筆とまなざし#249「笠置山クライミングエリアにて。中学校の授業でボルダリング」
成瀬洋平
- 2021年10月27日
恵那北中学校のボルダリング体験授業。子どもたちの無限の可能性を感じました。
笠置山麓にある恵那北中学校では、「地元を知る」というテーマで総合学習の授業の一環として、昨年から岩場でのボルダリング体験が行なわれています。「こんなところがあるのに地元の子どもたちがやったことないなんていかん! 子どもたちにぜひ体験させたい」と、先生方の強い思いで企画されています。生徒は1泊2日の行程でキャンプをし、ボルダリングのほか、地元の名所を訪ねます。
昨年は全学年が行なったのですが、今年は未経験の1年生がボルダリング体験を行ないました。天候が心配だったものの、数日前に降った雨で濡れた岩もなんとか乾いてくれました。急に冷え込み、標高1,000mの笠置山はフリースを着ないと寒いくらい。遠くの御嶽山も真っ白になりました。
1年生は人数が少なく17名。13時にキャンプ場を出発した子どもたちは15分ほど歩いて岩場に到着しました。準備体操をし、林道脇のボルダーでデモンストレーションと注意事項を説明。3グループに分かれ、やさしめのボルダー課題にチャレンジしました。積極的に何度も登る子、足が震えて下りられない子。なかなか登れない友人に対して、みんながアドバイスしながらチャレンジする姿が印象的でした。あまりボルダリングに乗り気じゃない生徒もおり、数名は途中でキャンプ場に戻ってアウトドアクッキングをすることになっていました。けれども蓋を開けてみれば「もっと登りたい!」と、全員夕方まで登ってくれたことは、とてもうれしいことでした。
最初からハマる子もいれば、徐々に楽しいと思う子もいる。あるいは、最初は嫌いだったけれど次第に好きになる子どももいるでしょう。第一印象は大切だけれど、子どもたちを見ていると無限の可能性を感じます。足が震えて岩から降りられなかった子が、数年後にはどっぷりクライミングをしているかもしれません。
学校の授業で、しかも岩場でクライミングをするというのは、全国的に見ても、あるいは世界的に見ても非常に珍しいでしょう。先生方の柔軟な指導には驚くばかりだし、笠置山クライミングエリアの誇りでもある。恒例になりつつある中学校でのボルダリング体験は、自分にとっても大切な年中行事となりつつあります。
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