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『天気の子』は『壊れたままの世界』で生きる若者へのエール〈新海誠インタビュー03〉

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新型コロナウイルスも含め、世界が狂ってきている時代に生きている

「そこはけっこう難しい話で、制作時にどう考えたかを答えるととても長い話になってしまいます。」と新海監督。

「ひとつ言えるのは、僕らは、毎年毎年はっきりと気象が乱れ、水害が大きくなり、温暖化っていう言葉を実感することが多くなる時代に生きています。そういうタイミングで作り始めたのが『天気の子』という作品だったのです。新型コロナウイルスの状況なども含め、僕らは世界が狂ってきている時代に生きている。これまでのフィクションでは、最後に『調和を取り戻して元通りになって良かったね!』という物語が語られてきたけれど、僕たちが住んでいる世の中というのは、もう短期的には元に戻りそうもないというのが大方の実感だと思うんですよね。」

「おそらく僕たちはこれから、夏が来るたびに大規模水害に脅え、冬が来るたびに感染症に脅えることになると思います。10年前とははっきりと違う状況になっている。そういう状況の中で『世界が救われて良かったね!』という物語は、若い世代にとっては絵空事に過ぎるんじゃないかと思うんです」と新海監督。たしかに『天気の子』は、若い人の方が物語を素直に受け止め、評価が高かった。『なぜ世界は救われないのか!』と思った私の感性は古いのだろう。若者の声に耳をそばだてる新海監督は、帆高に「天気なんて狂ったままでいいんだ!」と叫ばせることで、これから『壊れたままの世界』で生きていかなければならない若者にエールを送っている。

Power Macintosh 7600やPower Mac G4を買った新海監督が未来に賭けてクリエイティビティを発揮していた時代には、世界はだんだん良くなり、誰もが今日より明日、豊かになる世界だった。しかし、MacBookを片手に映画を作る新海監督にとって現代の若者は『壊れたままの世界』を生きていかねばならないように思える。その彼らを肯定し「天気なんて狂ったままでいいんだ!」とエールを送る物語こそが『天気の子』なのだ。

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©2019「天気の子」製作委員会
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新海誠監督の作品はiTunesでも配信されています。
https://itunes.apple.com/jp/artist/469413274#see-all/recent-movies

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(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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