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アップルがアプリトラッキングを擬人化したCMを公開。面白いけど、考えさせられる

あなたは……追跡されている

CMはカフェで男性がコーヒーを買うシーンから始まります。

支払いが終わると、ヒゲの店員は素早くカウンターを飛び越えて、男性を追尾し始めます。

続いて、給与の支払い調書を受け取るシーンになると、カフェのヒゲ店員に続いて、スーツを着た女性が現れ、支払い明細を勝手に引き取って、無遠慮に見始めます。

擬人化されたトラッカー達

ドラッグストアに入って、買い物をする頃には、数人の人がついて回り、購入しようとした商品をチェックしたり、買い物カゴに入れた商品についてメモを取ったりしています

これらの人々は、我々の日常について回るアプリやサイトに埋め込まれたトラッカーを擬人化したもの。アプリやフェブサイト、SNSなどが連携して、我々の支払い履歴、移動履歴、写真の位置情報、メールやメッセージを分析します。そして、その情報は我々の知らないところで高値で販売され、それを入札した企業が、我々をターゲティングした広告を表示します。

スマホが登場してから、わずか十数年の間に、スマホとそこに表示される広告は、我々の生活のあらゆる側面に組み込み、そこにある情報を分析し、広告を表示するようになりました。

巨大なマーケティング資金が動く業界だけに、短時間のうちに分析合戦はエスカレートし、どんどん我々の情報は分析されていきます。

ドラッグストアを出る頃には、男性は一群の取り巻きを連れて歩くようになっています。

つまりは、まさに、これが今の我々の状況です。

我々の多くは、被害者であり、加害者でもある

この記事を書いているウェブサイトにも、程度の多寡はあるにしても、広告が表示され、あるていどの最適化が行われているはずです。けっして筆者や弊社にとっても他人ごとではないし、多くの広告出稿をしている企業にとっても他人ごとではありません。ほとんどのコンシュマービジネスを営んでいる企業は加害者側でもあるのです。考えてみれば、アップルもFacebookやGoogle検索などいろんなシーンに広告を出稿しています。

この広告自体が、ユーザー情報を高度に分析しているYouTubeに表示されているというのは実に皮肉なことです。

我々の多くは、被害者であり、加害者でもあるということです。

すべてのユーザー解析が禁じ手になれば、我々メディアも広告出稿を得られなくなり、大ダメージを受けるかもしれません。また、広告が一切最適化されなくなると、自分に関係のない広告……つまりノイズの海に我々は飲まれてしまうかもしれません。一切のユーザー情報が得られず、完全にランダムに表示されるとすると、高齢者に子供向けの玩具の広告が表示され、若者に入れ歯の広告が、男性に生理用品が、子供にエロ漫画の広告が、行けもしない遠方のレストランの広告が表示されるようになってしまうでしょう。決してそれは望んだ世界ではないはずです。

選択の権利はユーザーにある。iPhoneなら

アップルが提案するのは、完全に個人の情報はマスクされ、暗号化されて状態で、それぞれに適した広告が表示されるという手法です。それは適切な対応のように思えますが、GoogleやFacebookから広告業界へのアプローチの主導権を奪おうというアプローチでもあるように思えます。

男性は自宅に帰りますが、自宅のあらゆるところに、擬人化されたトラッカーがいて、写真を撮ったり、本棚の本をめくったり、引き出しの中の書類を見たりしています。どうあれ、このプライバシーのない状態が我々の望む世界でないことも確かです。

CMの最後に、彼がiPhoneを取り出し、Appトラッキングのダイアログから、『Appトラッキングしないように要求』を選んだ時に何が起こるかは、実際に動画を観て体験いだだければ……と思います。

被害者であれ、加害者であれ、これは我々みんなが関係する問題です。そして、そのスイッチの選択権はユーザーにあるとアップルは考えています。

だから、iPhoneを選ぶべきだと(これもまたひとつのマーケティングではある(笑))。

(村上タクタ)

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flick! digital 2021年6月号 Vol.116
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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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