秋の食材を山で味わい尽くす|小雀陣二の山グルメ
PEAKS 編集部
- 2021年10月08日
INDEX
食欲の秋の山グルメには、さりげなく季節感を取り入れてみたい。山で季節感のある食事が出てきたら、それだけで気分が上がるでしょう? え、難しいだろって? それが簡単なのよ!
文◉小雀陣二 Text by Junji Kosuzume
写真◉亀田正人 Photo by Masato Kameda
食欲の秋 特別編!
見上げれば、紅葉と高い空。足元には、色とりどりの落ち葉やキノコ。暑さが落ち着き、見どころの多い秋の山は、ひとりでストイックに黙々と歩くよりも、仲間とワイワイ歩くほうが断然楽しい。
そんな秋の山行ならば、多少荷物が重くなっても、少しこだわった料理に挑戦してみよう。賢く食材を選べば、山中でも手軽に秋の味覚を満喫することができる。まずは、いつものドライフードの食事に1品取り入れてみるだけでもいい。美味しい料理を仲間とシェアすると、山の時間はもっと豊かなものになる。
ポイントは「慌てず急がず、スローに楽しむこと」。どんどん先を目指すのではなく、コースタイムの倍くらいかける設定で山行計画を立ててみてはどうだろう。時間の余裕があれば、焦らずじっくり料理に取り組める。なにより、季節や美味しいものを楽しむ心の余裕を生むのだ。
秋らしい食材の選び方
イモ類や栗、リンゴなどの果物など、秋に旬を迎える食材は、山でも比較的持ち運びやすいものが多い。秋刀魚や鮭なども、持ち運びと保存にさえ気を配れば、山グルメにも十分使える。山向きなパッケージの商品を探したり、持ち運び方や保存法を工夫すること自体を楽しんでしまえばいいのだ。
生食材とドライのメリットとデメリット
日持ちがして、軽くて持ち運びやすいドライの食材は、当然山でのメリットは多い。しかし、味は生食材に敵わない。山行計画と体力次第で、生と乾燥をうまく使い分けよう。
山でも持ち運びやすい秋食材の選び方
鮭やツナ、秋刀魚、鯖などは缶詰のイメージがあるが、最近はパウチのものも商品化されている。缶に比べてゴミが軽くてかさばらないので、山では重宝するだろう。ドライ製品は根気よく探してみることがポイント。きっと、意外な食材も見つかるはず。サツマイモやジャガイモ、カボチャは、粉末やフレーク状のものを取り入れてもいい。
粉末状
ソフトパウチ
ドライ
秋刀魚の卵とじ
【中級レベル】おなじみの甘辛タレ風味は卵とご飯との相性バツグン!
- 調理時間/20分
- 使用する水の量/280㎖
- 食材の重さ/243g
材料(1人分)
パウチ秋刀魚 ………………1袋90g
生卵……………………………… 1個
乾燥ワケギ ………………………1袋
アルファ米 ………………………1袋
作り方
①まず、お湯を180㎖沸かし、アルファ米に注いでおく。次に、秋刀魚と水100㎖をフライパンに入れ、中火で温める。途中、秋刀魚を裏返して全体をまんべんなく温める。
②別の容器で卵を溶いておく。
③溶き卵を①のフライパンに回し入れ、7割程度固まってきたら火を止める。お皿に盛ったご飯にのせて完成。
【ポイント】秋刀魚を温めるときは水を足すと焦げづらい
水を加えずに温めると、煮詰まって味が濃くなり、焦げやすくなって温めづらい。水をほどよく加えることで、味もまろやかになり、卵とも混ざりやすくなる。生タマネギのスライスを加えると、さらに美味!
舞茸と銀杏の炊き込み風ご飯
【初級レベル】軽~い食材のみで構成しても秋味の炊き込みご飯が手軽に作れる。
- 調理時間/20分
- 使用する水の量/200㎖
- 食材の重さ/116g
材料(1人分)
乾燥舞茸………………………… 4g
おつまみ塩銀杏 …………………6粒
乾燥ワケギ ……………………… 1袋
アルファ米 ………………………1袋
鰹出汁 …………………………… 2.5g
塩……………………………………少々
作り方
①鍋に水200㎖、舞茸、銀杏、ワケギ、鰹出汁を入れて中火で煮込む。
②沸騰したらアルファ米に①を入れ、約15分待つ。中に入っている乾燥剤やスプーンの取り出しを忘れずに!
