秋ローンチのMacの新OSは、すぐにインストールして大丈夫?【macOS Monterey】
- 2021年07月22日
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macOS MontereyとはどういうOSなのか?
昨年のmacOS 11 Big Surに続き、6月のWWDCで発表され、秋の一般公開を控えて現在、パブリックベータとして試用可能なのが、macOS Montereyだ。バージョンは12にあたる。
ちなみに、MacのOSは、OS X 10.8 Mountain Lionまでが猫科の動物の名前、OS X 10.9 Marverics以降はカリフォルニアの地名に基づいたペットネームが付けられており、今回のMontereyもサンフランシスコの少し南の沿岸部の地名。
余談だが、アップルと同じくスティーブ・ジョブズが携わったPIXERの映画、ファインディング・ニモの続編ファインディング・ドリーの舞台となる海洋生物研究所のモデルとなっているのが、モントレーにある『モントレーベイ水族館』。シリコンバレーの人々にとっては、山ひとつ超えれば行ける身近な海なのだろう。
※この記事は、秋公開のmacOS Montereyのパブリックベータに基づいた記事です。Apple Beta Software Programで知り得た情報は、その内容について誰かに話したり、ウェブ記事にしたり、SNSに投稿したりすることは禁じられていますが、flick!は取材に基づく特別な許可を得て記事化しています。
これまでの経緯から考えると、安心して使える熟成のステップ
2000年に始まったOS Xの歴史の中で、昨年のmacOS 11 Big Surへのアップデートは非常に大きな変化をともなっていた。
OSのアップデートで機能を大きく左右するのが、どんなプロセッサーに対応するかということ。たとえは、10.6 Snow LeopardからはPower PCのサポートが打ち切られ、インテルCPUのみに対応となった。10.7 Lionからはインテルの64ビットCPUのみをサポート。10.15 Catalinaからは、32ビットアプリが動作しなくなり、iPadアプリを動作させるProject Catalystがスタートした。
そして、macOS 11 Big Sur発表のタイミングで、水面下で開発してたApple Silicon(M1チップ)を発表。Big Surは、インテルCPUとApple Silicon両方で動くCPUとして開発された。
これにより、アップルはMacのCPUを自社のペースで開発することができるようになり、さらにiPhone、iPadOSと基本的には同じ技術を使ったチップセットを使うことで、深い部分で共通化したコードを使えるようになった。つまり、iPhoneやiPadで開発したプログラムをMacで使いやすいし、容易に同じコードでMac、iPad、iPhoneに対応することが可能になったということだ。
macOS Montereyは、バージョン番号こそ12と大幅なジャンプアップを果たしたが、基本的な部分ではmacOS 11 Big Surをアップデートしたもの。根っこの部分での大きな変更はない。むしろ、Apple SiliconとインテルCPUでの平行動作+iPadとのコードの共通化……という大事業をなし終えた後の、細部の熟成といえるバージョンだ。
だから、比較的安定性は高い。macOS 11 Big Surを使ってる人なら、(秋の正規版は)安心して使えるバージョンなのではないかと予想する。
※現在試用中のパブリックベータは開発中のバージョンなので、不具合やデータ消失などの危険がある。インストールするなら、秋の正式公開後に。
『集中モード』と新しい『マップ』が素晴らしい
他のiPadOS 15や、iOS 15と共通だが、『集中モード』(Focus)の導入が一番大きな変更点だろう。これまで、iPhoneなどの含め、通知が多すぎて、集中して作業したりするのを妨げる面もあったが、集中モードを使うことで、通知の量をコントロールできるようになる。
また、マップの熟成も大きく、特に現在シリコンバレー近辺のみの対応となっている新しい立体的地形が反映されたマップの出来栄えは素晴らしい。
ユニークな新機能目白押し
また、オンラインでのコミュニケーションが増したことを反映してFaceTimeが大幅に機能増強され、その他、Safari、メモ、写真などのアップデートが施された。
FaceTimeは、オンラインで繋がってる人と一緒にコンテンツを楽しむ手段が強化された。一緒に映画を見たり、音楽を聞いたりして、乾燥を語り会ったりできるし、大勢をタイル表示することもできるようになった。安定動作するし、画質も良いから便利なのだが、Apple製品ユーザーしか使えないので、WebexやZoomの代わりにはならない……と思っていたのだが、Android版とWindows版がリリースされるとのことで、利用範囲は広がるかもしれない。一朝一夕には普及しないとは思うが。
Safariは画面上部の構成が変更され、タブとURL表示がまとめられて1行に。さらにタブの領域も開いているサイトにフィットした色で表示されるので、画面が広くなったように感じる。タブは、タブグループとしてまとめられるし、タブグループは保存して、同じiCloudアカウントで管理する他のデバイスでも開くことができる。
メモも友人との共有は、コンテンツの貼り付けなどでかなり便利になっているが、さらにクイックメモという機能が追加され、すぐにメモをしたい時に便利似使えるようになった。
写真にはLive Textという機能が追加された。これも、iPhone、iPadなどと共通で使える機能。写真に写ってる文字を認識する機能だ。残念ながら日本語対応のアナウンスはない。しかし、英語などの文字を読み取らせて翻訳することはできる。日本語対応に関しては、しばし待つしかなさそうだ。
iPhone、iPadの連携機能も秀逸!
その他にもユニークな機能が目白押しだ。
iPhoneやiPadにあるShortcutsという自動化サービスがMacでも使えるようになる。また、iPhoneやiPadの音を手近にあるMacから出せるようになった。iMacのスピーカーなどはかなり高性能なので、これは便利な機能。
さらに、MacとiPadを連携して使う場面において、Mac側のカーソルを隣にあるiPadにそのまま動かして使うことができるUniversal Controlという機能も用意される。こちらは、7月10日現在のパブリックベータではまだ動作しない。搭載を楽しみに待ちたい。
根本的な部分では変更がないので、安心して使えるが熟成のステップといえるだろう。さまざまなユニークな機能が追加されている。秋のローンチが楽しみだ!
(村上タクタ)
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flick! digital 2021年8月号 Vol.118
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。