「ゴールデンベア」が縁で結ばれた中島啓太とあのレジェンドとは?!
水上貴夫
- 2022年05月18日
帝王が伝えたマスターズの戦い
今から遡ること7~8年ほど前、「アジアジュニアゴルフ協会(AJGA)」という団体が主催するキャンプへ何度か取材に伺った。AJGAは前身時代を含めると、石川遼や笹生優花、中里光之介、柏原明日香といった錚々たるトッププレイヤーを排出したジュニア育成団体だ。当時、宮崎や河口湖、沖縄でのキャンプを取材させてもらったのだが、特に印象に残った選手がいる。いがぐり頭でか細く、身長もさほど高くない中学生で、ただ、黙々とゴルフに向き合うその姿勢と眼差しは、他のジュニアゴルファーとは明らかに違う空気を纏っていた。まるで修行僧のようですらあったその少年が中島啓太だ。
「凄い選手になる」と周囲の大人達は異口同音に話していたが、アジア太平洋地域のアマチュアチャンピオンとして「マスターズ・トーナメント」に出場することになるとは誰が想像できたか。結果は皆さんご存知の通り、初出場にして本当に素晴らしいプレーを見せてくれた。
さて、そんなビッグトーナメントを翌日に控えた水曜日のこと。実はサプライズがあったようだ。なんと、“帝王”ジャック・ニクラウスと夢の対談が実現したのだ。これは「ゴールデンベア」が、中島が所属する日本体育大学ゴルフ部のユニフォームを提供している縁から。しかも“新帝王”トム・ワトソンもそこに同席。偉大な二人を前にした緊張の中、中島はマスターズでの勝ち方や戦い方を問い、レジェンドはルーティンを崩さず同じことを貫き通す大切さを伝えたという。
驚きと期待に胸を躍らせてくれた初日、厳しいセッティングに多くの選手が苦しんだ2日目の涙、自らを振り返った松山英樹が自伝で語ったように、この経験は大きな財産になると強く思う。
ジャック・ニクラウスとトム・ワトソンに対面。バーバラ・ニクラウス夫人も同席した。帝王と新帝王、二人合わせてメジャータイトル26回というスーパーレジェンドである。
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