これが手持ちでポンと撮れる、新EOS R5/R6+RF800mmすごい!
- 2020年08月14日
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これまでにない挑戦的な設定のカメラ
タイトルのような写真が、誰でも手持ちでポンと撮れる。これは面白い。
キヤノンの新しいEOS R5/R6と一緒に発表されたRF600mm F11 IS STMとRF800mm F11 IS STMを使ってみた。
これ、かなり面白いレンズなのである。
まずは従来のEF600mmを持ってみる
普通だと、超望遠レンズというのは途方もなく高価で重い。
たとえば、下のEF600mmの F4L IS II USMは約3,920gで137万円(税別)。レース撮影などで使うのだけど(もてぎのような最近のサーキットは安全性向上のためにグラベルが広くて、撮影場所が遠いので600mmが必要になる)、まぁ、重い。
ちなみに、これは会社にあるレンズで、最新のEF600mm F4L IS III USMは182万円(税別)。
構えてみたけど、腕はプルプル。当然、覗いている先もブレブレで、僕の腕力では撮影なんかできない。
プロカメラマンも、長時間の撮影ではよほどのマッチョカメラマンでない限り、600mmになると一脚を使う。
ところが今回発売されたRF600mm F11はわずか930g。お値段8万8000円(税別)。めっちゃ安い。軽い。これなら僕の腕力でも持てる。もちろん、見えてる視界はとても狭いので、相変わらずホールドしてるつもりでもとてもブレるが。
なんで、そんなに暗くて安いのか?
それはレンズがF11と暗いから。しかも絞り固定。
ただ、そこからが発想の転換。なにしろ、EOS R5/R6には絞り8段分という超強力な手ブレ補正がある。さらに常用ISO 51200(R5)、102400(R6)という高感度特性もある。
つまり、レンズの暗さをテクノロジーで乗り越えようというレンズなのだ。
魔法のように遠くのものが克明に撮れる
普段、600mmなんて使わないので戸惑うが、本体が小さいし、値段も極端に高くないので、気楽に取れる。
まず、港のガントリークレーン。港湾施設にはフェンスがあって近くには近寄れないので、遠くからの撮影になるが、それでもこんなに寄れる。楽しい。
夏なので、空気がクリアでなくて、遠方は少し曇るが、でもこんな風に撮れるレンズは手元にはない。
蓮池の遠方にあるハスの花だって、手元に引き寄せられる。
これは楽しい。
すごい遠くにいる人もパチパチ撮れるが、プライバシーの問題もあるので、ここには挙げない。レンズが大げさじゃないので、遠くの人を狙ってるのも目立たない。
というわけで、近づくとすぐに逃げるシオカラトンボ。ヤツだって、600mmで狙うと、まさかそんな遠くから撮影されいるとは思わないので簡単に撮れる。
ちなみに、相変わらず手はブレブレなのに、羽根の翅脈までクッキリ撮れるのは手ブレ補正8段分の威力だろう。いやー、超望遠面白い。
本当は三脚を使わないといけないのは分かってる(プロカメラマンか可能なら必ず三脚を使う)。でも、EOS R5/R6だと撮れちゃうんだもの。
というわけで、手持ちで月を撮ってみたのが冒頭の写真。
といっても、これはトリミングしている。R5は4500万画素だから、かなりトリミングしても解像度的には全然問題ない。
実際の画角はこちら。それでもすごい。
ともあれ、R5にRF800mmを付けて、カメラを月に向ければ誰でもこれが撮れる。手持ちで撮れる。やったことと言えばちょっと明るくなり過ぎるので、暗めに露出補正するぐらい。
動き写真が撮れるかどうか試す
とはいえ、問題は、動きものが撮れるかどうかだ。F11というスペック自体は動きのある写真を撮るには相当厳しい。
というわけで、息子に自転車で走ってもらった。
や、すごい。顔認証オートでAFが顔を追いかけ続ける。シャッター押しっ放しで、秒間12コマでシャッターが切れる。
1/500に固定したのだが、夏の晴天下だとISO感度は800。問題ない感じ。
次、800mmで流し撮り。
正直、家の近所では800mmという超望遠で全身を入れるほど引きが取れない(笑)もっと広いところに行かないと。
ちょっと雲が陰っただけで、ISO感度は2000まで落ちる。
これは本当に曇ったりしては撮れないし、夏の昼間でこれだから夕方とか、冬とかは厳しいと思う。
相当面白いレンズだ
というワケで、RF600mm F11 IS STMとRF800mm F11 IS STM、使いどころは選ぶけど、使いようによっては相当面白い。いろいろと従来、超高価な超望遠を買えなかった人に新しい世界を見せてくれる面白いレンズだと思う。
動きのある写真も、光の十分にある場所なら可能。ただし、曇ろうが、雨が降ろうが、仕事として撮影しなければならないプロにはもちろん向かない。
600mmと800mmは多少正確が違って、扱いやすいのは600mmの方。動きのあるものも、せめて600mmぐらいでないと追うのは不可能に近い(私には)。対して800mmはとても遠方のものを、寄ってとれる面白さ。手の届かないものを可能な限り近づけてくれる(なんなら×1.4、2.0のテレコンも用意されている)。
飛行機とか鉄道好きな人も、買ってみると面白いと思う。
興味のある方、ぜひお試しを。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。