙船も思わせる形状。
パットの精度と再現性を向上させるアライメントテクノロジー
ターゲットに対してスクエアに構えられるアライメントはオデッセイを代表するテクノロジー。2020年発表された「トリプル・トラック」はある意味究極といえるかもしれない。
トリプル・トラック
ボールと一体の最新アライメント
空母に戦闘機が着陸する際などにも使用される赤と青の3本の線。ゴルフボールのアライメントを革新した自社の「トリプル・トラック」の3本の線をパターヘッド上面にそのまま描くことで、アライメントの精度と再現性を格段に向上させた。ボールとフェースの僅かなズレを誰もが気づける分かりやすさは、アマチュアはもちろんツアー2勝の柏原明日架プロも導入するなどツアー選手にも使用者が増えている。オデッセイシニアディレクターのルーク氏も「ツアープレーヤーのアライメントはアマチュアより安定していますが、どちらか一方を狙ってしまう傾向がある。トリプル・トラックはゴルファーがより良く、再現性高くターゲットを狙えるアライメントです」と解説している。
ハイ・コントラスト
『VERSA』シリーズなどに採用された、黒と白など、コントラストの強い配色によりターゲットに対して水平、垂直にセットしやすくするテクノロジー。フェースの傾きや、ストローク中のヘッドの軌道が鮮明に確認できるのもメリット。
2-ボール
ボールとほぼ同じサイズのアライメントディスク(2-BALL)とボールを三つ並べるだけで、スクエアにセットできる同社を代表するテクノロジー。トリプル・トラックとストローク軌道が見やすいT字型の外形なら、より正確なセットアップが可能。
ハイデフライナー
ブレード部分やフランジに、アライメントの点や線の幅を広げたり、延長したアライメント。ストローク軌道が鮮明に確認できるタイプ。「EYE TRAX」シリーズに採用される白い太い線がこのタイプで、適度なアライメント性が欲しい人に向く。
スタンダードアライメント
自分の感覚を頼りに構えたい人や、シンプルな顔が好き、というプレーヤーには、オーソドックスなブレードやマレットタイプが好適です。複雑なヘッドの形状や、多すぎる直線の情報が気になってしまう人にも向いている。
悪癖を修正してくれる救世主的パター「バック・ストライク」復活
特異な形状をもつ「バック・ストライク」が今年、見事復活。唯一無二のその魅力を識者に聞いた。
バック・ストライクで自分のクセを解消
「スコッツデール アンサー」を紹介するマニアックな視点で人気を博すWEBサイト「アンサーフリーク」の遠藤仁史氏は、パター好きには知られた人物。自身でパターデザインまで手掛け、競技ゴルファーの彼は、実は過去、約1年ほど『バック・ストライク』を使用していたという。
「極論をいえば、どんなパターを使ってもよいと思っているのです。ゴルファーはパターに合わせて動こうとするからです。ただし、どうしても治らないクセがゴルファーにはあるもの、そのクセをカバーできるパターがあれば使えば良い。そういう視点で自分は『バック・ストライク』を使っていました。自分はインサイドへ引きすぎるクセがあり、引きすぎてフェースが開いたまま、インパクトして右にプッシュすることが多かった。バック・ストライクならこれが解消できるのです。
理由は大きく二つ。一つは自然に構えて、ハンドファーストにセットアップできること。これによりリストが固定され、インサイドへ引きにくくなるのです。もう一つは、高慣性モーメントながら、ローテーションでフェースが開きにくい特性です。当時あった『D.A.R.T』を購入し、『スーパーストローク』の太いグリップやクラブ長を調整したりしながら、クセを克服したところで、別のパターに乗り換えました。とはいえいまだに手放してはいません。当時、廃版になると聞き、買い足しするくらいでしたから(笑)。それ程にある特定のゴルファーには効果のあるパターなのです。
今回、復活したモデルは大型の『#7』に“トウアップ”の名が付されますが、過去のバック・ストライクも、言われてみればトウアップの動きをしましたね。自分の使っていたD.A.R.Tも、両サイドの“羽”がまっすぐ伸びていて直線の情報が多い。これがインサイドに引きにくいイメージを与えてくれることも気に入ったポイントでしたね」
【NEW】ストロークラボ ブラックシリーズ ビッグセブントウアップ
トウが上に動くストロークバランス
ストロークラボ ブラックシリーズで久々に表舞台に復帰。定番#7のフランジのツノを後方で繋いだような構造とヘッド後方のシャフト位置が特徴。
【ORIGINAL】バック・ストライクD.A.R.T.
