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文系の大学生がプログラミングで解決できること【熊本県立大学・飯村研究室】

世界のアップルのサイトに掲載された飯村研究室

大学教育における『プログラミング』といえば、理系の学生がやっていることのように思うかもしれない。しかし、文系の大学でもプログラミング技術を持って解決できる社会課題は数多い。いや、むしろ文系だからこそ、プログラミング能力というツールを活用できるようになることで、大きく可能性が広がる。

これまでも、小中学校でのiPad利用、プログラミング教育などについてフリック!で扱ってきたが、当然のことながら高等教育においても、iPad、Macなどの利用、プログラミング能力を習得することは重要なのである。

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2020年02月10日

今回お話をうかがったのは、熊本県立大学・総合管理学部・総合管理学科で、知能情報学を扱う飯村研究室の飯村伊智郎教授と、同研究室のゼミ生のみなさん。

同研究室は、アップルのサイトの高等教育のページに採り上げられている。これは日本だけでなく、世界中のサイトで紹介されている。

Apple Education 高等教育——イノベーションの現場
https://www.apple.com/jp/education/higher-education/innovation-in-action/#doctor-ichiro

課題解決のためのコンピュータの利用を大学で学ぶという選択

さて、考えてみて欲しい。今や、小中学校でもひとり一台のコンピュータを扱う時代である。高校や大学でコンピュータを活用できなくては、どんな学科であれ効率的な学習ができるとは思えない。

飯村研究室は、社会科学(Social Science)と、情報科学(Computer & Information Science)を扱う。理系か文系かといえば文系なのだが、社会課題の解決にコンピュータを扱うことを研究するのだという。
大学2年生の前期にプログラミングについて学習し、後期からグループ研究として実際の社会課題を扱い、学生ブランドとして実際に一般企業や地方自治体などと協力し、社会実装に取り組む。

その研究領域は広く、ご覧のように多岐に渡るが、けっして理系分野だけでなく、社会科学分野でもITスキル、プログラミング能力が必要とされていることがよく分かると思う。

大学2年のプログラミング能力の習得には、まずiPadのSwift Playgroundsが使われる。続いてMacのXcodeでサンプルアプリを開発し、続いてそれらで学習したことを活かし、独自アプリを開発して発表する。

ちなみにiPadやMacなどハードウェアの購入については、初等教育とは違い、それぞれの自主的な導入に任せてるとのことだが、アルバイトをしたり親御さんにお金を借りたりして購入する生徒が多いとのこと。研究室にも何台かのiPadやMacは常備されている。

民間企業や、官公庁とのさまざまな協業

たとえば、折田優希さんは、出身地である鹿児島で、桜島の火山灰に悩まされていたから、桜島周辺の風向き情報を取得し、チェックできるアプリを作った。

風向きがチェックできることだけではなく、災害レベルの噴火が発生した時のためにハザードマップまで含めたアプリにしたという。

NTTアドバンステクノロジーと作ったのは、学内の使用電力量を見える化するアプリ。東日本大震災の教訓を元に、節電意識を啓発するために開発した。

官公庁との協働としては、熊本県警察と『歩行者も車も思いやりを! 交通安全啓発』、熊本県、熊本県警察とは『自転車の安全利用を促進するため』というテーマに基づいて、社会福祉法人熊本市社会福祉協議会とは『地震の教訓を踏まえたボランティア受付効率化』というテーマで映像製作を行った。

これは災害時に紙ベースで受付をすることで、ボランティアとボランティアを必要としている場所のマッチングに時間を要し、現地でのボランティア活動時間が減ってしまった……という反省に基づいて開発された。ボランティア受付に必要な情報をあらかじめアプリに登録しておき、QRコードを使って受付側に認識させるという手法で、スムーズにボランティア活動に入れるようにする仕組み作りがなされた。

HeartRecorderは、意思疎通の困難な重度の障害児の心拍をApple Watchで計測することで、気持ちの変化を読み取り、療育者との意思疎通を促進するアプリ。

これまで意思疎通ができなかったために、「本当に上手く療育できたのか?」という疑問が療育者にあり、それが『自信を持って療育できない』、『働きかけが減る』……という悪循環を産んでいた。HeartRecorderは心拍の変化から、重度障害者の感情を読み取り、療育者に伝えることができる。これにより、療育者が自信を持って療育できるようになることを目指しているという。

飯村研究室の就職先が多彩なワケ

ご覧のように、実際の日々の課題を集め分析し、iPhoneなどのアプリを使って解決していくことは、多くの分野で必要とされている。

課題解決の方法論を習得しているから、飯村研究室の学生は就職先で大変評価が高く、さまざまな業界から引く手あまただという。

このような、社会科学、非理系の学問でもiPadをはじめとしたコンピュータ、それをもっと活用するための知識、スキルセットは必要となる。

多くの学生にとって、このような教育は非常に重要なはずだ。『文系だからプログラミング知識は不要』などということは、もうないのだ。

(村上タクタ)

(最新刊)
flick! digital 2021年12月号 Vol.122
https://peacs.net/magazines-books/flick-1136/
子供を伸ばす! 学校と家庭のiPad超活用術
https://peacs.net/magazines-books/flick-1064/

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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