BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

オマケの1枚|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #48

毎年3月はどうしても忙しい。日本全国せわしない雰囲気のこの時期、山の上では来たる繁殖期に向けてライチョウたちの移動が始まっている。今度の春はどんな物語を見せてくれるのか、いまから楽しみである。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

オマケの1枚

じつは3月のライチョウを捕捉するのは難しい。というのも、12月から2月までの越冬ポイントから無雪期の生息域へ移動する(戻る)期間で、同じ場所に長時間滞在しないことが多いからだ。

例えば、無雪期は標高2,800mの山域に住んでいるライチョウが、越冬時に2,500mのポイントで生活をしていたら標高差はざっくり300m。そして前述のとおり、春になると無雪期の生息域へ戻るため、この3月は彼らに会うためには標高差の300mエリアで、どこに移動しているかわからない状況で探さなければならないことになる。山域によって難易度はまちまちであるが、捜索範囲がえげつない場合もある。

捜索は無雪期の生息域から標高を下げる、稜線から斜面を下るなどして探すのだが、そこは無雪期は登山道ではなかったり、そもそも移動経路が「空中」だったりするので同じ経路はたどれない。ところによっては侵入するだけでもそれなりのリスクを伴うフィールドのため、行動は慎重を要する。

何年も通ってどのルートなら安全かを見極め、思い描く構図が叶う場所を探す。このときも理想の画を求めて実地調査を繰り返していたが、冬の山行は体力的に非常にきつい。一度の山行は1泊を基準にしており、長くても2泊、それ以上は体力の消耗が激しすぎて撮影どころではなくなってしまう。登山経験が豊富な人たちなら何泊もできるかもしれないが、私はそもそも登山をライフワークにしていないインドアのオタクなのでそうはいかない。つまりは1泊で行って帰ってこれる範囲でひたすらリテイクしているというわけだ。

雪道を掘り、中にテントを張る。雪を溶かし湯を沸かし、アルファ米を戻してガサッとふりかけを大量投入。なかばジャリジャリと音を立てながら食べる夕食は非常に塩分過多でジャンクである。荒っぽい夕食をすませ、極寒のなか就寝する。手間を考えるとパンなどの凍らずに手間のかからない食糧のほうが楽なのだが、水分補給と体を中から温めるにはこちらのほうが良い。寒さに浅い眠りを繰り返し起床時間を迎える。

テントのジッパーを開けると世界はまだ真夜中である。星を眺めながら撮影ポイントへと歩を進める。ライチョウの起床時間はわりと正確なため、ねらった時間に間に合わせるためには余計なことはできないのだ。また少しでも常に動き、体の発熱を途切れさせないのも極寒のなかでの行動の私のセオリーである。

この山行も数あるロケハンのなかの一回ではあったが、無事にライチョウを捕捉するに至った。闇のなかから現れる非常に早起きな彼らをひと通り撮影し、やり遂げた満足感からその場にへたり込む。しつこく追跡して彼らに嫌がられるのは避けたいので撮影時間は短期決戦。この日は東の空が茜色を帯び始めたかと振り向くと、ちょっとしたボーナスタイムが待っていた。

今回の一枚は、「この日のミッション終了!」と安堵感から雪のなかで座り込んだ視線の先に飛び込んできた、ダケカンバの枝に乗るライチョウのシルエットである。ライチョウは採食のために枝に乗ることもあるのだが、意外とその瞬間を目にする機会は少ない。気を抜いた瞬間ではあったが、オマケのもう一枚を撮ることができた。

今週のアザーカット

以前からことあるごとに自身のオタクアピールをしているのですが、じつは前々からライチョウの専門家として某・ロボットプラモデルシリーズでライチョウを作ったらおもしろい(あとそんなことをやる人間は他にいない)のではないかと思っておりまして、このたびとうとう実際に作成できたのでお披露目したいと思います。

いわゆるファーストガンダムの劇中後半に出てくる緑色のデッカい特徴的な機体のプラモデルを原型に作りました。ちなみに翼は着脱式。尾羽はちゃんと展開可動しまして、この手の設定にうるさい者として、鳥類なので足は逆関節、足指は4本、肉冠の質感も再現、尾羽の内側(お尻の部分)には飛翔用のスラスター(推進器)もちゃんと付けてあります。現状、具体的な予定はありませんが、現物展示の機会がきたらお知らせいたします。

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら


▼PEAKS最新号のご購入はこちらをチェック

Info

SHARE

PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

No more pages to load