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山のガイドに聞いた、『秋』の自然&生物によるトラブル対処法!

日没時間が早くなり、雨が多いのが秋山。滑落や道迷いを起こしやすいので注意したい。山のガイドたちはトラブルをどのように判断し対処しているのだろうか?

スズメバチ

平地や里山、低山地などをはじめ、日本全国の住宅街でも見られるのがスズメバチ。毒性が非常に強く、もっとも怖ろしいのは1度刺された経験がある人に起こるアナフイラキシーショックによるショック死だ。とくに8月下旬から10月ごろは警戒心が強くなっているため気をつけたい。巣に気がつかずに近づいてしまうと危険なので、スズメバチを見つけたら近くに巣があると思って静かに、身を低くして遠回りをするなどして回避しよう。

刺された経験のある人はエピペンの携行も(廣田)

過去にスズメバチに刺された経験がある人は、補助治療剤の「エピペン」を携行して、グループの人に収納場所と使用法などを伝えておきましょう。強いアレルギー反応が出てしまった場合には、すでに喋れなくなってしまったり、パニックになったりしていることも考えられます。

応急処置をして病院へ(近藤)

もしも刺されてしまったら患部を流水で流して毒を薄め、まだ毒針がささっていたらピンセットで抜くこと。ポイズンリムーパーを使って毒を出したり、ステロイド系軟膏を塗ったりして速やかに病院に向かいましょう。私はキイロスズメバチに7カ所刺され、以来エピペンを携帯しています。

日没時刻

秋山で意識して気をつけなければいけないのが、日没時間。数週間前まで19時ぐらいまで明るかったのに、17時をすぎたころからあっという間に周囲が暗くなってきたという経験はだれもがあるだろう。とくに山間部では山肌で日射が遮られ、日没時間が早く感じられる。そのために、夏山よりも短めのルートと余裕をもった行動を心掛けること。また、長時間行動を予定する場合は日の出前の出発として、最低でも15時前には目的地に到着できるように計画しよう。

明るいうちに帰りましょう(水野)

基本的に秋は14時までの行動を推奨しています。アクシデントがなにかあったときに明るい時間のうちに対応したいというのが理由です。ケガをしてからの手当ても、あっという間に1時間はすぎてしまいます。暗いうちに出発するのはOKですが、明るいうちに帰ってきましょう。

夏山の感覚では危険(近藤)

日が短くなり始めるので、夏山の感覚での計画は危険です。7月の長野では、日の出が4時半、日の入りが19時。10月になると日の出が5時40分、日の入りは17時になります。稜線は日暮れ近くまで明るくても、樹林帯では早く暗くなります。14時には行動を終えるようにしましょう。

ヘビ

世界中には危険な毒蛇が多数存在するが、日本国内での登山中に気をつけたいのはマムシだろう。基本的に攻撃性は高くないので、登山者が危害を加えなければいきなり飛びついてくるようなことはないといわれている。それでも万一噛まれてしまったときは、救助を呼ぶのと同時に傷口を水洗いして、早急にポイズンリムーパーで毒を吸引するなど応急処置をしよう。噛まれたらショック症状になってしまう人もいるため、周囲の人は焦らず気持ちを落ち着かせるように心掛けたい。

水場には特に注意が必要(近藤)

マムシなどの毒ヘビに遭遇したときには、近づかずに素早く通りすぎましょう。また、ヘビの餌になるカエルなどがいる水場などに近づかないことも大切。1時間程度で毒がまわって行動不能になることがあるので、もしも毒性のあるヘビに噛まれたらすぐに救助要請をしましょう。

出没地域を事前に確認しておく(廣田)

マムシの毒に対するには血清が必要。離島などでは、事前にマムシが出る地域を確認しておき、噛まれたときはどこの病院に行けばいいかを確認しておくことも大切です。ヘビの毒は素早く広がりますが、ポイズンリムーバーはショック症状を和らげる心理的な効果も高いと聞きました。

