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ディセンバー(山形/山形)|良い山道具選びは、良いお店選びから。

なんでもネットでも買えるけれど、やっぱり山道具はお店で手にとってから買ってなんぼでしょ。今月は、信頼できる個性的なスタッフがいるお店や、遠くてもぜひ行ってみたい名店、記憶に残る迷店を全国から集めてみました。足を運べば、ただのお買い物にとどまらない出会いがあなたを待っていることをお約束します。

遠い。開いてない。売ってない。それでも行きたい。

【コダワリ】そのときどきで店主が思う「こうありたい」を具現化したお店

以前から知る人ぞ知るお店として、話題に上っていた「ディセンバー」。気になっている人も多いはず。しかし、店舗があるのは蔵王連峰の麓に位置する山形市内と、東京からはかなり遠い。

いつかは行ってみなければ。かく言う編集部も、取材をしようと思い立ってから早3年ほどの月日が流れた。何度か東北山行のついでに行こうと試みたものの、年中無休を売りにするお店が多いこの時代におけるマイペースな週休2日、さらには臨時休業の壁に何度も阻まれていたのだ。

店主が本当に惚れたものだけが店頭に並ぶ栄誉に預かる。なかには惚れすぎて売りたいくないものもあり。

「やっと、来られましたね!」と取材陣を笑顔で迎えてくれたのは、店主の菊地さん。岩手県出身の彼が、美大生時代を過ごしたこの地にお店をオープンしたのは2009年のこと。当初は喫茶店として営業する片隅で手持ちのギアを売っていたそうだ。徐々に仕入れを始め、自作のものを売ったりするうちに、喫茶店とショップの割合が半々になり、ほどなく喫茶店は工房と化していった。

「ものづくりは昔から好きなんですが、自分は肉体派じゃないんでアウトドアはのんびり楽しんでます」と言うが、幼少期から嗜む釣りに始まり、現在はカヌーやカヤックにご執心の様子。気持ちのいい時期は開店前に近くの山に登って珈琲を淹れ、冬はスノーシューでハイクアップして小型のソリ「ジップフィー」で雪山を駆け巡る。山形を選んだ理由は、こうした環境が整っていたからだ。

「美術大学を出てからは、東京で家具のデザインや内装を手掛ける仕事をしながら、美術制作に取り組んでいました。そのうちに少し余裕が出てきて、休みは外で遊べるようになってきたんです。当時は、『とりあえずいまは仕事を頑張って、35歳になったら自然に囲まれた東北に戻ろう』と思っていた。だけど、外で遊び始めたら止められなくなってしまって。とてもじゃないけど35歳まで待つことなんてできないぞと。それで予定を早めて、30歳で東北に戻ってきたんです」

オリジナルのギアトート。キャンプやクライミングでも重宝するだろう。¥6,264(約40ℓ)、¥8,532(約80ℓ)。

久々に訪れた人は「ここ、喫茶店じゃなかった?」「前と同じお店ですか?」と驚くほど、年々お店の様子や商品のラインナップは変わる。そのため、流行廃りのあるウエアやバックパック、シューズなどは置かないという潔さ。目を引くのは、時を経ても魅力が色褪せないレトロな国産ギアの数々だ。ナショナル製のランタンやミズノのコッヘルセットなど、いま見ると新鮮な道具が並んでいる。

「この古いテントは自分で使ってみようと思ってて。ランタンですか? それは一つは自分用で、もう一つは売ろうかな。売りものが少なくてすいません……。あ、最近見つけたこの’30年代のドイツのテントがすごいんですよ。このギミックは今でも応用できそう。ここの窓の部分がですね……」

仕入れた道具にはどれも並々ならぬ愛着があるよう。それを使うことでオリジナル商品にアイデアが反映されていくのだろう。デザイナーや美術家として過ごしたアンテナの高さと、自身が使い込んだ経験が詰め込まれたギアたちは、どれも唯一無二な輝きを放つ。

オリジナル商品は奥の工房で生まれる。ミシン踏みは妻の恵里さんが担当。

古いテントやタープは販売することもあるが、その生地はトートバッグなどの材料にも活用されるそう。奥の工房でミシンを踏むのは、妻の恵里さんが担当している。「一日集中して3つできるかどうか」というのだから、常に予約待ちの品薄状態なのもうなづける。オリジナル商品はジャンルごとに「ダイス」、「ククチ」、「ディセンバー・オリジナル」と、現在は3つのラインを展開中だ。

「とにかく自分が遊んで使ってみないと道具の良さは説明できない。最近はズル休みはだいぶ減ったんですけどね。お店も商品もどんどん変わると言われますが、僕の中ではそのときにこうありたいと思うことを形にしているだけなんです」

興味の幅の広さは、このお店の懐の深さだ。すぐに遊びに行ける環境とそのための時間、自分が好きなものはまず使ってみる。どの要素が欠けてもこのお店は成り立たない。ネットで何でも買える時代において、近くて、いつでも開いていて、何でも揃っているコンビニのようなお店じゃつまらない。

外で遊ぶことが大好きな店主が欲しいものを自分で作り、できれば手放したくないような商品が並ぶお店。ちょっと遠くても、なかなか開いてなくても、並んでいる商品が少なくたって、わざわざ足を運びたくなる理由がここにはある。

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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