【山道具インプレッションVol.4】アラスカ名物の蚊も逃げていってしまった!? 虫が嫌がる「スコーロン」素材を使ったフーディ・ジャケット【by村石太郎/後編】
PEAKS 編集部
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フォックスファイヤー/SCガイドフーディ 10,800円+税
素材:トランスウェットRファインデニールスコーロン®(ポリエステル65%・綿35%)、重量:170g、カラー:オフホワイト/グレー/インディゴ、サイズ:S、M、L、XL
【PEAKS LONG TERM IMPRESSION vol.4】フォックスファイヤー/SCガイドフーディ【後編】
By 村石太郎
登山の楽しさを伝える月刊誌『PEAKS』の制作にたずさわる面々が本気で山道具を評価するインプレッション・レポートを全4回にわたりお届けする本企画。その第4回目は、世界中を飛び回りながら取材活動をするアウトドアライター村石太郎が、第2の故郷アラスカで使ったフォックスファイヤーの防虫ウェア「SCガイドフーディ」についてレポートしよう!
○プロフィール
村石太郎/アウトドアライター
これまで約20年間にわたり、北アラスカの原野を彷徨い続けてきた。登山道具についての造詣も深く、世界各国へと取材に積極的に出掛けて行う記事に定評がある。PEAKSで「野外道具探訪記」を連載中。著書には、「山岳装備大全」(共著・山と渓谷社)などがある。
蚊の少なさを差し引いても快適だった3週間
2016年の夏、米国アラスカでは大変なことが起こっていた! なんと、夏のあいだ人々を悩ませ、アラスカ州の州鳥(本当は、雷鳥だが)と揶揄される蚊がいなくなってしまったのだ。僕は、旅のあいだ着続けていたフォックスファイヤーの防虫ウェア「SCガイドフーディ」を着ていたためだと思っている。今回、ともに旅をした友人のデヴェン・デュミットも、その効果に驚き、喜んでいた。通常の夏であれば1時間おきに強力な防虫スプレーを吹きつけなければ息もできないような状況なのに、今回は約3週間のあいだでたったの2回しか虫除けを使わなかったほどなのだ。
そんな冗談はさておき、記録的な蚊の発生量の少なさとSCガイドフーディが備える防虫効果によって快適な夏を過ごすことができた。旅の期間は、7月後半から8月中旬までの約3週間。アラスカ北西部にあるガエダケ湖へと軽飛行機で向かい、湖から流れ出すアラトナ川をパックラフトという一人乗りの超軽量ラフトを使って降り、3~4日後にラフトをたたんで徒歩でガル・パスという峠を越えていく。一回目に防虫スプレーを使ったのは、この峠越えの3日目だった。深い谷を越えるため薮のなかを歩いてたときに顔のまわりに十数匹の蚊が飛び回り、不快に感じていたので頭部と両手の甲に防虫スプレーを吹きつけた。2回目に使ったのは、それから10日後ほどのこと。降雨のため停滞した日に、雨を除けるためにタープを張って夕食を食べているときだった。
記録的な寒さで大量の蚊の代わりに遭遇したのは……
ガル峠を越えたあとはアラスカでもっとも美しいと言われるノアタック川を5~6日降り、ふたたびパックラフトをたたんでナックマクトアック峠を越えてアンブラー川で最後の川下りを楽しむ。最終日は、アンブラー川の河口からコバック川を1時間ほど漕ぎ、250人ほどのアラスカ先住民が住むアンブラーという小さな村で定期便の飛行機で街に戻って来た。
この行程は、ぼくがこれまでの約20年間で経験したなかでもっとも印象的な3つの川をつないで旅をしようと考えたものだった。もちろん、そのほかの場所でも蚊の群れが体のまわりを飛び回ったが、防虫スプレーを使う必要性はまったく感じなかった。また、夏期のアラスカは24時間太陽が沈まない白夜の季節であり、強烈な紫外線でひどく日焼けする。そのためか、一回目に防虫スプレーを使ったときに手の甲に水泡のような発疹ができてしまった。こうした症状は初めてだったので肌をひどく日焼けさせてしまったことが原因だったのか、防虫スプレーが原因だったのかは分からない。だが、こうした症状が出てしまったときに防虫剤を使わなくていいスコーロンの防虫効果はとてもありがたかった。
今夏の蚊の少なさは、たぶん記録的な寒さによるものだろう。通常、夏のアラスカ内陸部では摂氏30℃を超すことも珍しくないのだが、今年は摂氏25℃ほどまでしか上がらず、朝方は摂氏1~2℃程度の日が続いていた。北風も強く、蚊が行動しやすい環境ではなかった。秋の訪れが例年よりも早く、蚊の発生期間も短かったのだろう。また、秋の訪れが早まったため鮭の遡上季も早めたようで、それにあわせて山から降りてくるグリズリーベアの数も非常に多かった。ノアタック川を漕いでいたときには、一日に5~6頭も遭遇した日が続いていた。高い防虫効果を発揮してくれたスコーロンも、巨大なクマさんを寄せつけないようにすることはできなかったようなのだ。
(↑ パックラフトでの移動時、激しい雷雨とともに冷たい北風が吹いた。そんなときは、レインジャケットの下にニット帽や「SCガイドフーディ」のフードを被って頭部を温めた)
(↑ 記録的に寒い夏となったアラスカ・ブルックス山脈。毎朝、焚き火を熾して、かじかむ手を温めた。摂氏10℃前後。「SCガイドフーディ」のサムループが嬉しかった)
(↑ 今回の旅は、パックラフティング15日間、徒歩7日間。一度、全身ずぶ濡れになってしまったが、「SCガイドフーディ」は速乾性にも優れ、素早く乾いてくれるのがありがたい)
(文・写真:村石太郎)
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。