BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

安達太良山 登山ルート「月面のような景観に息をのむ。『智恵子抄』でも知られる名山」

高村光太郎の詩集『智恵子抄』にも登場する安達太良山(あだたらやま)は、 日本百名山のひとつにも数えられている。安達太良山の山頂直下では、月のクレーターにも似た、地球上とは思えない別世界の趣がある絶景を眺めることができる。今回は、月面にもたとえられる、岩と砂の景観を楽しむ登山ルートを紹介する。

ルート概要

ロープウェイ山頂駅→表登山口分岐→安達太良山(乳首)→くろがね小屋→峰の辻・勢至平分岐→奥岳登山口

歩行時間

4時間15分

日程

日帰り

技術

★★☆☆☆

体力

★★☆☆☆

レベル

初級

安達太良山 登山ルートへのアクセス

公共交通機関

東京駅から東北新幹線で郡山駅へ。JR東北本線に乗り換え、二本松駅下車。ここから福島交通バス岳温泉方面行きに乗り換え、35分、岳温泉で下車。さらにタクシーに乗り、約6km、10分で奥岳。

東北自動車道二本松ICから国道459号線、県道386号線など約15km、25分で奥岳駐車場。

ルートプラン

歩行距離:8km

標高1,700m、こぢんまりした山に思えるが、尾根や谷が周囲に延びて、意外なほどの広がりを見せる。さらに、噴火活動跡の荒涼とした景観も特徴的で、百名山に恥じない名峰。登山コースも多いが、あだたら山ロープウェイを利用し、標高約1,350mの山頂駅から登る登山者が多い。ロープウェイで登り、くろがね小屋を経て奥岳へ戻ろう。

ロープウェイ山頂駅
↓35分
表登山口分岐
↓1時間
安達太良山(乳首)
↓1時間
くろがね小屋
↓30分
峰の辻・勢至平分岐
↓1時間10分
奥岳登山口

安達太良山 登山ルートの詳細ガイド

「ほんとの空」 がある山に登る

安達太良山と聞けば、多くの人が高村光太郎の詩集『智恵子抄』に収められた「あどけない話」の一節、
「智恵子は東京に空が無いといふ
(中略)
阿多多羅山の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ」
を思うだろう。

『日本百名山』でも「安達太良」が入る万葉集の短歌を紹介したあと、この詩を引用している。さらに「樹下の二人」で光太郎・智恵子夫妻が安達太良山を眺めた二本松市内の丘で同じ光景を望んだあと、岳温泉から登っている。

あだたら山ロープウェイがない時代であり、あったとしても深田久弥は利用しない可能性が高いが、岳温泉から歩いて、くろがね小屋に宿泊。翌日、安達太良山に登頂し、母成峠を経て磐梯熱海へ下りる。今回はロープウェイで登り、深田久弥と逆コースで、くろがね小屋を経て奥岳へ下山する人気コースを案内する。

ロープウェイに乗り一気に山頂駅へ

山頂駅を出たら、まっすぐ安達太良山へ向かう道もあるが、ちょっと寄り道して(わずか1~2分程度)、薬師岳展望台に寄っていこう。二本松の丘よりだいぶ上からになるが、安達太良山を仰ぎ見てから登山にかかれる。

山頂駅からすぐの薬師岳展望台。山頂らしい地形ではないが、安達太良山の山頂などを眺められる。小広いので休憩や食事をしていくのにもいい。

山頂駅、薬師岳展望台から指導標に従って西へ向かう登山道に入ります。幅が広く、なだらかな尾根に茂るミネカエデ、ヒメコマツなどの中低木林に開かれた道で、途中、木道が整備され、足もとにはイワカガミやマイヅルソウ、ツマトリソウなどが咲いている。

登るにつれて、徐々に木々の丈が低く、まばらになって、安達太良山山頂方面の視界が開けてくる。道幅は登山道としては広いが、休憩できるスペースは乏しい。表登山口分岐付近がやや広いので、グループで休みたいときは、ここでひと息入れていくといいだろう。

分岐の先も緩傾斜の登山道が続き、木々が背丈より低くなり、ハイマツも混じる。道幅が広く、視界が開けて、大きな石がゴロゴロしているところもあり、高山らしくなっていく。

安達太良山山頂に近づくと、岩がゴロゴロして、滑りやすいところも出てくるが、傾斜はゆるやかで、足もとには高山植物も多く見られるようになる。

行く手に安達太良山の山頂もはっきり見えてくるが、道は尾根を右へそれ、東側の斜面に回り込んで、山頂へと登っていく。やや回り道となるかわり、なだらかな道が続くので、思ったより楽に山頂に着けるはずだ。

山頂直下から乳首と呼ばれる安達太良山山頂の岩峰を仰ぎ見る。岩峰の上の山頂へ登るルートは岩登りというほどのところはなく、意外に楽に感じるだろう。岩峰の上に立てば360度のパノラマが広がる。

