九州最大級の縦走路【祖母山〜傾山】取材後記 祖母山編
宮上 晃一
- 2022年04月15日
INDEX
祖母山と傾山を繋ぐ主稜線でテント泊がしたい!
標高1,756mの祖母山は、祖母連山の主峰で大分県と宮崎県の県境部。そこから稜線伝いに歩ける傾山は同じ祖母山系であり、両山とも山頂部は岩場歩きが楽しめる。
九州でもとくに目を引くこれらの山をテント泊で繋いで歩けないか――。
そこから考えた今企画だが、『山と高原地図』を見てもテント場のマークはなし……。
「やはり九州でのテント泊縦走は九重山しかないのか」
そんな結果が見えつつも、思い切って自治体に聞いてみた。すると――。
「あぁ、皆さん●●とか■■でよくテント張られていますね。あとは▲▲も良さそうですよ」
え、そうなの?九州の人はじつにおおらかだ。
熊本から入るか、大分から入るか
登山口に選んだのは尾平。公共交通機関でもアクセスは可能だが、いかんせん便数が少なく、クルマを使ってのアクセスが普通だと思う。
そこで問題になるのが、飛行機で九州へ向かう場合、熊本と大分のどちらからアクセスするか。
大分空港から尾平まではクルマでおよそ2時間半。対して熊本空港からは約2時間。熊本からのほうが近いではないか!
僕と今回の原稿を担当するライター櫻井さんはともに熊本出身。
入山前の準備(ガス缶の購入や食料の調達)を考えると、九州上陸初日は麓に泊まることになる。で、あるならば、お互い実家に泊まることで経費も削減できる。そんな理由で今回は熊本空港から九州入りすることにした。
祖母山の見どころと注意点
登山口の尾平の標高は600m。祖母山山頂との標高差は1,100m以上となる。黒金山尾コースは急登が続くので、こまめに休憩を取りながら登るのがいい。
途中、天狗の岩屋付近に水場(天狗の水場という看板あり)がある。
登りだしてしばらくは渓谷沿いの道が気持ちいい。取材時は10月半ばすぎ。もしかすると台風が多い時期は入れないのかも知れない。
天狗岩から先は稜線歩きが楽しめる。ガレ場もあるので気をつけたいところだ。
山頂は開けていて展望よし。ここからキャンプ適地はおよそ20分。途中で祖母山九合目小屋を通るが、今回テントを張ったのはそこからもうしばらく下がった場所だった。
水場も近く、片面は開けているが木々に囲まれた小広場がある。地面は草。落ち着いてテント泊できるスペースだった。
小屋は昔は有人だったようだが、現在は避難小屋として機能。もちろんこちらに泊まることもできる。
縦走コースは長いアップダウンの連続
祖母山九合目小屋から傾山へは、いったん天狗岩まで戻ることになる。
このため、縦走ルートは宮原コースが一般的なようだ。
ではなぜ黒金山尾根コースで登ったのか――。
とくに理由はない。ただ単に、登山口について気持ちよさそうな方に歩いてしまったから。と言いたいところだが、10月半ばでもそこそこ気温が高く、途中水場があるルートがいいだろうという話になったからだった。
稜線上はアップダウンが多く、ハシゴや岩場などは雨で濡れていると肝を冷やす箇所もある。十分に気をつけて行動したい。
また、2日目に九折越まで行くことを考えると、行動時間は9時間近くなる。それなりに時間がかかるので、体力に不安がある人は尾平越にテントを張るのもいいと思う。水場もあるし、気持ちいい草地が広がっていた。
ただ、人糞が気になるので注意。入山する人は携帯トイレも備えたほうがいいだろう。祖母山九合目小屋にはトイレあり。
尾平越からも丸山、本谷山、笠松山とピークをいくつか越えていく。
樹林のなかをゆく道で、木々の変化が美しい。ただ、今回は朝に雨が上がるのを待ったため、駆け足での移動となってしまった。
次回行ける際はもっとゆっくりと歩きたい、そう思わせる美しい道が続く。
この先はまた次回紹介したい。
祖母山から傾山をテント泊で歩いた山行記事は『PEAKS No.150 2022年5月号』に掲載!
本稿では記事に収めきれなかった情報を補足しています。
Info
SHARE
PROFILE
PEAKS / PEAKS編集長
宮上 晃一
山中では「食」の軽量化をいっさい考慮しないスタイルを好み、アルファ化米では肌が荒れがちなお年頃男子。下山後の食事は約7割が焼き肉になってしまうため、家に戻ると出発前より体重が増えていることも……(登山口近辺の焼き肉店情報求む!)。カブトムシすら触れない大の虫嫌い。
山中では「食」の軽量化をいっさい考慮しないスタイルを好み、アルファ化米では肌が荒れがちなお年頃男子。下山後の食事は約7割が焼き肉になってしまうため、家に戻ると出発前より体重が増えていることも……(登山口近辺の焼き肉店情報求む!)。カブトムシすら触れない大の虫嫌い。