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クリエイターを虜にする処理能力のハイパーインフレ【Mac Studio先行レビュー】

(本レビューは、3月18日の発売に先駆けて貸与を受けたMac Studioを元に執筆している)

都合、58万1600円を『激安!』と感じる高性能

クリエイターにとって、本来、処理能力は無限に高い方がいい。

Mac StudioとMac Studioの組み合わせは、そんな当たり前のことに気付かせてくれる。

6,000万画素の写真だろうが、8Kの動画だろうが、本来まるで抵抗がないかのようにサクサクと動いてくれた方がいい。コンピュータの処理能力は、クリエイターにとって足かせでしかないのだ。

何千枚の写真だろうが、何百トラックの音楽だろうが、何本もの8K動画だろうが、サクサクと処理してくれるMac Studioを使ってみると、いかにこれまで『マシンの処理能力』という制限にクリエイティビティを制限されていたかが分かる。作業を円滑にするために画像を軽めにするとか、動画の解像度を落とすとか、そういうことは本来のクリエイティビティにとって必要のなかった配慮だったのだ。

今回お借りしたMac Studioは、M1 Max搭載、10コアCPU、32コアGPU、16コアNeural Engine、64GBユニファイドメモリー、2TBストレージのモデル。都合、価格は38万1800円。この上にM1 Ultra搭載モデルがあるのだから、まぁMac Studioとしては中ぐらいの製品だ。19万9800円のStudio Displayを足しても58万1600円。この価格を「安っ!」と言ってしまうほどの処理能力なのだ。もし、あなたがクリエイティブワークを仕事にしているのなら、この処理能力を武器に、この程度の投資はすぐに回収できてしまうに違いない。

そう思えてしまうほどに、すべての作業がサクサクと進んでしまう。M1登場以来、M1 Pro、Max、Ultra……と処理能力の高騰が止まらない。ユーザーも思惑をはるかに越えて処理能力のインフレーションが進んでいく。もはや性能のハイパーインフレ。そして、使ってみると『速さこそ正義』であることを十分に体感できる。

M1 Max搭載モデルで、9ストリームの8K ProRes動画を編集可能

まずは、Final Cut Proで動画の編集を行ってみた。最大9ストリームの8K ProRes動画をまったくコマ落ちすることなく再生することができる。ちなみに、M1 Ultraなら18本を再生可能なのだそうだ。これなら、高解像度動画をたくさん同時に扱って編集する人も不満は感じないだろう。

そういえば、MacBook ProのM1 Max搭載モデルは、7ストリームの8K ProRes動画を扱うことができた。MacBook ProとMac Studioに搭載されているM1 Maxの仕様は違うのだろうか?

答えは、ほぼ『同じ』である。電力を無制限に消費するハイパワーモードがあるのも同じ。ただ、MacBook Proが発売されてから、今までの間にソフトウェアの最適化が進み、処理できる映像の本数が7ストリームから9ストリームに増えたのだ。なので、M1 Max搭載のMacBook Proでも、最新のソフトウェアにアップデートすれば9ストリームを扱えるようになる。

ちなみに、M1 Ultra搭載のMac Studioなら、18ストリームの8K ProRes動画を同時に編集することができる。

Adobe Lightroomで、大量の写真をバッチ処理

Adobe Lightroomで毎日定量の撮影写真を仕上げているカメラマンにとっても、Mac Studioは非常に役に立つ。テスト機には1500枚以上の一眼レフで撮影した高画質写真が用意されていたが、1500枚の画像を、まるで動画であるかのごとくにスムーズに高速でブラウズすることができる。クリックして画像を開くのも瞬時だ。

実は、編集職として仕事をしていて、時折、非力なマシン、高解像度でないディスプレイで写真のセレクトをしているカメラマンを見かけることがある。しかし、一気に大量の画像を処理するパフォーマンスがないと、画像が開くのを待っているようなマシンでは正しいセレクトができない。

同じ場面が100カットあるなら、100カットを見て、1カットを選ばなければならないが、非力なマシンだと、たまたま開いた画像がOKならそれで良しとする……というような選び方になってしまう(これは実際に、他の編集者の仕事を見ていてもそういうことがある)。Mac StudioとStudio Displayなら、5Kの高解像度で表示しながら、まるで動画のようにパラパラとスムーズに大量の画像をチェックして至高の一カットを選ぶことができる。