登り着いたところは火山活動で生まれた山らしく、赤茶けた砂礫や岩の裸地が広がる尾根上だ。かたわらのドーム形の岩峰の上が標高1700mの安達太良山山頂。なだらかな山頂部に岩峰が突き出した山容から、安達太良山を乳首山、岩峰を乳首とも呼ぶ。

馬ノ背側の基部から見上げる乳首の岩峰は尖って見える。

一見、手強そうな岩峰だが、弱点を巻いて登るルートが整備され、意外にあっさりと岩峰上に立てる。岩峰上は狭く、足もとが切れ落ちているだけに、胸のすくようなパノラマを楽しめる。

深田久弥は二本松市内から眺めた安達太良山を、「ひとつの独立峰ではなしに、幾つかの峰の連なりの姿」と表現した。その「峰の連なり」を南北に眺める形で、北は連峰最高峰の箕輪山や鉄山、南は和尚山、西に少し離れて船明神山などを眺めることができ、意外に近く裏磐梯の湖沼群も見える。

乳首は大岩が積み重なったような岩峰だが、その上へ登るルートは岩の間にうまくつけられている。

名湯の源泉に建つ山小屋へ下る

岩峰から下りたら、くろがね小屋へ向かう。岩峰基部からまっすぐ下る道もあるが、わずかな寄り道なので、沼ノ平がよく見える牛ノ背〜馬ノ背の尾根を通ろう。尾根上も岩と砂礫の裸地で草木はわずかだが、火口跡の沼ノ平はさらに荒涼として、月のクレーターを思わせる。

牛ノ背のなだらかな尾根を北上する。尾根上は裸地が広がり、風雨をさえぎる樹林がないので、荒天時は要注意。

深田久弥が下った母成(ぼなり)峠、沼尻方面への道を左に分け、すぐに右へ分かれる峰の辻方面への道を下りる。岩と砂礫の斜面ですが、植物は意外に豊富で、オノエラン、ミネズオウ、イワカガミなどの可憐な花があちこちに咲いている。

峰の辻は枝尾根上の小平地で、振り返れば安達太良山の岩峰が立派に見える。ここからくろがね小屋経由と、経由せずに奥岳へ下る道に分かれるが、水も得られるので北側へ下って、くろがね小屋に寄っていこう。

くろがね小屋は岳温泉、奥岳の源泉地にあり、温泉にも入れる。

鉄山から派生する荒々しい岩壁の下に建つくろがね小屋は岳温泉の源泉にあり、小屋にも温泉が引かれた内湯がある。トイレ、水場もあるが、これらを利用する場合は、必ず管理人に声をかけて、その指示に従うようにしよう。少し下ると金明水の湧き水がある。

奥岳へは、なだらかな林道状の道で、馬車道、ジープ道と呼ばれている。道なりに下り、峰の辻から直接下ってきた道を合わせ、金明水から30分ほどで馬車道と旧道の分岐に着く。

旧道は、この先、斜面が急になって蛇行する馬車道を突っ切るため近道だが、その分、急なので、雨で滑りやすいときなど馬車道経由のほうがいいかもしれない。下りきって馬車道と道が合流し、烏川を渡れば、ゴールの奥岳までは10分ほどの距離だ。

橋から烏川の渓流を見下ろす。烏川は下流で紅葉滝、昇竜滝、魚止滝、二階滝などの滝を懸け、滝を見ながら奥岳へ下る奥岳自然歩道もある。コースタイムは大差ないので、こちらを通るのもおすすめ。

安達太良山登山カレンダー(該当月の1日)

安達太良山データ

標高:1,700m
登山適期:5月下旬〜10月中旬
登山口:ロープウェイ山頂駅
下山口:奥岳
高低差:750m
営業小屋:くろがね小屋
避難小屋:なし
水場:くろがね小屋
トイレ:ロープウェイ山頂駅
ビューポイント:安達太良山山頂の山岳展望、牛ノ背から見下ろす沼ノ平
連絡先:二本松市役所観光課・二本松市観光連盟(TEL:0243-55-5122)、あだたら高原リゾート・あだたら山ロープウェイ(TEL:0243-24-2141)、福島交通(TEL:0243-23-0123)、 昭和タクシー(TEL:0243-22-1155)

アドバイス

あだたら山ロープウェイは片道1,000円、往復1,700円。8時30分~16時30分の運行で下りの最終は16時20分なので、往復利用する場合は乗り遅れないよう、余裕をもって行動しよう。

登山適期は雪が消えて新緑が萌える5月なかばから紅葉の10月上旬ごろまで。6月から8月にかけて高山植物が咲く。6月下旬前後、ムラサキヤシオツツジやレンゲツツジ、イワカガミ、オノエラン、ミネズオウが咲く時期が最も種類が豊富だ。

くろがね小屋は福島県営で1泊2食6,320円、(TEL:090-8780-0302)。2020年4月以後の建て替えが予定されていて、その時期の利用は確認が必要となる。

出典

SHARE

PROFILE

PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

No more pages to load