焦点を絞るようなデザインで集中力アップ
2011年発表の「バック・ストライク」シリーズは、同じヘッドを3本当時購入した。「パターの特性に加え、両サイドがまっすぐのイメージに寄与します」
「バック・ストライク」のここがスゴい!
その1.自然に構えるだけでハンドファースト
「いつものボール位置でセットアップすると、シャフトの取り付け位置がヘッド後方にあるため、手元はフェース位置より前になり自然にハンドファーストになります。そのままキープしてテイクバックすればインサイドに引きすぎません」
その2.シャフト軸線上に重心のあるパター
「シャフトの延長線上がほぼヘッドの重心位置にあるため芯に当てやすく、フェースが開くなど、パター自体の動きが穏やかで、インにも入りにくいです」
その3.フェースが開きにくい
「通常のパターはローテーション中、フェースが開こうとします。トウ側が上にくるトウ・アップのバック・ストライクは打ち出し方向を向きプッシュを防ぎます」
遠藤仁史
パターの造詣の深さは指折り。WEBサイト「アンサーフリーク」管理人、スタジオ「アクテックゴルフ」運営などパター漬けの毎日。
「自分に合ったパターを」トゥーロンの揺るぎないカスタム哲学
オデッセイに合流した「トゥーロン」の躍進が止まらない。そこには創設者の一貫した思いがある。
創設者であるトゥーロン氏はいわゆる"カチャカチャ"を生み出した人物
なぜトゥーロンの支持が広がっているのか。創設者であるトゥーロン氏を度々取材してきたギアライターの高梨祥明氏は次のように分析する。
ショーン・トゥーロン氏は、前職で着脱可能なウェイトシステム、可変シャフトスリーブなど、いわゆる"カチャカチャ"を生み出した人物。テーラーメイドに入社後、抜群の営業成績をあげ、93年に一度退社し『ZEVO(ジーボ)』というゴルフブランドを立ち上げます。その特徴はフィッティング販売。複数のヘッド、ライ・ロフト角を変えられるホーゼル、脱着可能なシャフトを試打会場に持ち込み、その場で組んで打たせることで、最適スペックを探すというスタイルでした。当時彼はそのきっかけをこう語っていました。
「大学時代にティーチングプロとして女性やビギナーを教え始めた時に、なぜ、みんなで同じようなクラブを使うんだろう? と思ったんだ。合わないクラブが変則スイングを作っていた。本当は自分に合ったクラブを見つけるべきでしょう?」(ショーン氏・談/09年)
その思いがフィッティングブランド設立、そして3ヘッドサイズドライバー、可変ウェイト、可変スリーブといったアイデアの原点となった。人に道具を合わせる。このことが最も重要なのがパターだ。それは、ショーン氏が15年にテーラーメイドを離れ、新たなパターブランド『トゥーロンデザイン』を設立したことからもわかる。
「ヘッドの種類はブレードからマレットまで幅広く用意。それぞれにベントからショートスラントなど、ストロークタイプに合わせてチョイスできる。ヘッド重量もソールプレートで調節できる仕組みだ。シャフトやグリップも選べるし、刻印のカラーもカスタムできる。クールだろ!?」ブランド立ち上げ当初、彼はこう言いながら目を輝かせていた。
もちろんオデッセイの傘下に入らなくても一定の成功を収めただろうが、彼は再びメジャーブランドで手腕を発揮する道を選んだ。その心持ちは、おそらくZEVOの時と同じだろう。「メジャーブランドには優秀な人材が集まる。あらゆる分野の専門家が同じ目標に向かい知恵を絞るから、結果を大きく変える革新的なテクノロジーが生まれる」(ショーン氏)
ショーン氏のアイデアと精鋭揃いのオデッセイR&Dチームとの融合、これが現在のブランドの好調さを生み出す要因になっている。
トゥーロンにはオデッセイにはない独自の形状も
精緻かつ多様なヘッド
ヘッドはすべて精密な削り出しでブレードからマレットまで複数の選択肢を用意。ウェイトの調整機能まで備える分、重量の公差もごくわずか。
調整機能
独立後に立ち上げたパターブランド「トゥーロン デザイン」。当時からソールの交換用ウェイトなど各種調整機能を備えていた。
WEBからオーダー可能「トゥーロン ガレージ カスタムパター」
オンライン上からパターをカスタムオーダーできる「トゥーロン ガレージ」が日本でも先日スタート。カスタムメニューは主に下に挙げたもので、パターヘッドの仕上げは米国本社内にある工房で行なわれる。
高梨氏がカスタムオーダーしたのが『トゥーロン ガレージ ラスベガス』。「軽量のアルミソールプレートを選択して大正解!」
ショーン・トゥーロン(SEAN TOULON)
テーラーメイドで副社長まで登り詰めた後、独立。「トゥーロン デザイン」を立ち上げる。現在はキャロウェイゴルフの役員。
