芸術と昆虫が爆発する、じゅえき太郎さんの『ゆるふわ昆虫戯画』セッションを取材

じゅえき太郎氏、降臨!

大ヒット書籍『ゆるふわ昆虫図鑑』の作者である『じゅえき太郎』さんが、iPadでのイラストの描き方を解説する、『ゆるふわ昆虫戯画』というイベントに行って来た。

なにしろ、10万人のTwitterフォロワーを擁するじゅえき太郎さんのイベントとあって、20名の定員はすぐに埋ってしまったそうだ。

開催場所は、川崎市の生田緑地にある岡本太郎美術館。

じゅえき太郎さんは、『芸術は爆発だ!』の岡本太郎さんに憧れていたそうで、岡本太郎さんの芸術に触れながら絵を描けるこの場所が会場になったとのこと。

芸術じゃなくて、原爆が爆発する瞬間を描いた有名な『明日の神話』のいくつある習作のひとつも展示されている。

彫刻作品なども数多く展示されていて、実に素晴らしい美術館だ。じゅえき太郎さんは、ここで開催されている岡本太郎現代芸術賞を受賞した人でもある。

虫の写真を薄く表示してなぞる

じゅえき太郎さんの解説を聞きながら作品を観賞したあと、この美術館の創作アトリエに場所を移して、参加者の子供たち(と、若干のじゅえき太郎さんファンの大人の人たち)にiPadが配布され、じゅえき太郎さんのセッションが始まった。

使用するアプリは、Everyone Can Createなどでも使われるTayasui Sketches School。

貸与されるiPadには、じゅえき太郎さんが撮った虫の写真が保存されているから、その中から好きな虫を選んで、Tayasui Sketches Schoolに取り込んで、表示のパーセンテージを下げて薄くして、輪郭をなぞる。

人は絵を描くと無心になる

なぞる。人は、絵を描こうとすると、なぜにこんなに夢中になるのか。子供も同様で、みんな一心に観察し、虫のカタチをなぞる。

写真があるから、あまり絵の上手い下手は関係ない。むしろ、あまり考えすぎずになぞった方が面白い絵になりそうだ。羽根や胴にある模様も、見たままになぞると立体感が出て、カタチがよく分かるようになるとじゅえき太郎さんからのアドバイスもある。

「よく観察して描こうね」とじゅえき太郎さんからアドバイス。

たとえば、虫の足の先は短いジョイント状の節が繋がる『跗節』という部分がある。見ないと、棒のように描いてしまうが、よく見て書くとこの部分がフレキシブルに曲がって、木や草に取り付けるようになっていることがわかる。

描くということは観察するということでもある。子供たちは無心に観察している。

さて、次に色を塗る。こちらも無心に。実際の色を忠実に描こうとする子もいたが、好きな色を塗ってアバンギャルドな昆虫を描いている子もいた。どっちも素晴らしい。鮮やかな色がすぐに選べて、画材の扱いに苦労することもなく使えるのもiPadとApple Pencilの魅力だ。

自分の顔を貼り付けるのがアート

さて、次は自分の顔写真を撮って、それをまた同じように絵にする。

自画像なんて、大人でも難しいが、iPadで写真を撮ってそれをなぞるのなら誰でもできる。みなさんもぜひ一度やってみるといい。実に楽しいし、気に入ったらSNSのアイコンにしてみるのもいいだろう。

さて、それをカットしてさっきの虫に貼り付けて完成。他のファイルを開いてのカット&ペーストが少し難しいが、サポートのお兄さんが教えてくれるから安心だ。

ただ、サポートのお兄さんは少し、進行を気にして、大人の作った絵のようなものに誘導しがちだったから、もっと子供に好きな色を塗らせて、好きなように描かせた方が面白いものができるのに……とは思った。

完成作品発表会

さて、最後に完成作品の発表会だ。現場には大きなモニターが設置されており、そこに各自のiPadの画面が表示される。まずは、みんなにアドバイスしながら作品を描いたじゅえき太郎さんの作品。

タガメに顔が貼り付けてある。なんとも不思議な感じ。タガメの強力な前脚の感じや、羽根のツヤツヤした感じもよく出ている。

下は、カブトムシの胸の部分に自分の顔を貼った作品。

どうも、自分の顔を大きめに虫の顔の部分に貼って、面白い感じにしよう、虫を擬人化しよう……とう発想は大人のものらしくて、子供は別の部位に小さく貼ることが多かったようだ。

足に持ってるように貼る子、目玉の上に貼る子。まぁ、それはそれで面白い。

わりと、大人の期待するゲンゴロウを描いた子。顔の向きまで虫に合わせて撮影しているところが秀逸だ。実際の虫の色にはない、とても素敵な色が塗ってあるところや、もともと虫にあった触覚が、まるで人間の頭から出ているみたいになっているところも面白い。

最後に、みんな自分の作品をポストカードとしてプリントアウトしてもらって、持ち帰った。ご両親がiPhoneなら、AirDropで画像データももらえた。

参加していた子供たちは、みんなじゅえき太郎さんのファンのようで、持ってきたご著書にサインをいただいたり、お話を聞いたりしていた。じゅえき太郎さんが、持ってきたタガメと、ヘラクレスオオカブトムシはものすごい注目の的だった。

生田緑地の環境もよく、岡本太郎美術館の設備も立派。じゅえき太郎さんのレクチャーもみんな楽しんで、素晴らしい夏の一日になったようだ。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年8月号 Vol.94』

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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