iPadOS 13.4公開!! iPadは10年かかって、Macより未来のデバイスとして完成した
- 2020年03月27日
iPadの最新OS、iPadOS 13.4が公開されたので、手元のiPad Pro(第3世代)にインストールしてみた。この使い心地がかなり強烈だったのでお伝えしよう。
マルチタッチデバイスにポインタを表示するための工夫
まぁ、私もスティーブ・ジョブズの熱心なファンなので、彼が「スタイラスなんていらない」と言えばそうだと思い、「ディスプレイキーボードがいい」と言えばそうだと思っていた。
だから、マルチタッチディスプレイを持つiPadにマウスなどのポインティングデバイスが必要だという人がいたら「なぜそんな妄言を!」と思っていた。素晴しいマルチタッチディスプレイがあるのに、なぜポインティングデバイスが必要なのかと。
そもそも、マウスやトラックパッドと、マルチタッチディスプレイのインターフェースって、実はだいぶ違う。例えばマウスでいうところのマウスオーバーのようなアクションはマルチタッチディスプレイにはない。そんなiPadにマウスを繋げたってスムーズに使えるわけがない。
……と思っていたら、マウスやトラックパッドを接続した時のインターフェイスが改変されている。画面上に小さな丸が表示されて、それを操作して動かしクリックすることでタップと同じ反応を示すようになっていた。
マウスオーバーで、ちゃんとアイコンが拡大するなど、インターフェースも全般に変更されている。やることが細やか。マップのアイコンが膨らんでいるのがお分かりいただけるだろうか。もちろん、実際には動きが見えるから実に分かりやすい。
ちなみに、トラックパッドやマウスは、有線、もしくはBluetoothで接続し、設定画面でその使い方をカスタマイズするようになっている。
ちなみに、このトラックパッドという設定は、トラックパッドをペアリングした時にだけ現れる。内容は以下のような感じ。ポインタの移動速度や、スクロール方向などが設定できるようになっている。
キーボードを組み合わせている時には、iPadのディスプレイに触れるより、トラックパッドやマウスを使った方が全然スムーズなのだ。これまでの私は間違っていた。
ちなみに、iPad miniでも使えた。
なんなんだ、この身軽さは。
メモ取りなどにとても便利なライブ変換
さて、もうひとつ重要なポイントがiPadでもMacと同じようにライブ変換が使えるようになったこと。
オンにすると変換キーとして動作するスペースバーを押すことなく、そのままテキストを打ち続けることができる。
私は仕事柄、どう変換するか、開くか閉じるか(ひらがなにするか、漢字にするかをこう言う)などは自分で細かく制御していたいので、Macでもライブ変換は使わない。しかし、iPadの場合、細かいことを気にせずにメモを取ることが多いので、これは便利かもしれない。
実際には、どうしてもクセでスペースバーを叩いてしまうので、なかなかスムーズにライブ変換することができないが、これは慣れで解消できるはず。
その他、iCloud Driveで共有フォルダを使うことができるようになった。Dropboxなどでおなじみの機能ではあるが、iCloudで使えるのはやはり便利だ。
ついに、iPadはMacの正常進化を越えたところに辿り着いた
これらは、言うまでもなく新しいiPad Proと5月に発売されるiPad Pro用のMagic Keyboradにフィットする機能だ。
Magic Keyboardは新型MacBook Pro 16やMacBook Airなどと同じシザー式のキーボードを使っているので、バタフライキーボードを採用している世代のMacBookシリーズより入力しやすいはずだ。これにトラックパッドが加わって、画面の角度も自由にアレンジできるそうだから、これは本当に便利そうだ。
10年前、僕らは、iPadはMacとは『違って』マルチタッチディスプレイを前提にした作業に向いていると表現した。Macに向いた作業、iPadに向いた作業は違うのだと。
1984年の初代Macintoshからずっとマウスとキーボードを前提に進化してきたmacOSとはまったく違った設計で、ディスプレイに直接触れるマルチタッチ、シングルタスク、ファイルのツリー構造などから解放されたデバイスがiPadだった。
しかし、ついに、iPadは違うルートから進化しながら、ポインティングデバイス、マルチタスク、ツリー構造のファイルアクセスも取り込んだ。
10年かかって、別種のデバイスとして登場したiPadは、Macの機能の多くを内包するところまで到達したのだ。
Macでないとできない作業はかなり減った。ついにPhotoshopを使うこともできるようになったし、CMSを介してウェブサイトを更新することもできる。
対して、iPadでなければできないことは数多い。Apple Pencilを使った絵画表現や、楽器としての活用などはその最たるものだ。
iPadは10年かけて、Macのシーケンシャルな進化では到達できなかった領域に到ったといえるだろう。
iPad Pro 第4世代とMagic Keyboardの組合せは、その道のりのひとつの完成形になるのだろうと思う。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。