ソロトレッキングを安全&快適に! マスターしたい歩き方ノウハウ
FUNQ
- 2019年05月29日
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街を歩くのに特別なテクニックはいらない。でも、山を歩くのであれば話は別。特に重い荷物を背負ってアップダウンの大きい場所や滑りやすい路面を行くには、疲れにくく転びにくい歩き方が必要になってくる。頼るもののないソロトレッキングであればなおさらだ。そこで、ICI登山本店所属の山岳ガイドで先鋭的クライマーの天野和明さんに、大学の山学部時代に体得したという基本の歩き方を教えてもらった。どれも夏冬問わず、安全な山歩きのために覚えておきたいポイントばかり。意識して歩いて上達を目指そう。
あなたは大丈夫? まずは靴ヒモをチェック!
天野さんによると、お店に来るお客さんの中には靴ヒモをしっかり締めない人も少なくないのだとか。山歩きでは緩めの靴ヒモは歩きづらく、靴ズレのもと。靴ヒモ自体が持つ伸びをわずかに残すくらいの締め具合がベストと心得よう。フック最上段の掛け方の違いもチェックして。
【〇】左が正しい状態。
【☓】右はゆるすぎる。
疲れにくく転びにくい歩き方の基本は「小股歩き」
天野さんが登山学校で初心者にまず教えるのは「小股で歩く」こと。足元が不安定な場所で疲労を軽減しつつ安全に歩くには、歩幅を狭くして上体のブレを防ぐことが何より効果的なのだそう。
大股で歩くと上体が上下左右にブレやすく、荷物が重いほどその修正に体幹の力を奪われてしまい、積み重なると大きな疲労に。歩幅は普段の2/3くらい、「ちょっと狭すぎ!?」と感じる程度を心がけ、並行移動するイメージで、一定のペースで足を運ぼう。特に登りではできるだけ狭く刻んでいくと疲れにくい。
スリップを防ぐ「フラットフッティング」
「フラットフッティング」は靴底全体をフラット(並行)に設置させて、ソールのフリクションを最大限に活かす歩き方。
滑りやすく不安定な路面で安全に歩行するには欠かせないもので、特に下りではこれを意識するだけでかなり滑りにくくなるという。難しそうに思えるが、ネコのようにできるだけ足音を立てないようにして歩くと、自然にフラットフィッティングになるはず。着地の瞬間、ヒザと足裏全体でやわらかく衝撃を吸収するように歩くのがポイントだ。
登りがグッとラクになる「ジグザグ登り」
筋肉は負荷をかけ続けるとすぐに限界に達してしまうが、適度に休憩を入れると長く動き続けることができる。この特性を利用したのが「ジグザグ登り」。
斜面をまっすぐ登っていると、体勢が変わらず同じ筋肉を使い続けるため疲れやすい。しかしジグザグに縫うように登ると体を左右に振るたびに使う筋肉が微妙に変わり、あまり使わない側の筋肉を休ませることができるのだ。とはいえ、ジグザグに歩くために無理な体勢をとったり、不安定な場所に足を置いたりすれば逆に疲れやすくなってしまう。ケースバイケースで判断を。
●天野和明
ICI登山本店に所属する山岳ガイド。ピオレドールを受賞した先鋭的クライマーでありながら初心者にもやさしい目線が魅力。
ジグザグ登りは無意識にやっている人も多いと思うが、意識的にトライするとより効率がアップするはず。3つの歩き方を習慣化して、もっと安全&快適にソロトレッキングを楽しもう。
(出典:『PEAKSアーカイブ ソロトレッキング』)
(エイサイト編集部 ヨシダ)
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