クオリティの高い仕事をするには、クオリティの高い道具が必要なのだ。『弘法筆を選ばず』というが、デジタルデバイスの世界では優れたマシンがないと第一線で良いクリエイティブに関わることは難しい。

Logic Proで100以上のトラックを再生できた

それは、音楽世界でも同様。Logic Proで100以上のトラックのある音楽ファイルを再生してみたが、Mac Studioはこれを平然と演奏してくれる。

また、Studio Displayの6スピーカーは、ゾクゾクするような臨場感のあるサウンドを提供してくれる。

また、空間オーディオにも対応しており、Studio Displayはこれを再生可能なので、デフォルトで用意されたスピーカーでこれを確認しながら制作することができる。ボーカルが左から右へ、そして耳元を駆け抜けて背後に通り過ぎて行ったりするのだ。すご過ぎる。

また、この音楽ファイルはStudio Displayに内蔵されたマイクアレイで収録されたということだが、少なくとも筆者の耳には、プロクオリティのスタジオで録音されたとしか思えなかった。

14台のiOS/iPadOSデバイスをシミュレート

Mac Studioの驚異の処理能力を体感させてくれたテストがもうひとつある。

Xcodeでのテストだ。

MacはiPhoneやiPadのアプリを開発するエンジニアにも使われる。その時の開発環境として使われるのがXcodeだ。XcodeにはiPhoneやiPadでアプリが動作するかどうかシミュレーションできる。

Mac Studioでは、iPad ProからiPhone SEまで、現行機種14台のすべてを同時にシュミレーションすることができる。Mac Studioのパフォーマンスを考えれば当然ともいえるが、14台のデバイスを同時に駆動するほどの能力があるのかと思うと本当に驚かされる。もちろん、このパフォーマンスは開発者にとって大きな助けとなることは言うまでもない。

日常的な用途でも快適なフレキシビリティ

Studio Displayと組み合わせたMac Studioの価値は、単に高い性能だけにとどまらない。

Studio DisplayにはA13 Bionicを内蔵することで、センターステージをつか活用できる122度視野角1200万画素のカメラ、スタジオ品質の集音能力を持つ3アレイのマイク、重低音まで余すことなく再現し、空間オーディオを再生可能な6スピーカーを搭載、制御している。これにより、音楽、映像再生環境としても、ビデオ会議システムとしても高い性能を確保している。プロ用機材だから、日常的な用途には使いにくい……ということはないのだ。

実際、ミュージックアプリで音楽を聞いても、Apple TVで映画を見ても非常に高画質、高音質で楽しむことができるし、FaceTimeでのビデオミーティングも非常に快適だ。この状態で左右に移動したり、立ち上がってもまるで専属カメラマンが追いかけてくれているような映像を提供してくれる。

試しに、普段仕事に使っているLGの5Kディスプレイを接続してみたが(MacBook Pro 2016と同時に買ったもの)、双方5Kということでサイズ感がマッチして使いやすかった。できれば、このままこのマシンで仕事を続けたいと思うほどだ。

ちなみに、本機と同じM1 Max搭載、10コアCPU、32コアGPU、16コアNeural Engine、64GBユニファイドメモリー、2TBストレージをMacBook Proの14インチで買おうとすると、47万5800円。本機の方が9万4000円高くなる。

つまりは、モバイル性能と14インチのディスプレイ、キーボードなどが9万4000円ということだ。

作業環境にディスプレイやキーボードがすでにあって、モバイル性能が必要ないというなら9万4000円のコストセーブになるということだ。または、10万4000円を追加すれば、高品質なマイク、カメラ、スピーカーが付属した5Kの広大な作業環境が手に入るともいえる。

もちろん、さらに約2倍の性能を持つM1 Ultraは、Mac Studioにしか搭載されず、今のところ(消費電力を考えると今後も)モバイルでという選択肢はなさそうだ。

一見、背の高いMac miniという感じのある意味色気のないMac Studioだが、そのパフォーマンスの高さは比類なく、非常に安価であるからコスパも高い。

唯一の気になる点は、6月に本機をさらにしのぐ性能を持つMac Proの発表が公言されているという点だろう。M1 Max搭載機がジャストフィットなら本機でもいいが、M1 Ultraを欲しいと考えている人なら、「Mac Proを見てから最終決定する」と考えている人も多いことだろう。しかし、「いますぐM1 Ultraが欲しい!」と思ってしまうほどの安さと高性能である。ハイパフォーマンスなマシンを必要とする人にとっては本当に悩ましいことだろう。

(村上タクタ)

 

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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