台風

近年、地球温暖化とともに台風の数が増し、その威力も強大になってきているといわれている。2019年10月に日本に上陸した台風19号が、全国に甚大な被害を残したことは記憶に新しい。現在もその影響は残り、多くの登山道がダメージを受けて、いまだ復旧していない状況が続いている。台風の発生と進路は、天気予報などで事前に知ることができる。そのため影響を受けそうな山域での登山計画は中止したり、長期間の登山中は山小屋に避難したりすることも考えよう。

ときには迂回も必要(水野)

僕の地元のクライミングエリアでも、一昨年の台風で山がかなり荒れました。登山道が崩落してしまった箇所もあります。塞がれた登山道で、あとちょっと歩けば山小屋があるとか、下山口だというときは、地図を見ながら迂回することを考えましょう。もちろん経験値で行動は変わります。

台風通過後の登山は要注意(近藤)

台風は半日で通過することがほとんどなので、山小屋で停滞して通過後に行動するのもいいでしょう。しかし、台風一過で穏やかに晴れわたることもあれば、余波で強風に襲われることもあります。台風通過後の登山では、増水や橋の消失、崩落しやすい地域についても知っておきたいですね。

滑落

細尾根や急斜面でのトラバース、雨のあとの岩場やクサリ場、強風などで足元がすくわれてしまったなど、滑落するケースは多々ある。登山中に、もっとも気をつけなければならない事故のひとつといえる。とくに下山時は体力の消耗、焦りや疲労により判断力も衰えてしまうため事故が多くなる。積雪期にはクランポンで足を引っ掛けてしまったことが原因の転倒滑落もある。また、ものを落とした際に取りに行くときや、きれいな景色に見とれて滑落してしまった人もいるようだ。

むやみに動かない(廣田)

滑落して止まったら、むやみやたらに動かないことが重要です。滑落後の動揺を隠すため、周囲の人に「大丈夫だよ」とアピールなんかすると、そのまままた滑り出してしまうこともあるんです。そのためにはまず落ち着いて、被害を大きくしないように周囲の状況を確認しましょう。

安全を優先し、レインカバーを外す(近藤)

強風でレインカバーが空気を含んでしまい、体ごと飛ばされれたことがあります。こうしたときは飛ばされて滑落するより荷物が濡れるほうがマシなので、雨が降っていてもレインカバーを外すこと。ガムや行動食を食べながら歩くのも集中力が欠けるので避けたほうがいいですね。

道迷い

下草が刈り取られる前の初夏なども道迷いが多い時期だが、秋も落ち葉が積もって登山道が不明瞭になったり、台風直後の倒木によって道が塞がれてしまったりすることがある。里山などの低山域では林業のための作業道などが複雑に入り組んでいたり、獣道もあったりする。こうした道に迷い込まないためにも、つねに地図で現在地を確認しながらの登山を心掛けたい。また、とくに低山域では登山地図に明記されている以外の道があることも知っておこう。

獣道にはご用心(水野)

森林限界以下の登山道はすごく難しい。嵐のあとは山が荒れて獣道に迷い込んでしまうことがあって、本来の登山道からどんどん離れてしまうので注意しましょう。イノシシの道などは、すごく明確なんです。こういうときはスマートフォンの電源を入れてGPSを使うのも有効でしょう。

おかしいと思ったら現在位置の確認が基本(近藤)

入山前にしっかり地図を確認して、各ポイント、尾根からトラバースへ向かうなど、変化のある地点は重点的に把握しましょう。登りでは起きにくい道迷いは下りに多く、「あれ?」と思ったら現在位置の確認が基本。これにより、秋雨前線や台風で不明瞭になった道でも注意力が働くのです。

教えてくれた人

水野隆信さん

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド。楽しく安全をテーマにしたオールシーズンの登山、バリエーションクライミング、渓流釣り、BCスキーのガイディングに定評がある。

廣田勇介さん

日本山岳ガイド協会認定登山ガイドやカナダ雪崩協会の雪崩業務レベル2などの資格をもち、スノースポーツや登山、山岳信仰と銅像にまつわる撮影で知られている。

近藤浩子さん

日本山岳ガイド協会認定登山ガイド、信州登山案内人、応急手当普及員。南アルプスや北アルプスエリアを中心に、参加者の要望にあったガイドを行なうことで人気。

※この記事はPEAKS[2021年3月号 No.136]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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