BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

「DAIFUKU(大福)」の誕生|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #1

ライチョウ。正しくはニホンライチョウと称し、古来からの山岳信仰において「神の鳥」とも崇め奉られている野生動物である。 私と彼らとの馴れ初めは後日改めて語らせいただくとして、サラリーマンを辞めて山小屋従業員なりその後写真家として独立するくらいには彼らに熱を上げている。これから私がいままで出会った彼らのポピュラーな姿から知られざる生態まで写真とともにお届けしようと思う。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

 

「DAIFUKU(大福)」の誕生

ご存知の方も多いと思うがライチョウは害意を向けない限りは人間をさほど畏れない。季節など時期にもよるが、その手に触れられるのではと思うほど距離が近づくこともある。私なりの解釈であるが、野生に生きる彼らは自分たちにとって害さえなければその他の生きものに対して寛容、あるいは岩や草木と同様とみなして対応していると思われる。

よく人間手前な考えでライチョウが人間を好きだから寄ってくると言う楽観的な方も見受けられるが、そのようなことは微塵もなく、彼らのパ ーソナルエリアに侵入すれば、それとなく怪訝な表情も見せるし距離をあけるような退避行動もする。まれに人間に向かってその歩を進める個体もいるが、それはたまたま目的の進行方向に人間がいたから、というのが真相である。

とはいえ、数多いる野生動物のなかで、これだけ直近にその姿を晒してくれる生きものなどそうはいない。ひとえにこれは日本人が古来よりライチョウを大切に扱ってきたからに他ならない。ゆえに彼らを「神の鳥」として愛でてくれた先人の皆様には感謝の言葉しかない。

今回の写真は、白くて丸いフォルム、つぶらな瞳に少しだけ小首をかしげ、その愛らしさに似合わぬ獰猛な足爪を見せ、ギャップ萌えの要素を振り撒きながら正面を切ってこちらに迫るという構図の一枚。

撮影現場の環境は、日中マイナス15℃前後、風速10m超の地吹雪、ただし日差しは有り、新雪の膝ラッセルという状況だ。冬場のライチョウは殊の外警戒心が強い。何故ならば雪に紛れ「他の生きものから見えない」という前提のもと生活している故に、自分たちが「見えている状況」はすなわち緊急事態ともいえる。

そのような相手に対して私独自のドクトリンを駆使して挑み、彼女の正面を捉えたのがこの「DAIFUKU(大福)」という一枚である。 日本には八百萬(やおよろず)の神がいるという。そのなかに可愛さ全振りの神様がいても良いじゃないか、と私は思うのだ。

 


 

▼PEAKS最新号のご購入はこちらをチェック

Info

SHARE

PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

No more pages to load