鳴虫山 登山ルート「世界遺産・日光から向かう静かな山歩き」
PEAKS 編集部
- 2019年09月25日
INDEX
歴史と史跡で知られる世界遺産の町、日光を抱くようにして聳える鳴虫山。今回は、賑わう観光客と分かれて静かな山頂を目指す、鳴虫山の登山ルートを紹介する。新緑期から紅葉期まで登ることができ、静かな山歩きを堪能したい人におすすめだ。時間がとれるのであれば、ぜひ日光の歴史散策と合わせて楽しんでみてほしい。
ルート概要
JR・東武日光駅→鳴虫山登山口→神ノ主山→鳴虫山→独標→並び地蔵→JR・東武日光駅
歩行時間
時間
日程
日帰り
技術
★☆☆☆☆
体力
★☆☆☆☆
レベル
初級
鳴虫山登山ルートへのアクセス
公共交通機関
東京駅から東北新幹線で宇都宮駅まで行き、ここからJR日光線に乗り換えて日光駅へ。浅草駅から東武日光線で東武日光駅。また、新宿駅、上野駅からの電車もあるので、自宅から最も効率のいいアクセス方法を調べよう。東京駅〜宇都宮駅53分、宇都宮駅〜日光駅50分。
車
東北自動車道宇都宮ICから日光宇都宮道路に入り日光ICで下りる。ここから国道120号線を走行して日光駅、東武日光駅へ。駅周辺に駐車場がある。宇都宮IC 〜日光駅30km
ルートプラン
歩行距離:9km
登山口:日光駅
下山口:日光駅
高低差:540m
スタート、ゴールともにJR、東武の日光駅なので気軽に歩くことができ、駅前には有料駐車場があるのでマイカー派にもおすすめ。コース上には並び地蔵や憾満ヶ淵、世界遺産で知られる神橋などの見どころも多いが、できれば下山後に輪王寺や日光東照宮、二荒山神社なども見学したい。鳴虫山は日帰りで登ることのできる山だが、日光に1泊してその歴史をじっくり探ってみるのも楽しい。日光駅周辺には老舗の食事処や土産物店が多く、下山後の楽しみをさらに広げてくれる。神橋(しんきょう)をバックに記念撮影することも忘れずに。
JR・東武日光駅
↓15分
鳴虫山登山口
↓45分
神ノ主山
↓1時間10分
鳴虫山
↓1時間
独標
↓45分
並び地蔵
↓1時間5分
JR・東武日光駅
鳴虫山登山ルートの詳細ガイド
周囲の植生がさまざまに変化する
JR 日光線、あるいは東武日光線の終着である日光駅から、神橋へ向かって土産物店や飲食店が建ち並ぶメインストリートをゆるやかに登っていく。消防署を通りすぎ、御幸町の信号を左折、突き当りを左へ進むと、右側に入る路地に鳴虫山登山口の道標がある。
登山口の看板から左の小さな階段を登るとすぐに樹林帯のなかに細い登山道が延びている。高度が上がってくると周囲はヒノキの人工林に変わり、次の目的地までの距離を明示した道標が、気持ちを楽にさせてくれる。できるだけ木の根を踏まないように心がけながら進むと、表日光連山の山並みが美しい、神ノ主(こうのす)山に到着。ここから鳴虫山までの距離は2kmと道標が教えてくれる。
ヒノキ林の斜面を下り、馬ノ背のような尾根道をアップダウンするようになると、登山道に木の根が多く露出している。できるだけそれを踏まないように注意しながら歩くようにしよう。ロープが張られた急坂もあるが、岩場ではないため、ゆっくり登るようにすれば大丈夫。木々の間から右に山並みが見えるようになると、鳴虫山はもうすぐ!
ロープを頼る箇所があちこちに
鳴虫山山頂は木々に囲まれており展望がきくのは北側のみ。赤薙山や女峰山の山塊が見える程度となる。必ずしも休憩に適した場所とはいえないが、行程の半ばに近く、ベンチもあるので、ここで昼食にしよう。
鳴虫山からの下り出しはいきなりの急坂で足元も悪く、とくに足場の悪い箇所には木の階段が造られている。これを下ればひと息入れられるので、気を抜かないようにしよう。その後は細い登山道が続き、少し登り返したところが合峰。展望はないが、この先は急な下りが続くので、息を整えてから出発しよう。
合峰からの下り出しはロープが張られている。土の道ですが、傾斜がきついので、軽く片手に持って下ると良いだろう。その後、岩場を下る箇所にもロープがある。カラマツ林の尾根を軽くアップダウンするようになり、最後に木の根が張り出した登りをクリアすれば独標山頂。道標が立ち、休憩に格好の場所だ。
休憩後の下り出しは再び急坂でロープが張られている。憾満ヶ淵の道標を目印に左へ下ると、日光宇都宮道路をくぐり、ここから道は舗装され、憾満ヶ淵へと入っていく。
道端に並ぶ「並び地蔵」を見学しながら、大谷川沿いに歩けば、日光のシンボル的な存在の真っ赤な神橋に出るので、ここの見学を終えたら駅まで戻ろう。
鳴虫山登山カレンダー(該当月の1日)
鳴虫山データ
標高:1,104m
登山適期:4月中旬~11月中旬
営業小屋:なし
避難小屋:なし
テントサイト:なし
水場:なし
トイレ:ストーンパーク
ビューポイント:鳴虫山山頂
連絡先:日光市観光協会(TEL.0288-54-2496)、日光市観光振興課(TEL.0288-21-5170)、日光総合支所(TEL.0288-53-3795)
木の根に気をつけて歩けばOK
日光連山と対峙して歩くため、昔から山岳修行の山といわれている鳴虫山。縦走路にある頂の名称もその名残りなのだろう。鳴虫山という山名は、この山に雲がかかると雨が降り出すことから、泣虫が鳴虫に転じたものだといわれている。
山中で特別に危険な箇所はないが、木の根が露出した箇所が多く、ルートを見定めるのにちょっと苦労することも。また、鎖ではなくロープが張られた場所もあるが、頼らなくても登り下りできる箇所が多いので、心配しなくても大丈夫だろう。憾満ヶ淵は男体山から噴出した溶岩によってできた奇勝地で不動明王が現れる霊地といわれている。
アドバイス
標高がそれほど高くない山だからといって油断していると、とんでもないしっぺ返しを食らうこともしばしば……。ここに記載している所要時間はあくまでも目安なので余裕をもって計画は立てよう。また、天候や自分の体調によっては、中止することも検討してほしい。山はいつまでもそこで待っていてくれる。どんなにその山が低くても、謙虚に向き合うことで、山はあなたを優しく迎え入れてくれるだろう。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。