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今夜、2時からのAppleのWWDC(世界開発者会議)注目のポイント!

ティム・クックは、何を発表するか?

例年なら、サンノゼのマッケナリーコンベンションセンターのホテルで、時差ボケと期待のワクワクで眠れぬ夜を過ごしている時間のはずなのに、今年は日本の自宅にいるのは残念な感じ。しかし、アップルはオンラインで世界中の開発者のみなさんに新しいWWDCを提供すると言っているので、とりあえずはそのキックオフである深夜2時のWWDC Keynoteを楽しみに待つ事にしたい。

さて、一昨日発売されたflick! 7月号Vol.105にも書いたことだが、今回のWWDCの注目ポイントについて述べておこう。

iPhoneを中心に数億個生産されるAシリーズチップをMacにも導入?

期待されているのはなんといっても、ARM Macの登場が宣言されるのではないかということ。

ニュースが分かりやすくなるように、今のうちに事情を少し説明しておこう。

まず、Macのプロセッサについて。こちらはモトローラ製の680×0のCPUに始まり、10年後の1994年からは、アップル、モトローラ、IBMが共同で開発したPower PCに移行。12年後の2006年にPower PCの進化が鈍化したことから、当時はライバルであるWindowsに搭載するCPUだと思われていたIntelのCPUを搭載するようになった。

そこから、14年。こんどはIntelのCPUの進化の鈍化が、Macの自由なモデルチェンジを阻む状況となっている。

対して、iPhoneやiPadにはAシリーズと呼ばれるチップを搭載している。

最初にAシリーズと呼ぶようになったのは、初代iPadに搭載され、iPhone 4などにも搭載されたA4からだ。

後にiPhoneにA8のようなスタンダードモデルのチップを搭載し、iPadにそのグラフィック強化型モデルとしてA8Xを搭載したり、逆にiPadの低価格帯モデルには前モデルのAシリーズチップを搭載したりした。なぜか、偶数モデルはバリエーションモデルが作られ、長期間使われる傾向がある。

たとえば、現在でいえば、iPhone 11シリーズやiPhoneSEにはA13 Bionic、iPad ProにはA12Z Bionic、iPad AirやminiにはA12 Bionic、スタンダードのiPadにはA10 Fusion、Apple TV 4KにはA10X Fusion、Apple TV HDやHome PodにはA8……という具合で、iPhone用に開発したチップを、さまざまな用途に転用したり、性能拡張したりしてさらに活用している。なにしろ、iPhone用に作るだけで億のオーダーに到達する生産数があるわけだから、調達コストを非常に大きく下げることができるのだ。

実はMacにもすでにAシリーズチップは搭載されている

そればかりか、実は、最近のMacに搭載されているT2チップもA10 Fusionベースと言われている。T2チップは指紋認証と一緒にセキュリティチップとして語られるが、実はストレージはじめすべての動作をつかさどるポジションにT2チップがあり、インテルのCPUもその配下で動いているという見方もできる。

となると、T2チップの下で動くチップを、同じアップル製のAシリーズチップに切り換えることもそう難しいことではない……とも想像できる。インテル製のチップより自社製のチップの方が生産や開発の自由度が高いことは言うまでもない。

実際に、ベンチマークテストを行うと(OSの違いがあるとはいえ)iPad Proに搭載されるA13Z Bionicの性能は、MacBook Airに搭載されるチップセットの性能を上回るケースもある。性能的にも無理はない状態になっているのだ。

ちなみに、アップルは自社製としているが、アーキテクチャー自体はイギリスのARM社の技術をベースとしており、実際に生産しているのはTSMC(台湾セミコンダクターマニュファクチャリング)が請け負っている。

ただし、WWDCで発表されるということから言っても、まずは移行を発表するだけで、開発者に移行のための準備を促する段階だとは思われる。Power PCからインテルへの移行ほどではないにしても、何も準備せずに唐突に変更というわけにもいかないだろう。

そろそろ、新しいiMacが欲しい

もうひとつ予想されるのはiMacのフルモデルチェンジだ。

在宅勤務にピッタリの商品であるはずのiMacだが、現行モデルのアーキテクチャは少々古めかしい。

搭載されているCPUはインテルの第8世代(最新は第10世代)、ストレージはフュージョンドライブ中心で、ハードディスクも搭載可能。そして、オプションで組み合わされるSSDは他のラインナップよりやけに高価。そして何より、今やMacのコアテクノロジーとなっているT2チップも搭載されていない(iMac Proには搭載されている)。

狭額縁ディスプレイに、最新の第10世代CPU、SSD搭載のみ、T2チップ搭載の最新型iMacが欲しいところだ。

しかし、ちょっと不思議なのは、前述のARM MacのニュースとこのiMac刷新のニュースが噛み合わないことだ。最新のiMacを登場させておいて、「でもすぐにARM Macに変更するけどね」というのは、少しシナリオとしては不自然だ。

ARM Macが実際に登場するのは1年以上あとというタイムスケジュールなのか? それとも、このiMacこそがARM Macの最初のモデルになるのか? 2つの発表があるとすれば、その整合性が気になるところだ。

開催は、Apple ParkなのでSteve Jobs Theater?

あと筆者としては、毎年書いているが、3年前からWWDCではAR/VRが大きく取り扱われているので、そろそろグラス型デバイスにお出ましいただきたいところ。

その他、ティム・クックが壇上に登ってからのシナリオを予想しておくと……。

・COVID-19で亡くなった人に哀悼の意を表する
・COVID-19と戦い続ける医療現場の方々を称賛
・医療現場でのAppleデバイスの活躍
・Googleとの協調、通知デバイス
・Stay Homeに役立ったデバイス、アプリ、Apple Watch
・休校になった学校のリモート学習で役立ったiPad
・ソフトウェアの力が世界を支える。WWDCに参加している人たちの力が必要だという話
・先日あったApp Storeが全体で55兆7000億の経済効果
を産み出したという話
・iOS 14、iPadOS 14、macOS 10.16(何て名だろう?)、watchOS 7、tvOS 14

というところだろうか? その後にARM MacやiMacの話が繋がっていくといいのだが。

Steve Jobs Theaterから生中継されるのだろうか? それとも録画の放送なのだろうか? いずれにせよシナリオは決まっているだろうから、各国語の字幕とか、吹き替えなんて可能性もあるかもしれない。

さて、泣いても笑ってもあと、6時間ほどでWWDCが始まる。flick!でも読みながらお待ちいただきたい。

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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