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山でアプリをフル活用する川名ガイドが実践術を指南!|デジタルデバイス使いこなし術【後編】

アプリの進化とともに、年々使い勝手が向上しているスマホなどのデジタルデバイス。各種デバイスを山でどのように使うと便利か、デジタルツールを山で使いこなす山岳ガイド・川名匡さんに愛用のアプリを教えてもらった。

山でアプリをフル活用する川名ガイドが実践術を指南!|デジタルデバイス使いこなし術【前編】

山でアプリをフル活用する川名ガイドが実践術を指南!|デジタルデバイス使いこなし術【前編】

2022年03月10日

スマートフォン&タブレットの愛用アプリ

マップアプリを中心にスマートフォンやタブレットで使用しているアプリや使い方をご紹介。それぞれiOS、Androidの両方に対応しており、古い機種でなければたいていのスマートフォンで使える。

スーパー地形

ルートのデータ制作、展望図を描くことなどができるソフト「カシミール3D」の作者が手掛けるアプリ。複数の地図を組み合わせたり、コントラストを調整するなどして地図を見やすくカスタマイズできるのが一番のポイント。また、展望図は山座同定で役立つ。

ログデータ記録中の画面。こちらの地図表示は陰影がついており、尾根を登ってきたのが一目瞭然。歩いた距離、時間などのデータも同時に表示されている
地形データを重ねた状態の地図。より山の姿がくっきりし、歩いている場所や周りのようすがわかりやすくなる。さらに空中写真を表示させることなども可能
ウィジェットとして待ち受け画面にマップを常時表示させることができる。地図はさらに大きく表示させることも可能。自由度の高さがこのアプリ最大のウリだ
画面に表示させた地図の中心部分からの展望図を作成したもの。自分の現在地を画面中心にすることで、そこからの展望を360度表示させることができる

ジオグラフィカ

シンプルな地形図を使いたいときに使っているジオグラフィカ。スマートフォンを操作しなくても時間、高度、移動速度などをアナウンスしてくれる機能が便利。世界中で使えるマップデータ(OpenStreetMap)も使用できる。

基本のマップは国土地理院の地形図。使いたい範囲を事前にスマートフォンで表示しておけば自動で地図がダウンロードされ、通信圏外でも使えるようになる

スパイグラス

コンパスアプリは多数あるが、こちらはカメラに映った対象物の方向、仰俯角(水平に対しての上下の角度)、現在地からの距離などを教えてくれる。太陽、月の位置なども表示され、日の出前の太陽の位置が確認できる。

中央に大きくコンパスが登場し、その中央に対象物への角度などが表示される。実用性の高さはもちろん、ツールとしてのカッコよさ、おもしろさも魅力だ

リアルタイムの気象情報が直感的にわかる「ウィンディ」

気象情報をチェックしたいときによく使うのがこちらのアプリ。リアルタイムの風、雨、気温などの情報や、任意の地点の天気予報が確認できる。風などは実際の風向き、速度に合わせて映像が動いてわかりやすい。

現在の気象情報と天気予報を表示。降雪している場所は雪のアイコンが表示されるなど、状況がひと目でわかるようになっている

GPSウォッチ(Apple Watch)の愛用アプリ

メインで使っているアップルウォッチで便利なのがヤマレコのマップやデータ表示。スマートフォンに近いレベルのナビゲーション機能が時計でも使えるようになっている。

ヤマレコ

アップルウォッチをはじめ、いくつかのGPSウォッチに対応しているヤマレコ。事前に地図をダウンロードしておけばオフラインでのマップの表示、マップ上での現在地を確認などが可能になる。その他、ルートを入れておけば、標高変化のグラフなどの表示もできる。

文字盤に歩行ペース、標高の変化を表すグラフ、予定下山時刻などを常時表示できる機能を搭載。カスタムでコンパス、高度など自分がチェックしたい情報を選んで表示させることができる
マップはヤマレコアプリのものがそのまま表示される。マップの拡大・縮小はサイドのリューズ(デジタルクラウン)で操作。ログを記録していれば、歩いてきたルートも地図上でわかる

コンパス

アップルウォッチ(Series5以降、SEで利用可)にインストールされているコンパスアプリも、方位、高度などをチェックするだけであれば非常に便利。とくにアップルウォッチの場合、ディスプレイが高精細で見やすいので、移動中でも瞬時に情報がチェックできる。

ビジュアル的に方位がわかりやすいコンパス。大きな数字で情報が見やすい右のような表示に切り替えることもでき、高度などを優先するならこちらのほうが使いやすい

デジタルデバイスを使うときの注意点

バッテリー切れに注意

使いすぎるとバッテリー切れの不安が出てくる。大事なのはモバイルバッテリーを持ち歩くこと。また低温時はバッテリーの残量低下が早い。対策としてはデバイスを低温にさらさないことが重要なので、ウエアの内ポケットなどに入れておくと良い。フライトモードなど省電力に設定することも重要だ。

故障や紛失などに備える

もし手持ちのスマートフォンひとつだけに地図データが入っていて、その機器が故障、あるいは紛失してしまったら大変な状況になりかねない。リスクを減らすためのひとつの方法は、サブ機を持ち歩くこと。また、万が一のためのバックアップという意味で紙地図を持っていくことも忘れないようにしたい。

地図の距離感覚は紙で身につける

スマートフォンなどは拡大縮小が簡単なだけに、地図上の距離感覚が身につきにくい。地図でこれくらいの距離だと、実際にはどれくらいの距離になるかという想像がつきにくくなるのだ。山の初心者であれば、紙の地図を併用して地図(縮尺も確認しておく)と実際の距離との関係を掴んでおくことをおすすめする。

教えてくれた人:山岳ガイド 川名 匡さん

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドステージⅡ。若い世代を対象とした山岳会「Neo森羅」を主宰。硬めの肩書とは裏腹に、スマホやタブレットを使いこなすデジタルのアーリーアダプター。食と酒にも目がない。

※この記事はPEAKS[2021年2月号 No.135]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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