筆とまなざし#250「根の上高原でのイベント。一族総出で参加して大切な思い出に。」
成瀬洋平
- 2021年11月03日
子どものころの思い出の場所で。家族総出のイベント参加で大切な思い出が増えました。
標高1,000m弱の根の上高原は、ぼくが住む地域のアウトドアアクティビティの拠点となっています。人工ではあるけれど湖があり、低山ハイキングが楽しめ、キャンプ場やロッジがあります。春にはツツジが満開となり、昔は湖が凍ってスケートができたりワカサギ釣りをしていたとか。家から車で10分ほどの場所で、ぼくも中学生のころに友人とキャンプに行った思い出があります。
その根の上高原で、先週土曜日にあるイベントが行なわれました。知人が企画したもので、芝生広場を囲んで地元のこだわり飲食店や雑貨屋、本屋などがブース出店し、火熾し体験や草木染めワークショップなども。我が家は、父の木工作品と最近始めた園芸植物、妻の鍛金作品、そしてぼくの絵とポストカードのお店を出店。隣には姉夫婦のパン屋も出店し、母はお昼ご飯を担当と、一族総出でイベントに参加しました。ぼくはイベントではなくクライミングに行く予定でしたが左腕を怪我してしまい、急遽イベントに参加することにしたのでした。
木工をしている父親が、植物の販売を始めたのは最近のこと。あるとき、実家の玄関先に鬼灯のような赤くて可愛らしい花がついた植物が並べられていました。聞くと、父が育て始めた「チロリアンランプ」という植物らしい。「チロリアン」というけれど、原産はアルプスのチロル地方ではなくて南米ブラジル。けれども、いくつもの赤いランプのような花がぶら下がっているようすは、雪深いアルプス山麓の村によく似合い、ハイジの童話に出てきそうな雰囲気。元々園芸が好きだった父ですが、挿木でチロリアンランプを増やし始めると、試しに販売を開始したのだそうです。しかもなかなかの人気のようです。イベントでは、沖縄好きが高じて育て、増やし始めた月桃も販売。白い鈴蘭のような花を咲かせる月桃ですが、乾燥させた葉っぱが健康茶になるというのは、土曜日のイベントで初めて知りました。母が作った月桃茶を飲んでみるとまろやかでなかなか美味しく、日常的に飲みたくなる味でした。
秋晴れの気持ちのいい日差しの下で、11時にイベントが始まると芝生広場はたくさんの人で賑わいました。ポストカードの売り上げはイマイチでしたが、友人知人にも会え、新しい出会いもありました。そしてなにより、怪我のおかげだったけれど家族総出のイベントにいっしょに参加できたことは、大切な思い出になりました。何気ない時間ほど、大切な時間はないのかもしれません。
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