筆とまなざし#247「晩夏から秋にかけての楽しみに加わったキノコ採りに病みつき」
成瀬洋平
- 2021年10月13日
天然ナメコやハナイグチ。これからの時期、新しくレパートリーに加わったのが「チャナメツムタケ」。
晩夏から秋にかけての楽しみにキノコ採りが加わりました。じつは、高校生のときに「当たった」経験があります。以来、キノコ(あくまで天然のもの)に対して警戒心が強くなり、決して手を出すまいとしてきました。けれども、数年前から妻につられて少しずつ採るようになり、昨年は近くの山で天然ナメコを発見! きのこ汁にして美味しくいただいたりするようになるとすっかり病みつきになってしまいました。ある意味キノコ中毒。夢中になって遭難する人がいるのも、わかる気がします。
夏の終わり、思いきって8,000円以上する分厚いキノコ図鑑を買いました。キノコ図鑑の決定版ともいわれるもので、国内で見られるキノコのほとんどが掲載されているとか。かつては食用とされた種類もいまでは毒キノコになっていたり、キノコの性質も変化しているようなので油断はできませんが、いずれにせよ、この図鑑のおかげで採集できるキノコが格段に増えました。これまで「どうかな?」と思っていたキノコも自信を持って食べられるようになったのです。
今年の夏は雨が多かったせいか、近くの山では昨年見られたキノコがなかなか見つけられなかったけれど、足を伸ばして長野方面に行くと「ハナイグチ」をたくさん採ることができました。食用きのこの代表格で、甲信地方では「ジコボウ」の名前で親しまれています。赤みのかかった滑り気の強い傘。傘の裏側はイグチの仲間の特徴であるスポンジのような孔口状で鮮やかな黄色をしています。まんじゅうのような丸みのある形が愛らしい。バター炒めにしたりパスタにしたりもしましたが、滑りが強いのでやっぱり汁物がいちばんよさそう。もう時期が終わってしまったようで先週は見つけられたのに今週になるとすっかり姿を消していました。
代わりに新しくレパートリーに加わったのが「チャナメツムタケ」。なんとも覚えにくい名前ですが、ちょうどいまごろの時期に生えるようで、友人のSNSでもアップされるようになりました。イグチの仲間以外はまだまだ未知ですが、図鑑で調べるとどうやら間違いなさそう。図鑑のコメントには「ぬめりが強く、汁物にはナメコ以上にこくのあるうま味が出る」とあります。試しに味噌汁に入れてみると、程よいぬめりとシャキシャキした食感がとても美味しい。「チャナメツムタケ」はこれからがシーズン。そしてそろそろナメコも良い時期かなぁと、秋の楽しみはもうしばらく続きそうです。
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