新型のAirPods Proは、耳の機能を拡張するデバイス。唯一の欠点は……

他のアップル製品と連携してくれるからこそ意味がある

BOSEやSonyのノイズキャンセリングヘッドフォンと較べてどうか? なんて質問を受けるけど、実はそこにはあまり意味がなくて、やっぱりAirPods ProはAirPodsの進化系。

以前も書いたけど(https://funq.jp/flick/article/429178/)、アップル製品の一番の快適さは、シームレスな連携にある。これが多くのアップル製品を併用している人以外には伝わらない。

たとえば、多くの人が体験している例でいうとAirDropの簡単さ。

中学生や高校生でも、iPhoneを欲しがる一番の理由は、仲間とAirDropで写真や動画などのファイルをやりとりしたいかららしい。Androidだとその輪に入れない。設定やパスワードのやりとりなく、セキュリティの心配も少なく、シームレスにファイルを送り合える。アップル製品を複数使っていると、この障壁のない便利さが、生活を包んでいく。

たとえば、AirPods Proは、はじめて使う時にケースを開くと、近くにあるiPhoneに『接続』のボタンが浮かび上がる。それをタップしたら、もう音楽を聞ける。他の設定は何も要らない。

iPhoneとの連携が終了してApple Watchを見ると、もうAirPods Proと連携していて、ボリュームの調整や、ノイズキャンセリングのオンオフ、外部音取り込みへの切り換えがApple Watchからも行える。同様に、普段使っているiPadやMacのサウンドタブにもAirPods Proが現れている。同じiCloudアカウントでログインしているデバイスだと、新たに連携する必要はないのだ。

iPhoneを置いたまま外出しても、Apple WatchとAirPods Proの連携だけで音楽を聞くことができる。

Mac、iPad、iPhone……どのデバイスからも書類を見ることができるし、Apple Watchでお金を払えるし、iPhoneで検索した地図のルートはApple Watchがナビゲートしてくれるし、すべてが連携して繋がっているのだ。

ノイズが消えると、通話もしやすいしSiriも使いやすい

『ノイズキャンセリング』をオフにすると、電車や雑踏の音がいかに自分にストレスを与えていたかに気がつく。

『ノイズキャンセリング』で周囲の雑音環境から、自分を切り離すことができる。駅構内のアナウンスなど音を聞く必要があれば、本体下部をつまめば『外部音取り込み』モードにして、世界と自分を繋ぐことができる。

これは一般のノイズキャンセリングヘッドフォンもそうだが、周囲のノイズを消すことで、音楽の音量を極端に上げなくても音楽を楽しむことができる。小さな音が多かったり、静かな音の間が大切な曲ほど、この効果は大きい。

Podcastを聞く時にはもっと便利だ。周囲の人の会話の声に、Podcastの音声が紛れにくくて、聞きやすい。

通話もそう。通話相手の声が聞き取りやすく、こちらは怒鳴らなくて済む(笑)

ただし、通話相手に対しては、iPhone本体のノイズキャンセリングの方が効果は大きいようだ。試してみたところ相手側には『iPhone本体マイク<AirPods<AirPods Pro』の順で、周囲の雑踏の音が大きく聞こえたとのこと。どうせなら、通話用のマイク側もノイズキャンセリングを強くかけてくれればいいのに。

……ともあれ、使ってる側としては通話もしやすい。

通話だけではないSiriも使いやすい。なかなか雑踏ではSiriに話かける気にはならないかもしれないが、周囲に人さえいなければ、Siriに次のスケジュールを聞いたり、思いついたアイデアをメモさせたり、ウェブで検索をさせたりと、けっこう便利に使える。AirPods Proが耳に入っていれば、いつでもSiriを使える。iPhoneをポケットから取り出したり、Apple Watchを口元に寄せる必要さえなくなる。

私の場合、家に帰ってAirPods Proを外しても、リビングにも書斎にもHomePodがあるから、そのまま自宅でもシームレスな感覚でSiriを使うことができる。つまり、HomePodとAirPods Proを使うことで、いつでもSiriが側にいてくれる感じになるのだ。

音楽を聞いている時のノイズキャンセリング、通話時のノイズキャンセリング、いつでもSiri……など、アップルのデバイスとしてノイズキャンセリングの効果が追加された意義はとても大きい。これが、ほとんど設定や起動の手間なしに使えて、他のあらゆるアップルデバイスと連携して使える。このシームレス感こそがAirPods Proの魅力だ。

純粋に音楽を楽しむなら、他に選択肢もあると思う

ノイズキャンセリング能力だけ取れば、他社製品にも優れたものはあるし、音楽を聞くためのヘッドフォンとしてより良い音質のものもあると思う。しかし、アップル製品と連携させて使う耳の延長線上にあるデバイスとして、AirPods Proほど優れたものは考えられない。

音質は外の雑音が入ってこない分、AirPodsより良いように感じるが、音質のキャラクターとしては、EarPodsやAirPodsと大きく違いのないクセのない直球な感じの音だ。重低音の迫力があるとか、微細な中高音を再現するとかいうものではない。あくまで純正品としてスタンダードな音質だ。そこに拡張の余地はあるとは思う。

耳から外したくない

使いはじめて、まだ数日だが、実は2つほど不満な点がある。

ひとつは、単体では4時間ていどしかバッテリーが持たないことだ。

いわゆるオーバーヘッドタイプのヘッドフォンのように耳を押えられる感覚もないし、一般的なカナル型のように耳の穴を押し広げられることもない。何時間耳に入れていてもまったくストレスがないので(これがAirPods Proの最大の美点かも)、ずっと耳に入れていたいのだ。そうとすると、耳から外す理由があまりない。もう、入れっ放しにしたいのだ。だからこそ、4時間では足りない。

もうひとつは、本体をつまんで『外部音取り込み』モードにする時に、音楽のボリュームが下がらないこと。電車のアナウンスなどを聞きたくて『外部音取り込み』にした場合、音楽のボリュームも下がって欲しい。できれば右をつまむとそうなって、左をつまむと『外部音取り込み』になるだけ……と、設定を分けられるとなおうれしい。

後者はソフトウェアアップデートで改善されそうだが、バッテリーライフに関してはそう簡単には改善されないだろう。ひょっとすると2つ買って、交互に使うしかないのだろうか……。

(村上タクタ)

 

 

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PROFILE

村上 タクタ

flick!編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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