冬季小屋泊装備を山岳ガイドがチェック・ウエア編
PEAKS 編集部
- 2021年12月21日
雪山の小屋泊装備は夏山とはどのように違うのか。今回はPEAKS営業部・藤田が年末年始、燕山荘ですごしたときの装備を参考に、山岳ガイド・水野隆信さんにアドバイスしていただきながら雪山小屋泊装備をチェックしていく。
文◉水野隆信 Text by Takanobu Mizuno
写真◉網野貴香 Photo by Yoshika Amino
出典◉PEAKS 2020年12月号 No.133
夏山との違いをおさえておこう。
山岳ガイド 水野隆信
日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドステージII。フィッシングガイドでもある。アルパイン、クライミング、BCスキー、沢登りなど、オールシーズンさまざまなガイディングを行なう。
まず最初に見て感激したのは、バックパックがスリム、そしてコンパクトにまとまっていたこと。ガイド目線から見てこれは非常に好印象。このモデルのサイズ表記は40Lであるが、メーカーまたはアイテムによって多少バラつきがある。目安としては35L程度であれば今回の山行にはベストサイズであるし、八ヶ岳や南アルプスなど、ほかの山域に雪山小屋泊まりスタイルで行く場合には、ぜひともバックパックのサイジングを参考にしていただきたい。
今回の藤田さんの装備は基本的にOK。なぜOKかというと“使わなかった”アイテムがほぼなく、“使わなくてよかった”アイテムも明確に分けられている。“使わなくてよかった”とは、“使わないけれど持参しなければならないアイテム”という意味で、非常食を含むエマージェンシーグッズを指す。それらを含めたうえで無駄なアイテムが入っていないということは「軽量=コンパクト=安全」に繋がる。これは装備を組み立てるうえで非常に大切なことだ。
ほぼパーフェクトに近い装備に+αすることで、今後さらに安全で快適な山行を楽しめるようアドバイスさせていただきたいと思う。
ウエア
保温性とドライをつねに保たせるウエアリングが重要。クランポンなどのギアが引っかからないように、腰から下がスリムになるように選ぼう。
ハードシェル(上下)
ハードシェルジャケット、ハードシェルパンツ(ゲイター付き)。行動時、基本つねに着用。
ミッドレイヤー(上下)
フルジップフーディ、トレッキングパンツ。トレッキングパンツは小屋でのみ着用。
ベースレイヤー(上下)
上はハイブリッドウール、その下にメッシュ地のタンクトップを着用。下はメリノウールのロングタイツ。行動時に着用。
《水野さんからのアドバイス》
フードはどちらかに集約しよう
フードが多すぎると首回りが重く感じ、場合によってはファスナーのジップ開閉が煩わしくなる。ベストはベースレイヤーまたはミッドレイヤーにフード1枚、そしてアウターに1枚がいい。
ダウンウエア(上下)
700FPダウン上下。小屋ですごすときや外に出るときに着用。
小屋用アンダーウエア
山小屋用のアンダーウエアとソックス。小屋でのみ着用。
小物類
ニットのビーニー、フリース製バラクラバ、フリース製ネックゲイター、ソックス、防水保温材入りグローブ、ウールの厚手グローブ、薄手の防風グローブ。
《水野さんからのアドバイス》
ミトンタイプのグローブと、予備グローブを持とう
手足がいちばん寒くなりやすいのでミトンタイプの撥水保温性素材のグローブがおすすめ。メイングローブに保温素材をチョイスすれば、インナーグローブは薄くてOK。予備のインナーも同じものをチョイスする。同じものを予備に用意しよう
つねにドライに保つ必要がある雪山。予備のソックス持参は必須。ソックスは毎回新品状態を心得る。ヘタれてくるとブーツのサイズ感も変わり、保温性も失ってしまう。サイズ感を変えないために同じものを持つ。薄いバラクラバorネックゲイターに
厚手で生地に凹凸があるものは雪が付着しやすいので避けたほうがいい。呼吸の水分で口まわりが凍り付くので、口元はできるだけ薄い素材を選ぶ。厚くしないと寒くて行動できない状況では行動を控えるべき。
>>>ギアやエマージェンシーグッズなど小物類編につづく
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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