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文化のちがい|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #49

4月になり新しい年度がはじまった。個人的には毎年春になると仕事の依頼が芽のように吹いてきたりする。おそらくは企業や団体の予算の関係でこのタイミングになるようなのだが、フリーランスの身としてはドキドキわくわくな時期である。幸いなことにさっそく問い合わせが入ってきているので、ライチョウの魅力普及のためにも引き続きがんばっていく所存である。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

文化のちがい

私の場合、ライチョウを探しにいくタイミングを開山期と閉山期に分け、装備やもろもろの準備をしている。山小屋や各種施設が空いているシーズンが開山期、逆に公共交通を含めインフラがお休みしている時期が閉山期といった具合だ。12カ月すべての時期でコンスタントに野生のライチョウを見続けたいのだが、じつは4月前半だけは特別な期間で、撮影のインターバル期間が長くなる。

4月前半がなぜにインターバルが長めになるのかというと、気温上昇による雪崩の発生率が高くなるため、なかなか入山しづらく、ルートも限られるという問題があるからだ。

そんな4月はライチョウの春の繁殖期で、越冬中だったライチョウたちに動きが見える。麓は春といえども高山帯はまだまだ雪山の様相を残しているのだが、ライチョウたちの滞在する標高が、ライチョウたちの滞在する標高が、冬のあいだの微妙に低い場所から無雪期のハイマツが生茂る森林限界より上へ移動する。一気に標高を上げるのではなく、ダケカンバやシラビソの樹林帯をあちこち経由しつつ、少しずつ、(人間から見たら)気まぐれに移動している。

この日も樹林帯の陰から見慣れたシルエットが姿を現した。白くて丸い例のフォルムは何回見ても胸が躍る。そうこうしているとふたつ目、そして3つ目の悩殺羽毛白球体も現れた。構成はオス2羽とメス1羽。過去のエッセイでも触れているがライチョウの越冬スタイルはさまざまで、10羽クラスの大きな集団や1羽のみの単独、あるいは番いで冬を越す者など、そのパターンは一様ではないのでおもしろい。

今回の3羽の関係性はとくにおもしろく、ひと組の番いに「あぶれオス」が居候しているという、人間目線で見ると「そんなんありか?」というものである。距離的には付かず離れず3羽でおり、見た目としてはひとつの群れを成しているのだが、ひとたびあぶれオスがメスに近づこうものなら、番いのオスが激しく威嚇をする。威嚇されたあぶれオスはおずおずと後退するも、それでも何事もなかったようにひょうひょうと行動を共にしているという感じだ。

今回の1枚は、種としての文化違いなのか、まさにその関係性を切り取った瞬間である。4月中旬には繁殖に向けてあちこちで番い形成が表面化してくるはずである。野生動物の生活史の見どころのひとつでもあるので、今年もしっかりと見届けたいと思う。

今週のアザーカット

先日、私のSNSでも紹介しておりましたが、静岡県の企業・十山株式会社さんからのご依頼で水面下で進められていた案件が情報公開となりました。

5月下旬に発売される「井川シングルモルトデッサンシリーズファウナ2025」。シリーズ第2弾ラベルがライチョウデザインになるのですが、私の代表作「つがい」がデッサンの原作となりました。デッサンを描かれたのは藤森有規子さん。数量限定の商品となりますので、気になる方はお早めのチェックをオススメします。

井川蒸留所/十山株式会社さんの商品ページはこちら

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら


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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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