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コロナ禍3年目のリアル。山小屋、ガイド、ショップの現状と展望とは

*8月12日発売のPEAKSから、記事を一部先出しでお届けします! 詳しくはPEAKS9月号をお読みください。

 

2020年以後、山をとりまく世界も大きな変容を余儀なくされてきた。いまだ試行錯誤を続け、臨機応変な対応を要している。

外出が規制され、登山者数は大きく減少、ツアー参加者や催行数も同様の変遷をたどった。それに伴い、買い替え需要等が減り、関連ショップにも影響は及んでいる。

たとえば、ほとんどの山小屋は定員を削減、山域によっては営業休止という選択をした。予約制を導入する山小屋も急増中だ。

登山をする側への影響・変容ももちろんある。マスクやアルコール消毒液等の携行などはその象徴だ。ベランピングやおうちでテント泊といったスタイルを楽しむ人も多数出てきている。

また、従来のソロ山行人気に拍車がかかり、ソロテントの使用が急増。同時にテント場が混雑するという問題も発生している。

一方、登山者数の減少により、2020年度の遭難者数・発生件数など、山岳遭難に関するデータは軒並み減少した。

コロナ禍により、多くの課題が浮上してきた。だが、マイナス要素だけではない。プラスの要素を含めた、さまざまな方向性が見え始めている。この経験を活かし、よりよい山の在り様を模索し続けることは必要不可欠なものだろう。

こうした現状を踏まえ、本コーナーでは各分野のプロフェッショナルに現在の状況と今後の展望を聞いていく。

CASE.1 北アルプス 槍ヶ岳山荘グループ

1926(大正15)年より槍ヶ岳を見守り続ける槍ヶ岳山荘。槍ヶ岳山頂直下に建つ北アルプスを代表す
る山小屋である。そんな歴史ある山小屋の4代目代表、穂苅大輔さんに最新の山小屋事情をうかがった。

穂苅大輔(ほかり・だいすけ)
槍ヶ岳山荘グループ代表。大学卒業後、大手IT企業に8年ほど勤務。一転、家業を継ぎ4代目代表に。多彩な経験を山小屋経営に活かし、山・登山文化の継続・発展に尽力する

持続可能な山小屋の在り方を模索追求し、役割を担い続ける

利用者への呼びかけと実施するコロナ対策

槍ヶ岳山荘グループは、槍ヶ岳山荘をはじめ、槍沢ロッヂ、南岳小屋、大天井ヒュッテ、岳沢小屋と北アルプスの各所に小屋を持つ。これらの山小屋とともに北アルプス全般におけるコロナ対策は、現状どうなっているのだろうか。

「2020に北アルプス山小屋協会で作成したガイドラインがあり、槍ヶ岳山荘グループでは基本的にはこれに沿ったかたちでのご案内をしています。ほかの小屋もほぼ同様の状況です」

具体的には、マスク、アルコール消毒液、体温計の持参、また可能な限りインナーシーツやスリーピングバッグカバーの持参をお願いしている。小屋によってはこれらのアイテムの携行を必須としているところもあるが、槍ヶ岳山荘グループでは推奨に留め、販売もしている。細かい部分では、そのほかにも小屋によって違いがあるようだ。

「入口に体温測定器を設置している小屋もあります。ただ山での体温測定は精度に欠ける面がある」

気温が低く風の強い日、逆に好天のなか大汗をかいて登ってきた場合など、正確な体温測定はかなり難しい。そこで、槍ヶ岳山荘グループでは基本的には利用者自身に体調管理の徹底をお願いしている。山では適切な医療を受けることが難しい。体調の異変を感じた場合、速やかに下山するなど適切な行動をとる必要がある。通常の山行同様、やはり自己責任のもと自己管理の徹底が重要になる。

「そのほか一般的な施策としては、受付時の体調確認、アルコール消毒液の設置、部屋の換気、施設の共用部分のアルコール消毒を徹底しています」

スタッフ、施設ともに、できる限りの感染症対策を施している。食堂ではパーテーションやビニールシートなどを用い、随所で換気扇を稼働。トイレなど共有部分の清掃時は念入りに消毒も行なう

施設の共用部分とは、おもにドアノブや受付で使用する筆記用具など。不特定多数の利用が考えられるものは、すべてアルコール消毒をする。こうした施策は一般的な宿泊施設と同様だが、一方、山小屋ならではの施策もある。

「定員の削減、同時に予約制を導入しました。昨年度は定員数を通常の半分としました」

従来の詰め込み型スタイルではなく、客室の利用人数を制限。ひとり布団1枚+アルファのスペースを確保している。とはいえ、すべての利用者が予約をしているのか。また、山小屋には避難小屋としての役割もある。こうした側面の対応はどうなのだろうか。

「思っていた以上に予約制は受け入れていただいています。予約なしのお客様はほとんどいらっしゃいません。非常時の対応は常に心がけています。避難小屋としての役割も重要な要素。相応のスペースを常に確保しています」

食堂の利用に関しても、安全制を重視したシステムに変更した。

「黙食のお願いとともに人数制限を実施しています。現在、槍ヶ岳山荘では150ほど座席があるのですが、使用するのは100弱にし、完全入替制にしています。その分、混雑時は食事時間が遅くなる場合もあります。ご理解いただければと思っています」

これまでは食事が終わった人から順次の入替としていたが、ソーシャルディスタンスを保持すべく、食事時間を一定の時間ごとに設定し、その都度全員入替とした。

一方、このシステムはスタッフへの負担も大きくなる。だが、安全面をやはり重視したいと穂苅さんは言う。このあたりの小屋側の苦労は、利用者もしっかりと認識したい。

 

*誌面では槍ヶ岳山荘グループの穂刈さんが考える今後の山小屋の在り方、さらには2022年から営業を再開した南アルプス南部の山小屋を管理する井川観光協会、特種東海フォレスト、国内外で活動を行なうガイドカンパニーのアドベンチャーガイズ、登山専門店のカモシカスポーツへのインタビュー取材を詳しくお伝えしています。

 

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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