③米が戻ったら、全体をかき混ぜて味をみる。お好みで塩を加えて、できあがり。
【Point】乾物もいっしょに戻すなら水は規定の量より多めにする
扱いやすい乾燥舞茸と行動食にもなるおつまみ塩銀杏を活用。お湯の量は少し多めにし、具材を鍋で煮てからアルファ米に加えることでふっくらと仕上がる。生の三つ葉があると、もっとグレードアップ。
鮭とポルチーニのパスタ
【初級レベル】鮭フレークは惜しまずたっぷりと。ぜいたくな具材使いに、きっと満足する一品。
- 調理時間/15分
- 使用する水の量/300㎖
- 食材の重さ/176g
材料(1人分)
鮭フレークパウチ …………… 1袋70g
乾燥ポルチーニ ………………………3g
ショートパスタ ………………… 100g
オレガノ ……………………………少々
ブラックペッパー ……………… 好みで
塩………………………………… 好みで
作り方
①フライパンにパスタ、鮭、ポルチーニ、水を300㎖入れて中火で煮込む。途中、全体にまんべんなく火が入るよう、かき混ぜながら煮込む。
②パッケージの茹で時間通り煮込むと、ほどよく水分がなくなり、トロッとしたソース状になる。
③全体をかき混ぜたら、味をみて塩を加える。オレガノ、ブラックペッパーをふる。
【Point】水の量を多めにすればあったかスープパスタに!
ひとつのフライパンで具材とパスタを煮込む「ワンポットパスタ」という調理法を採用した。水の量は、ほどよくソース状に仕上がる分量。寒い日は水を増やして、温かいスープパスタにアレンジするのも手。
ほうとう風野菜うどん
【中級レベル】この作り方なら、重たいカボチャを持たずとも、山梨の名物料理が山で味わえる。
- 調理時間/12分
- 使用する水の量/1.25ℓ
- 食材の重さ/130g
材料(1人分)
五島うどん ……………………… 100g
乾燥カボチャフレーク ……………20g
乾燥野菜ミックス ………………… 5g
鰹出汁 …………………………… 2.5g
醤油…………………………… 小さじ1
七味唐辛子…………………… 小さじ1
作り方
①鍋に250㎖の水を入れ、強火で沸かす。沸騰したら中火にし、カボチャフレーク、野菜ミックス、鰹出汁、醤油を入れ、かき混ぜながら2分ほど茹でて火から下ろす。
②別の鍋で1ℓお湯を沸かし、うどんを指定の時間茹でる。
③再度①を中火にかけ、茹で上がった麺を加えて七味をかける。
【Point】トロミがあるレシピは焦げ付きに注意しよう
フレークを入れてとろみがつくと、鍋底が焦げやすくなる。火力を調整し、まめに底からかき混ぜるなど、焦げ付きに注意したい。まあ、難しく考えることなく、「おいしくなーれ」と思いながら作リましょ。
サツマイモと栗の巾着
【中級レベル】山でも手軽な甘い和スイーツはいかが? 想像する以上に、作り方は簡単なんです。
- 調理時間/10分
- 使用する水の量/100㎖
- 食材の重さ/80g
材料(1人分)
乾燥サツマイモフレーク …………50g
甘栗………………………………… 5個
スキムミルク ………………………10g
コーンスターチ …………………… 5g
砂糖………………………………… 5g
作り方
①お皿などに栗を4個入れ、スプーンで細かく潰す。他の材料もすべて加える。
②水を少しずつ加えて、全体をかき混ぜるを繰り返す。握って丸められるような硬さに仕上げる。水の量はトータルで100㎖が目安。
③ラップに取り分けて丸める。最後に、ラップの上部をひねって整形し、お皿に盛る。残りの栗を3等分にカットして飾る。
【Point】水は一気に入れず、少しずつ加えること
粉物は、水の分量がレシピにあっても、様子をみながら少しずつ水を加えるのが鉄則。ほどよく丸めることができて、食感のいい硬さが残る程度を仕上がりの目安と考えよう。ゴマやナッツを入れても美味しい。
リンゴのトルテ
【上級レベル】なんちゃってトルテは、それっぽく作ればOK。調理は手軽だが、味は本格的!
- 調理時間/15分
- 使用する水の量/200㎖
- 食材の重さ/205g
材料(1人分)
ドライアップル …………………… 5個
ビスケット …………………………75g
マシュマロ …………………………30g
シナモン ……… 1本(パウダーでも可)
バター ……………………………… 7g
メープルシロップ ……………… 10㎖
作り方
①フライパンを中火で熱し、マシュマロ、砕いたビスケット、水100㎖加え、かき混ぜてなじませる。
②水分を飛ばしながら柔らかい生地に仕上げ、お皿に盛る。
③フライパンにリンゴスライス、シナモン、水100㎖、バター、メープルシロップを入れ、中火で煮込む。②の上に盛る。
【Point】焦げそうになったら鍋を離して火力調整
ビスケットを使った生地や、リンゴやメープルシロップなど、甘さが加わっている食材はとくに焦げやすい。こまめな火力調整が手間ならば、フライパンを持ち上げて、火から遠ざけて調整するとうまくいく。
小雀陣二(こすずめじゅんじ)
アウトドアコーディネーター。野外での料理が楽しくなる、簡単で美味しいレシピや、快適な道具を考案している。近著に『キャンプ料理の王様』、『おかわり! 山グルメ』(ともにエイ出版社刊)。
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文◉小雀陣二 Text by Junji Kosuzume
写真◉亀田正人 Photo by Masato Kameda
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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