ゴルファーのためのウンチク講座「トゥーロンのモデル名の由来は?」
トゥーロンの各モデルには、アメリカの都市を表すモデル名とそれに関連すると思われる刻印がある。刻印の詳しい意味をオデッセイに聞いてみた。
シカゴ(CHICAGO)
ベントネックの低重心なブレード。「有名なシカゴベアーズはこの街を本拠地とするアメリカンフットボールのチームです。ソールに描いた熊は、この街から来ました」
アトランタ(ATLANTA)
小ぶりで厚みがあり、フランジ後方がフラットなマレット。「ソールの不死鳥は街が南北戦争の灰から立ち上がったことを表しており、街のモニュメントにインスパイアされたものです」
オースティン(AUSTIN)
削り出しの美しいブレードでフランジが丸みを帯びたタイプ。「オースティンとはテキサス州の州都。ソールの刻印は、テキサス州の遺産であるカウボーイハットを表現してみました」
シアトル(SEATTLE)
「アイコンはシアトルの有名なランドマークである万博記念の塔『スペースニードル』をイメージしています」
ポートランド(PORTLAND)
ファングや#7に近い形状をもつ、コンパクトななツノ型。「アメリカ北西部の都市で、この地域では鹿がよく見られることから、疾走する鹿を描いています」
ラスベガス(LAS VEGAS)
オデッセイでいうところの#7。「カードにブラックジャックの手札を描き、カジノをイメージ。星の輪郭は有名なWelcome to Las Vegasのサインにインスパイアされました」
サンディエゴ(SAN DIEGO)
フランジがフラットなブレード。「カリフォルニア州の中心都市で、ソールの帆船(ヨット)は街の一面。アメリカズカップの勝者は過去数年サンディエゴ ヨット クラブから出ています」
ここで改めて…「トゥーロンってどんなパター?」
正式上陸から約2年。米国で先行していたカスタムサービス「トゥーロン ガレージ」もスタート。国内ツアーの一部プロも使い始めている注目のオデッセイ トゥーロンを改めてご紹介しよう。
ソールウェイト
ソールプレートは調整用のウェイト。標準の20g(ステンレススチール)の他、7g(アルミニウム)、40g(タングステン※6,000円アップ)がある。※トゥーロン ガレージにて対応
ノンインサートダイヤモンドミル・フェース
細かなひし型の溝を深くミーリングした上に、さらに内側に小さな溝を刻むことで、フェース面でボールが滑りにくく、インパクト直後から順回転が得られる独自のテクノロジー。
STROKE LABシャフト
シャフトねじれの少ない低トルクで軽量なスチールとカーボンの複合構造「STROKE LABシャフト(約75g)」が標準装備に。この仕様で使うツアープロも増えている。
DFXトゥーロングリップ
オデッセイ トゥーロンの証である緑のスウォール(渦巻き)マークを刻印した「トゥーロン DFX グリップ(約76g)」が標準仕様だ。
オデッセイ 最新パター全モデル
ブレード型からネオ・マレット型まで、多種多様な形と求める性能にあったインサート。数量限定モデルを含む全73モデルをご紹介します。(※2020年11月現在)
ホワイト・ホット オージー パター
▼ホワイト・ホット オージー パターのスペックなど全モデルカタログ
トリプル・トラック
▼トリプル・トラックのスペックなど全モデルカタログ
ストローク ラボ ウィメンズ
▼ストローク ラボ ウィメンズのスペックなど全モデルカタログ
アイ トラックス パター
▼アイ トラックス パターのスペックなど全モデルカタログ
トゥーロン ゴールドバージョン CE
▼トゥーロン ゴールドバージョン CEのスペックなど全モデルカタログ
トゥーロン ブルーバージョン CE
▼トゥーロン ブルーバージョン CEのスペックなど全モデルカタログ
ストローク ラボ ブラックシリーズ
▼ストローク ラボ ブラックシリーズのスペックなど全モデルカタログ
トゥーロン2020
▼トゥーロン2020のスペックなど全モデルカタログ
トゥーロン2019
▼トゥーロン2019のスペックなど全モデルカタログ
エグザクト タンク
▼エグザクト タンクのスペックなど全モデルカタログ
ホワイト・ホット プロ
▼ホワイト・ホット プロのスペックなど全モデルカタログ
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EVEN 編集部
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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