登山翌日の筋肉痛を防ぐリカバリー
PEAKS 編集部
- 2021年04月07日
登山で辛いことのひとつが翌日の筋肉痛。その筋肉痛予防に役立つのがリカバリー。正しいリカバリーを覚えて、筋肉痛とおさらばしよう。
文◉堀内一秀 Text by Kazuhide Horiuchi
写真◉アラタジュン Photo by Jun Arata
出典◉PEAKS 2017年5月号 No.90
意外と忘れがちな、翌日のためにできること
登山翌日の筋肉痛は辛いもの。しかし、運動後適切なリカバリーをすることで、翌日の筋肉痛は劇的に軽減することができる。ここで紹介するのは道具を使わないものがほとんどで、道具を使うものでもスリーピングバッグやマットなどで代用できるものが多い。山小屋や、テントの中、あるいは自宅で、自分が疲れたと思う部分を中心にリカバリーをしてみよう。
また、日帰り登山などでは、下山後の「温泉とビール」が楽しみ、という人も多いと思うが、リカバリーという点ではあまりおすすめできない。どうしてもというならば、温泉で温める前に冷水でのアイシングで疲労物質が全身に回らないようにする。また下山後はパンやご飯などの糖質と水分を摂ってから飲むようにしよう。登山で消費した糖質と水分の補給で、リカバリーの効果が上がる。
1 ほぐす
“ほぐす”と“のばす”の違い
ストレッチは筋肉を「のばす」ものだ。では「ほぐす」とは? 筋肉はすべて、筋膜という膜で覆われている。筋肉は筋膜の中で自由に動くことができるのだが、運動をしたあとなどは筋肉と筋膜がくっついたり、固まってしまう。これを元のように、筋膜の中で筋肉が動くようにすることが「ほぐす」だ。だから順序としては、まずほぐして、そしてのばす。
荷物を背負った背中はバリバリ
長時間荷物を背負っていた背中は筋肉が凝り固まっている。空気を入れたゴムボール(丸めたマットやスリーピングバッグなどでもいい)を床に置いて、その上に上体を預けてゆっくり動き、背中の筋肉をやんわりほぐしてやる。同時に筋肉をのばすことも可能。
上りで酷使したももの後ろ
いい上り方では、ふくらはぎよりこちらのほうが疲れる。おしりと同じようにボールや水筒を使って左右のももの後ろの筋肉をほぐしてやる。こうすれば、筋肉が硬くなっているのがよくわかる。
おしりの筋肉も疲れている
上手な上り方ができるようになると、足やももの筋肉だけでなくお尻の筋肉も疲れてくる。小さなボールか、堅い水筒などを床の上に置き、その上におしりを片方ずつ乗せてほぐしてやる。
呼吸で疲れた筋肉をほぐす
登山中はいつもより激しく呼吸をしているので、呼吸に使う筋肉も疲れている。これをほぐしてやるには、肋骨の間に指を当て、左右に動かす。順番に、左右12本ずつある骨と骨の間すべてをほぐそう。
足裏は細かい筋肉の集まり
足は、細かい骨がたくさん集まっている部分。それだけ、細かい筋肉もたくさんあり、歩行時のショック吸収などで酷使されている。ボールや水筒で足裏全体をゆっくり刺激し、各部をほぐしてやる。
2 のばす
肩甲骨の周りをのばす
バックパックを長時間背負うことで、背中の筋肉と同じように、肩甲骨もあまり動かなくなっている。ひざをついて腕立て伏せのような姿勢を取り、腕を伸ばしたまま
上体を少し下げて肩甲骨を動かし背中から少し飛び出すようにする。行動中に肩甲骨を意識するように骨を回せば、その日の疲れも変わってくるだろう。
太ももの後ろからおしりの筋肉
ひざを少し曲げた状態で、お腹をももに着けるようにして、両手で足の先をつかみ、ゆっくりと手前に引っ張ってのばす。ひざを曲げないで真っ直ぐにすると、ふくらはぎの方をのばすことになるので注意する。長い上り、もしくは急登をこなした後は忘れずに伸ばしておきたい。
太ももの後ろとおしりはこれでも
右の写真のように足を反対側のももに乗せる、あるいは足を折って前と後ろにして状態を前に傾け、左右のものの内側の筋肉をのばしてやる。力を入れてのばす必要はないので、ゆっくり気持ちがいい程度までのばしておけばそれで十分だ。
ももの内側の筋肉を伸ばす
ももの内側をのばすには、右のように開脚しながら曲げたひじを前につけるようにする。上体はあまり前に倒さず、つま先を内側に向ける。あるいは左のように股割りの姿勢で、両ももの内側をいっしょにのばす。手で足首を持ってもいい。どちらも、痛みは伴わない程度にしよう。
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文◉堀内一秀 Text by Kazuhide Horiuchi
写真◉アラタジュン Photo by Jun Arata
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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